地球上で気象がますます深刻化し、世界各地で電力システムの機能不全を引き起こしている。
テキサス州を2月に襲った嵐のような、影響は大きいが発生頻度の低い事象、いわゆる「グレー・ライノ」について、考え方を変える必要がある。
インフラの運営者や計画担当者は、軍のアプローチから学ぶことができる。その手引きを紹介する。
「エネルギー転換指数2021」を読む。
ハリケーンの季節のフロリダ州、山火事の季節のカリフォルニア州、あるいは、ええと……氷の季節のテキサス州。いずれにしても確かなのは、自然の脅威がもたらす影響が拡大していることだ。もはやブラック・スワン事象でもない。
世界各地の電力インフラ計画担当者は米軍から学ぶことができる。米軍の任務では、発生頻度は低いが影響の大きい脅威への備えが求められ、近年ますますエネルギーのレジリエンスを、世界規模の平和維持および戦闘任務の基盤として重視している。
2月にテキサス州で壊滅的な停電が起きると、政治色を帯びた責任のなすり合いがすぐに始まった。凍結した風力タービンを非難する人もいれば、州が天然ガスに過度に依存していたこと(井戸元やパイプラインの凍結により供給が滞った)を問題視する人もいた。また、テキサス州の送電網を運営する独立系統運用者、テキサス電力信頼性評議会(ERCOT)が採用する孤立型の送電システムと価格重視の市場構造に最大の責任があるとする人もいた。
しかし、率直に言おう。異常気象への備えを怠れば、あらゆる種類の発電方式、あらゆる市場構造に影響が及ぶ。
これは本質的に、異常気象への備え、復旧、再建を計画する際に、気候変動に起因する気象シナリオを考慮しなかったという、広範な失敗についての話だ。
米国でも世界各地でも、どのような規制構造の下にある電力システムであっても、気象の深刻化による壊滅的な停電に見舞われている。
テキサス州で具体的に何が凍結し、何が機能不全に陥ったのかについては、数多くの評価が行われている。全容の検証には何カ月もかかるため、ここでは改めて振り返るのは控えたい。要するに、2月に南下してテキサス州を襲った極渦による寒波に対し、インフラ全体で従来型の防寒対策が欠けていた。これは、1989年と2011年の極寒の後に米国の電力規制当局が強く勧告していたにもかかわらずである。
では、どうすればよいのか。多くの点で答えは単純だ。しかし、決して簡単ではない。費用もかかる。
信頼性とレジリエンスを備えた送電網に依存するエネルギー消費者も、それを供給する責任を担うエネルギー供給者も、誰もが、電力網への影響は大きいが発生頻度の低い攻撃について、考え方(そしてそのために支払う意思のある額)を変えなければならない。
軍では、任務の達成を保証するにはエネルギーの安定確保が必要であり、そのため計画担当者は、堅牢でレジリエンスのあるエネルギーシステムを構築するために、しばしば4段階のアプローチを用いる。D2R2と呼ばれるものだ。抑止、防御、復旧、再建。
民間部門でも、信頼できるエネルギーは同じように重要であり、インフラ計画担当者も同じアプローチを使うことができる。こちらはP2R2、すなわち予防、計画、復旧、再建だ。仕組みを見てみよう。
1. 予防。サイバー侵入や変電所設備の盗難など、電力システムへの人為的な攻撃を防ぐ手段はあるかもしれない。一方、ますます激しさを増す自然の猛威を防ぐのは不可能かもしれない。繰り返しになるが、米国の最新の連邦政府気候脅威評価(2019年にトランプ政権が公表)によれば、「より頻繁かつ激甚化する異常気象および気候関連事象は……地域社会に不可欠な便益をもたらすインフラ、生態系、社会システムに、今後も損害を与えると予想される」。
さらなる気候被害を防ぐには、温室効果ガスの排出を減らし、ゼロエミッション電源への移行を加速させる必要がある。同時に、現在および将来の異常気象を、グレー・ライノ――ブラック・スワンと「部屋の中の象」の両方に連なる存在、つまり、起こる可能性があり、発生頻度は低いが影響は大きく、しばしば軽視される脅威――として考慮しなければならない。
2. 計画。過去の気象モデルは、もはや将来を正確に推定できない。それでも、重要なサービスの提供に必要な設備を決める際、ほとんどのインフラ計画担当者は依然としてそれらに頼っている。代わりに、計画担当者は将来を見据え、気候情報を取り入れた予測モデルを使い、まれではあるものの激甚な気象事象の「新たな常態」を評価する必要がある。
気候情報を取り入れたモデルに加え、計画では机上演習、システムのストレステスト、実環境で実際に電源を落とす訓練を通じて、復旧能力を評価する必要がある。NERCのGridEx演習や、電力インフラセキュリティ(EIS)評議会のEarthEx演習は優れた例だ。しかし、これらのシナリオは地域ごとに作成されておらず、系統運用者にはブラック・スワン事象と見なされる可能性がある。
米軍は冷戦時代から、任務の成功に電力が不可欠だと考えてきた。当時は、高高度核爆発によって引き起こされる可能性のある電磁パルスによる停電に備え、重要な変電所を強化した。過去10年間には、サイバー攻撃や自然の気象現象が再び電力インフラを脅かしたことから、国防総省はこの問題への取り組みを改めて強化している。現在、米国防総省はさまざまな机上シミュレーションに加え、システムの物理的な電源遮断ストレステストを義務付けている。
民間の電力システムにも同様のアプローチが必要だ。気候情報に基づくモデルとストレステストを組み合わせれば、系統運用者は異常気象(または電力システムに対するその他のリスク)に耐えるため、インフラをどこでどのように補強すべきか判断できる。また、インフラの改修や強化には多額の費用がかかるため、社会全体でその費用をどう負担するかを決める必要がある。
3. 復旧。計画では、原因を問わず、あらゆる発電源が時に機能しなくなることも認識する必要がある。したがって、広域停電から電力システムが復旧する方法も進化させなければならない。相互接続された送電網があれば、電力に余裕のある地域から必要とする地域へ供給できる。
重要施設向けのマイクログリッド、すべての人に十分な暖房と水を確保するための計画停電手順、そして強靱な送電網が、21世紀の復旧には不可欠となる。
ここでも、民間部門は軍から教訓を得ることができる。
4. 再建。パイプラインやタービンが解凍して通常運転に戻るにつれ(この点ではテキサス州は長期にわたる深刻な被害を免れたようだ)、従来どおりのやり方に戻り、次に迫る予防可能なグレー・ライノを見落としやすい。ニューヨーク州とプエルトリコが、広範囲に及ぶ気象起因の送電網被害からどのように再建しているかを調べることは参考になる。熱帯暴風雨サンディの際に連鎖的な停電が発生した結果、ニューヨーク電力公社は送電システムを大幅に細分化して再建した。これにより、将来の嵐では停電させる住民をより少なくできる。
21世紀の脅威に備え、堅牢でレジリエンスのある電力システムを築くことが重要だ。




