気候変動は、世界各地で異常気象が増えていることからも分かるように、すでに現実のものとなっています。世界の観測史上、最も暑かった4年間は直近の4年間に当たり、多くの地域では、こうした気温の変化とそれに伴う海面上昇が、すでに重要な生態系に圧力をかけています。
11月に発表された2017年国連環境計画「排出ギャップ報告書」が伝えた重要なメッセージは、各国が目標を達成できておらず、現在のペースで温室効果ガスの排出を続ければ、2030年までに世界の気温は3°C上昇する見通しだということでした(上限目標の2°Cを大きく超える上昇です)。
気候変動の人為的な原因、すなわち化石燃料の燃焼、森林破壊、牛肉・乳製品産業、輸送による汚染は、今では広く認識されています。近年、政府に行動を求める圧力は大幅に強まっています。2016年のパリ協定は、この問題に関する初の大きな政治的前進となり、今世紀末までに気候中立を実現するため、今できることについて合意を形成しました。

政府の行動が成功を大きく左右する一方で、変化をもたらす力が過小評価されがちな重要な担い手がほかにもいます。企業と、その企業に投資する金融機関です。
CDP(旧カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)と共同で実施した最近の調査報告書は、世界で株式を公開している排出企業のうち、規模が最も大きい250社を特定しました。これらの企業はバリューチェーンと合わせて、世界の年間温室効果ガス排出量のおよそ3分の1を占めています。
わずか250社が世界全体の年間排出量のほぼ30%に影響を及ぼし得るという事実は、実に衝撃的です。同時に、少数の企業でも大きな変化を起こせることを示しています。投資家コミュニティが変化を促す力も、また同様です。
10年以上にわたり、こうした大企業の経営陣は、気候変動が事業運営や将来展望にもたらし得る制約を認識してきました。低炭素の未来へ向けた戦略的転換を先送りしてきた企業が多い一方で、持続的な成長と競争優位をもたらすイノベーションの歴史的な機会に気づいた企業もあります。
トタル、インガソール・ランド、トヨタ、イベルドローラ、エクセル・エナジーなどは、炭素集約度の高い分野で、事業モデルの多角化と脱炭素化に向けた戦略を実行している、少数ながら増加中の企業群に含まれます。各社の計画は事業上の成果を示しており、2050年以降まで続く、収益性の高い低炭素の未来への道筋を示しています。250社全体を見ると、脱炭素経済を主導する準備ができている企業には、戦略的優位性があることを示す証拠が積み上がっています。
大手エネルギー生産者、消費者、エネルギー集約型製品の製造業者を問わず、技術や組織の変化の波に乗れる炭素集約型企業は、炭素制約のある世界で繁栄できる立場にあります。適応する意思や能力のない企業は、新たなビジネスの論理が競争の条件を着実に塗り替えるにつれ、最終的には後れを取るでしょう。
ここで金融投資家コミュニティが重要な役割を果たせます。ESG(環境・社会・企業統治)投資は、ほぼあらゆる業界で変革を促す力になりつつあります。投資家が投資基準や業績指標として、あるいはインパクト投資を推進する手段として、ESGを活用するケースが増えているためです。
分析によると、低炭素の未来への移行は可能なだけでなく、収益にもつながります。データは、炭素集約型の分野でさえ、サステナビリティの水準が高い企業が、株主と地球にサステナビリティ・プレミアムをもたらしていることを示唆しています。水準を高めている企業を見極める方法を理解することは、競争環境が変わるなかで投資機会を求める投資家にとって重要な知見であり、多くのアナリストが取り組んでいる課題です。さらに、気候変動への対処策を生み出すため新技術のイノベーションを活用する企業も、それ自体が重要な投資対象になりつつあります。
ESG投資家の視線が注がれるなか、低炭素型の事業モデルへ移行する組織は、長期的な競争優位と評判という資産を築いていると理解しています。投資家や消費者が利用できる知見が増えるにつれ、彼らが行動で意思を示す機会もますます増えるでしょう。
気候変動への取り組みが新たな段階に入るなか、特に注目すべき点が3つあります。
1. 温室効果ガス排出量の増加傾向を反転させるための時間的猶予が縮まり、変化の必要性がいっそう切迫しています。
2. 気候にやさしい新技術に必要とされていたコスト低減が実現し、初期導入から主流の需要へと移行し、成長を加速できるようになりました。
3. 主導的な取り組みに対する投資家、消費者、規制当局からの評価が高まっています。
明らかなのは、気候上の制約が強力な市場の力を生み、地球全体のエネルギー生産と利用のパターンを変えようとする私たち全員に影響を及ぼすということです。かつて自然界の搾取を支えていた政策は、新たな炭素の論理を可能にし、後押しする方向へと転換しつつあります。さらに、新しく有用なデータと分析により、投資の専門家には、世界全体の利益のために企業戦略へ影響を与えるまたとない機会が生まれています。全体の30%が懸かるなか、投資家はこのようにして気候に実質的な変化をもたらせます。




