実践で主導する―気候変動対策の緊急性を訴えるパキスタン首相イムラン・カーン

Pakistan's Prime Minister Imran Khan speaks during a session at the 50th World Economic Forum (WEF) in Davos, Switzerland, January 22, 2020.
Pakistani Prime Minister Imran Khan calls for swift climate action.Image: REUTERS/Denis Balibouse
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  • パキスタンのイムラン・カーン首相は、気候変動を現代における「世界を左右する課題」と呼ぶ。

  • パキスタンは、気候変動の影響が世界で5番目に大きい国である。

  • カーン首相は「クリーンでグリーンな」パキスタンの実現に取り組んでいる。

  • 同国は、数十億本の植樹など、自然を基盤とする解決策を目指している。

この記事は、世界経済フォーラムの2020年パキスタン国別戦略対話の一環である。

気候変動は、私たちの世代が直面する世界を左右する課題の一つである。経済、社会、政治に広範かつ深刻な悪影響を及ぼす。世界はすでに、かつてない洪水、深刻な干ばつ、増加する熱波、拡大する山火事、激しいサイクロン活動に見舞われている。これらはいずれも人類にとって明白かつ差し迫った脅威となっている。気候変動の影響を免れる国はないが、ほとんどの発展途上国は、その悪影響を不均衡に大きく受け続けている。

パキスタンはその典型例であり、氷河の融解、予測不能なモンスーンの変動、気候変動に起因する災害の激化が重なる地理的な交差点に位置している。世界の温室効果ガス排出量に占めるパキスタンの寄与はごくわずかであるにもかかわらず、パキスタンは気候変動の影響が世界で5番目に大きい国である。このことは、Germanwatchの2020年世界気候リスク指数が示している。

気候変動対策の意欲を同時に高めるとともに、強靭性を築き、避けられない気候変動の影響に適応することが急務である。しかし、発展途上国の気候変動対策は、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)とその下で合意されたパリ協定に定められた衡平性、共通だが差異ある責任及び各国の能力(CBDR–RC)の原則に基づかなければならない。また、発展途上国に対し、気候資金の拡充、適切な技術移転、能力構築への支援を行うことも不可欠である。この点で、先進国が発展途上国向けの気候資金として年間1,000億ドルを動員するという既存の公約は極めて重要だが、いまだ履行されていない。

私の政府は、明確に策定された気候変動対策の方針と、現場で展開する数々の主要施策を通じ、気候変動問題への取り組みを主導し、「クリーンでグリーンな」パキスタンへ移行することに全面的に取り組んでいる。パキスタンのカイバル・パクトゥンクワ州で2014年から2018年にかけて10億本の植樹を成功させ、州の森林被覆率を6%高めたのに続き、現在は「10億本植樹ツナミ」構想を実施している。この構想により、全国で100万ヘクタールを超える森林を回復・拡大する。緑の雇用を創出し、炭素を吸収するとともに、生態系を基盤とする適応を促進するなど、この事業は複数の利益をもたらすと期待されている。まさに、誰にとっても利益となる自然を基盤とした解決策である。

さらに、新型コロナウイルス感染症の流行期に開始した「保護地域イニシアチブ」により、パキスタンの貴重で独自性のある生物多様性を守りながら、保護地域の国土に占める割合を12%から15%に引き上げている。わずか1年で国立公園の数も30か所から45か所に増えた。これらの取り組みは、自然に関わる雇用を生み出すと同時に、エコツーリズムと気候変動への適応の機会も創出している。

エネルギー分野では、水力、太陽光、風力の未開発の再生可能エネルギーの可能性を実現し、2030年までにエネルギー構成に占めるクリーンエネルギーの割合を60%にすることにパキスタンは引き続き取り組んでいる。このクリーンエネルギーへの移行を補完するため、初の電気自動車政策(2020年)を制定し、2030年までに車両の30%を電動化する目標を掲げた。さらに、牛ふんをメタンに変換してバスの燃料とする、世界初の「ゼロエミッション」地下鉄路線事業がカラチ市で承認されている。最近では、輸送用燃料の品質基準をEuro-2から、よりクリーンなEuro-Vへ一気に引き上げた。これらすべての取り組みは、環境に優しく、持続可能で、気候変動に適合した開発への揺るぎない決意を示している。

気候変動への適応という点で、パキスタンは脆弱であり、選択の余地がない国である。気候変動に起因する災害への対応として適応策を講じざるを得ないため、気候変動適応に必要な資金は年間70億ドルから140億ドルに上る。このような逆境の中で、自然を基盤とする解決策への投資の価値を認識した。その一つである生態系を基盤とする「リチャージ・パキスタン」構想は、水資源を効果的かつ慎重に管理・活用し、壊滅的な洪水を帯水層の涵養と生態系の自然な回復の機会に変えることを目指す。この事業が全面的に実施されれば、2030年までに洪水リスクの低減と生計の向上を通じて、脆弱な立場にある約1,000万人に良い影響をもたらす。

継続中の新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、かつてない人々の苦しみをもたらし、1930年代の世界恐慌以来最悪の景気後退を引き起こした。発展途上国が最も大きな打撃を受け、その経済の縮小は、気候変動対策への意欲を高めようとする取り組みに深刻な脅威をもたらしている。こうした困難な時期にも、パキスタンは自然保護と緑の雇用創出を目指す「グリーン・スティミュラス」によって、一筋の光明を見いだした。パンデミックによるロックダウン中に、植樹、自然保護、衛生環境の改善に取り組む、新型コロナウイルス感染症対策に配慮した緑の雇用を約85,000人分創出した。2020年12月までに200,000人分へ拡大する計画である。このグリーン・スティミュラスは、パキスタンが環境に配慮して復興し、自然にプラスとなる回復に注力する助けとなっている。

パキスタンはまた、上記の信頼性ある進行中の活動を基礎として「債務と自然の交換」や「ネイチャーボンド」を組成し、野心的な気候変動対策のための革新的な国際資金調達を積極的に進めている。また、世界経済のグリーンな再生を支持する国々と、急増するパキスタンの債務について再交渉を行っている。

気候変動は疑いなく、現代における最も深刻な脅威であり、ワクチンのない問題である。強化された協力的かつ協調的な世界規模の気候変動対策に近道はない。パキスタンは、この脅威と闘う世界の取り組みを前進させる役割を果たすだけでなく、現場で実効性のある解決策を示して先導する用意があり、その決意を固めている。

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