業界ネットワークはどのように排出量データを共有し、気候変動に取り組んでいるのか

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The technical standards or protocols for emissions data sharing and management across “carbon data networks” are only now beginning to formalize.Image: Freepik.
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  • 持続可能な事業データを透明性をもって記録・報告することは、ESG指標と気候目標の達成に不可欠です。

  • 異なる業界の企業が、単独でこれらの成果を達成することはできません。

  • カーボンデータネットワークにより、排出量データをはじめとするサステナビリティデータを、サプライヤーや業界パートナーと共有できます。

サステナビリティへの変革は、データの透明性を基盤としています。正確で検証可能なデータを利用でき、適切に管理できることは、企業のESG指標と世界共通の目標を達成するうえで欠かせません。企業は、ツールを使って持続可能な事業データを記録、報告し、それに基づいて行動するだけでなく、業界全体で大規模な脱炭素化を実現する可能性を引き出すため、サプライヤーやパートナーのネットワーク内でもデータを共有する必要があります。

スコープ3排出量(企業自身の事業活動の範囲外で生じる排出量)は、排出量の80%超を占めており、大半の事業分野でその割合は高くなっています。必要なのは、バリューチェーン全体の透明性を確保し、推計値や平均値ではなく、実測・検証済みの排出量データを共有することです。個々の製品やサプライヤーのレベルまで算定する必要があります。

平均値から実測値へ移行すれば、大きなメリットが得られます。企業は、原材料の調達から製品開発に至る事業プロセスに持続可能な意思決定を組み込み、サプライチェーンで効果の高い脱炭素化活動に投資し、強化される規制要件を順守し、より正確な企業報告を行えるようになります。

この課題の克服は、持続可能な事業における「聖杯」と考える人も少なくありません。企業ネットワークの業界やバリューチェーン全体におけるデータの透明性不足を解消すれば、大きな好ましい成果を生み出せる可能性があります。では、何が進展を妨げているのでしょうか。

異なる業界の企業は、持続可能な成果を自社だけで拡大できないと認識しています。協力してデータを共有する必要がありますが、いくつかの理由から実現は容易ではありません。まず、製品レベルまで排出量を算定し配分するための一貫した手法が必要です。企業は、排出に関わる活動や投入物について、必要な一次データを作成できていません。また、「カーボンデータネットワーク」全体での排出量データの共有と管理に関する技術標準やプロトコルも、ようやく整備が始まった段階です。

炭素排出量データネットワークの構築

この1年間で、企業がサプライヤーや業界パートナーと排出量データやその他のサステナビリティデータを共有するために必要な、複雑な技術標準とデータ管理プロトコルの開発が大きく進展しました。

カーボン透明性パートナーシップ(PACT)は、持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)が主導するプログラムです。異なる業界の企業や組織が結集し、スコープ3排出量データの課題に取り組んでいます。

PACTは、個々の企業が詳細な製品排出量の一次データを検証済みの形で簡単に共有できるようにすることを目指しています。こうしたデータ交換では、異なる種類のデータ管理システム間で機能しながら、安全性と機密性を確保する必要があります。

これを実現するため、PACTはパスファインダー・ネットワークを構築しました。これは、異なる技術ソリューションを接続し、バリューチェーンや業界をまたぐピアツーピアのデータ共有を支える、オープンで分散型のネットワーク基盤です。今年初めには、CircularTree、IBM、Siemensの複数の技術アプリケーションを使い、同ネットワーク上で初の標準化されたデータ交換が行われました。SAPも、「SAP製品カーボンフットプリント管理ソリューションの一部であるAPI仕様を通じて、ネットワーク上のデータ共有の標準化に貢献しています。

PACTは、個々の企業が詳細な製品排出量の一次データを検証済みの形で簡単に共有できるようにすることを目指しています。Image: WBCSD

2022年末までに、PACTは他の企業の支援を得てパスファインダー・ネットワークをさらに発展させ、サプライチェーン全体で排出量データを交換するための新たな技術コンポーネントを導入します。これは、業界固有のデータ交換を拡大するうえで重要な一歩です。

自動車業界のCatena-X

急速に発展している業界データネットワークの例として、Catena-X自動車ネットワークがあります。設立メンバーには、BMW、Mercedes-Benz、Volkswagen、Ford Europe、Deutsche Telekom、SAP、Bosch、BASF、Siemens、ZF Friedrichshafen、Schaeffler、ドイツ航空宇宙センター(DLR)が名を連ねています。

Catena-Xは、拡張性、安全性、相互運用性を備えたデータエコシステムであり、自動車メーカーやサプライヤー、ディーラー協会、機器ベンダー、リサイクル企業がすべて対等に参加できます。Catena-Xのサステナビリティ目標には、効果的なカーボンフットプリント管理の実現と、サーキュラーエコノミーの推進が含まれます。

Catena-XはWBCSDと緊密に連携し、標準化された手法とデータモデルを定めています。これにより、ネットワーク参加者はデータ主権を維持しながら、一貫性と比較可能性、検証可能性を備えた形で排出量データを算定・共有できます。自動車バリューチェーンの70%を中小企業が占めるため、排出量データの連鎖に中小企業が参加できるようにすることが不可欠です。

こうした排出量データの透明性は、B2Bの業界動向の一部となるだけでなく、より持続可能な製品やサービスを購入しようとする最終顧客にブランドがどう向き合うかにも、ますます関わってくるでしょう。

業界全体の行動指針

現在のCatena-Xは、主に欧州の自動車関連企業で構成されています。しかし、米国やアジアを含む他地域の企業もネットワークに加わっています。

先駆的な事例として、ハイテク、ライフサイエンス、エネルギーなどの業界で同様のネットワークを開発する際の指針となっています。

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