「人生をゼロからやり直さなければ」:洪水で最も貧しいパキスタンの人々に重くのしかかる被害

A man clears rubble of his makeshift stall amid flood water, following rains and floods during the monsoon season in Nowshera, Pakistan
Floods in Pakistan have caused an estimated $10 billion in damage.Image: REUTERS/Fayaz Aziz
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  • 洪水によりパキスタン全土で作物や住宅が壊滅し、貧困層の多くが生活を立て直すのに苦しんでいる。

  • 洪水は国土の3分の1を覆い、3,300万人に影響を及ぼし、被害額は推定100億ドルに上った。

  • しかし、村人たちが基本的なニーズを満たすのに苦しむなか、復興資金は不足している。

8月下旬、増水したスワート川が流路を変え、パキスタン北西部にあるナイーム・ウラーさんの村に轟音とともに流れ込んだとき、自宅だけでなく親族13世帯の家もすべて押し流された。

借りた土地5ヘクタール(12.4エーカー)に植えたサトウキビも壊滅し、40歳の彼は失業し、家を失い、種子や肥料を買うために借りた金を返せる見込みもほとんどなくなった。

「人生をゼロからやり直さなければなりません」と、彼はカイバル・パクトゥンクワ州ダギ・ムカラム・カーン村でトムソン・ロイター財団に語った。「すべてを失いました。人生最大の試練に立ち向かう力を与えてくださるよう、アッラーに祈ることしかできません。」

数カ月にわたる容赦ない雨と、氷河の融解を早めた春の極端な暑さによって洪水が起き、パキスタンの国土の3分の1が水に覆われた。その面積はイングランドとウェールズを合わせたより広く、3,300万人に影響を及ぼしている。

パキスタン国家災害管理庁によると、死者は1,300人を超え、被害額は100億ドルと推定されている。住宅160万戸が損壊または流失し、道路5,000キロ(3,107マイル)が破壊され、家畜70万頭以上が失われた。

アントニオ・グテーレス国連事務総長は今週、同国の被害が深刻な地域を訪れ、「ステロイドを打ったようなモンスーン」と彼が表現した惨状を視察する予定だ。

パキスタン全土で何百万もの家族が、家や持ち物、作物、家畜、さらには親族まで失った。多くの人々は、タープで避難小屋を設け、自分たちと残された家畜を守るため、乾いた土地を見つけるだけでも苦労している。

主要な道路や橋が流され、支援活動が妨げられている。一部地域では当局が、高額なヘリコプターを主な手段として限られた緊急支援を届けざるを得なくなっている。

被害の大きいバロチスタン州南西部のアワラン地区では、地域によって洪水が地平線まで広がり、貧しい同州の泥造りの家屋の多くを破壊した。

バロチスタン州アワラン地区で、男性2人が洪水の中を渡っている。Image: トムソン・ロイター財団/ディルシャド・バローチ

7月に洪水が村をのみ込んだ際、ディルシャド・バルーチさんの家族は自宅が流され、隣人は家屋の倒壊で亡くなるのを目の当たりにした。

水が引かずに残るなか、切れた電線が感電の危険をもたらしていると彼は語った。カラチへ向かう橋が通行不能となり、この地域の主要な補給路も遮断されたままだ。

ヘリコプターが米や豆の包みを投下したが、「あまりにも少なすぎます」。村人たちは台所も乾いた薪もなく、それを調理できないと、バルーチさんは村の礼拝の呼びかけが鳴り響くなか、途切れがちな電話回線を通じて語った。

「私たちは野ざらしで暮らしています」と、イスラマバードでの大学の勉強を休み、夏休みで帰省していた21歳の学生は述べた。

住民の多くは怒っていると彼は付け加えた。「でも、ほとんどの人は無力感を抱いているだけです。面倒を見てくれる人は誰もいないし、気にかけてくれる人もいません。」

パキスタン北西部カイバル・パクトゥンクワ州で、洪水の被害を受けた高齢男性がスワート川の岸辺で無料の食料を受け取っている。Image: トムソン・ロイター財団/イムラン・ムフタール

支援は届いているのか?

多額の債務を抱えるパキスタンと、世界的な支援需要に対応しきれない国際人道支援機関の状況を踏まえると、パキスタンの家族は復興費用の多くを自ら賄わなければならない可能性がある。

カイバル・パクトゥンクワ州の現行政策では、作物や果樹園の被害に対し、農家は1エーカー当たり5,000ルピー(23ドル)の補償を受けられ、1世帯当たりの上限は5万ルピーだと、同州災害管理局のメディア調整担当者タイムール・アリー氏は述べた。

被害の全容を評価した後、補償額が引き上げられる可能性もあると同氏は付け加えた。

州政府はまた、損壊した住宅1戸につき最大1,370ドルを補償すると発表し、7月初め以降、救助・救援活動に17億5,000万ルピー(790万ドル)を配分したと同氏は述べた。

国際通貨基金(IMF)は先週、資金難に直面するパキスタンへの11億ドルの融資実行に合意した。政治家らは、この資金がインフレに苦しむ経済を持ちこたえさせる助けになると述べている。

しかし、特に農家は、提示された支援で十分なのか確信を持てずにいる。畑が壊滅し、再び作付けする前に土地を復旧させる必要があるという声もある。

チャルサダ市郊外のメラ・ケル・ショルガラ村に住む47歳のシェル・アラムさんは、8月26日の大洪水で土地が流され、サトウキビを失った。

今年の作物に使う種子と肥料を提供した貸し手への返済のため、すでに450ドルを借りており、今度は農地の復旧を手伝ってもらう費用として、さらに230ドルの借り入れを求めている。その作業は余暇に行わなければならない。

子どもが5人いるアラムさんは、生活費を稼ぐため、チャルサダの民間駐車場で仕事を見つけたと語った。

なぎ倒された作物は、期待していた高収益の砂糖を生み出すどころか、今では家畜の飼料にしかならない。「どうやって生きていけばいいのか分かりません」と、彼は自宅前の木の下に座って語った。

国連人道問題調整事務所によると、パキスタンでは洪水により約200万エーカーの農作物が損なわれた。経済に影響を及ぼすだけでなく、食料安全保障を脅かすおそれもある。

バロチスタン州出身のバルーチさんは、作物と家畜の損失が地域社会と国にとって大きな懸念だと語った。

「これは人々の命を危険にさらすだけでなく、その未来さえも危険にさらしています」と彼は語った。

残り少ない果物や野菜、肉の価格が急騰するなか、とりわけ最貧困層が苦境に立たされていると彼は述べた。

「貯蓄のある人もいますが、特にバロチスタン州では、住民の大半が日雇い仕事で暮らしています。しかし洪水で仕事に影響が出て、賃金を得られません。深刻な苦境に陥っています」と学生は語った。

洪水はまた、彼の地域の住民が頼りにしている井戸の大半を汚染し、健康上の災害を引き起こす恐れがあると彼は述べた。

「人々は苦しみ、多くの人が亡くなるでしょう」と彼は予測した。

早期警報

洪水の被害を受けた人々の多くは、十分な警告がなかった、あるいは何カ月にも及ぶ大雨のなかで警報が繰り返されたため、行動を起こす気力がそがれたと語った。

アラムさんによると、8月下旬の洪水について、村には政府からの正式な通知は届かなかったが、近隣の村から警告が伝えられた。

住民が携帯電話で目にしたソーシャルメディアの警報もあいまって、家畜や持ち物の一部を安全な場所へ移すまでに、地域の人々には約3時間あったという。

カイバル・パクトゥンクワ州災害管理局のアリー氏によると、州内の5つの河川とほかの2カ所に洪水監視装置が設置され、早期警報に役立った。

その対応として、チャルサダ地域から最大18万人が移転したと同氏は述べた。

今年の洪水による被害は、壊滅的だった2010年の洪水時よりカイバル・パクトゥンクワ州では小さくなる見込みだ。以前の災害から得た教訓がその一因だと同氏は述べた。

現在は「毎年、冬季とモンスーン期の緊急対応計画を策定し、あらゆる災害に備えて各地区に資金を配分しています」と同氏は説明した。

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