グリーンランドの漁師は1952年の津波で死亡した。気候変動が彼を死に追いやったのか?

A fisher boat sails back to Ilulissat, Greenland, as climate change threatens the Arctic. September 14, 2021.
"The landslide would not have happened if not for warming of the slope," the lead author of a new study stated.Image: REUTERS/Hannibal Hanschke
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  • 新たな研究によると、70年前にグリーンランドで起きた致命的な地すべり津波は、地球温暖化が原因であった可能性が高い。

  • この発見は、永久凍土の劣化が北極圏の地すべりを引き起こした事例として、知られている中で最も古い歴史的事例となった。

  • 「北極圏では、このような壊滅的な地すべりが増加することが予想される」と、研究の筆頭著者は述べた。

1952年、グリーンランド沿岸での地すべりが津波を引き起こし、地元の漁師が死亡し、その他数名が負傷した。この悲劇は当時、ほとんど調査されなかった。

しかし今、新たな研究がこの災害に光を当てている。今月初め、研究者チームは、北極圏の温暖化によって引き起こされた永久凍土の劣化が地すべりの原因であった可能性が高いとする研究を発表した。この発見は、北極圏で温暖化が引き起こした地すべり津波の最も古い既知の事例であり、地球温暖化と気候変動が、従来考えられていたよりも早くから死をもたらしていたことを示唆している。

「この発見には正直なところ驚かされた」と、デンマーク・グリーンランド地質調査所(GEUS)の地質学者で、本研究の筆頭著者であるクリスチャン・スヴェンネヴィグ氏は述べた。「70年前にすでに永久凍土の劣化が起きていたことを示す明確な兆候を目にするとは、予想していなかった。」

同研究は、Science of The Total Environment(査読付きの学術誌)に掲載されたもので、地すべりの堆積物が「モラード」と呼ばれるもので覆われていたことを示している。モラードとは、氷によって固められた地すべり物質の永久凍土ブロックが、地すべり後に劣化して特徴的な円錐形になったものを指す。研究者によれば、モラードは、崩壊した斜面の物質が永久凍土であったことを明確に示すものだという。

研究はまた、地すべりの破断面が永久凍土の斜面内で十分に深く、季節ごとの自然な気温変動から遮断されていたことも明らかにした。研究者らは、斜面の深部まで届くには、北極圏での温暖化が数年間継続していた必要があると結論付けた。実際、北極圏はこの時点で、世紀の初めからすでに最大+1.7°Cの異常気温を経験していた。

2019年にヘリコプターから撮影された、1952年の地すべり現場の写真。Image: クリスチャン・スヴェンネヴィグ

研究チームは、現地での野外調査と歴史的記録の分析を組み合わせて研究を行った。

これには、米海軍の記録、デンマーク国家地籍局、GEUSのアーカイブなどの情報源からの写真データセットの利用が含まれる。また、チームは、グリーンランドのラジオや印刷メディアによる災害報道のわずかな記録も検証した。

さらに、チームは津波発生時に7歳だった地元住民にインタビューを行った。津波が町を襲った様子を語ったこの住民は、この災害の最後の生存目撃者であると考えられている。

1952年に西グリーンランドで発生した地滑り後の映像
1952年に西グリーンランドで発生した地滑り後の映像
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(1952年の地すべりの発生から6か月後の映像。永久凍土のブロックが融解するにつれて、モラードが形成される様子が映っている。提供:GEUS)

研究では、1952年の地すべりを引き起こした正確な原因を断定することは不可能だと強調している。しかし研究者らは、今回の発見から、永久凍土の劣化がこの災害の主要な前提条件であったことが示され、それは北極圏の地球温暖化によるものである可能性が高いと指摘している。

斜面の温暖化がなければ、この地すべりは起きなかっただろう。

クリスチャン・スヴェンネヴィグ、GEUS地質学者

現在、北極圏は憂慮すべき速さで温暖化が続いており、米国海洋大気庁(NOAA)によれば、同地域の気温は地球の他の地域の2倍の速さで上昇している。NOAAは、最新の北極報告書で、北極圏の温暖化により、グリーンランド氷床が25年連続で氷を失っていると報告している。

「北極圏では、壊滅的な地すべりが増加することが予想される」とスヴェンネヴィグ氏は述べた。「もしかすると、まさにそれがすでに起きているのかもしれない。その始まりが1952年の地すべりなのだ。」

実際、近年、北極圏ではほかにも大規模な地すべりが数多く記録されている。例えば2021年には、1952年の地すべり現場から南東へ約7km離れた場所で大規模な地すべりが発生した。この地すべりは津波を引き起こさなかったが、研究者らは、この地すべりも温暖化による同様の永久凍土劣化のパターンによって引き起こされたと結論付けた。

2021年の地すべりを、ヘリコプターから撮影した写真。Image: クリスチャン・スヴェンネヴィグ

研究者らは、グリーンランドおよび北極圏全体における地すべりの研究はまだ限られていると指摘している。専門家はまた、過去の地すべりをさらに分析することが、今日の人々が気温上昇の世界的な影響をより深く理解する助けになるとも主張している。

「1世紀以上にわたる温暖化についての現在の理解をもって過去の出来事を振り返れば、気候変動のこうした初期の警告をさらに多く見つけられるかもしれない」とスヴェンネヴィグ氏は述べ、この分野のさらなる研究は、将来の地すべりがいつどこで発生するかを予測するという複雑な課題に貢献しうると付け加えた。

1952年の致命的な地すべりに関する研究は、世界が複数の気候危機の転換点の瀬戸際にあり続けていることを示している。これらの転換点とは、温暖化を抑制する努力にかかわらず、避けられず自己持続的になる、地球の気候システムの重要な部分の変化を伴うものである。

そのような転換点は、最近、主要なScience誌に掲載された研究が指摘しているように、グリーンランド氷床の崩壊や広範な永久凍土の融解を含む。「これらの変化は、人類に深刻な影響を及ぼす、急激で不可逆的かつ危険な影響をもたらす可能性がある」と同研究は結論付けている。

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