炭素排出量を安全な水準に保つには、新型コロナからの世界的な復興においてもグリーン投資に重点を置く必要がある。
現在、世界の経済大国上位50か国はパンデミック後の復興に14兆ドル超を拠出すると表明しているが、実際にグリーン施策に振り向けられているのは5分の1未満だ。
この隔たりは、パリ協定に基づく各国の気候目標を支援し、その達成を加速させる形で経済刺激策を活用する機会を逃していることを意味する。
パンデミックが始まってからほぼ1年半が経過し、世界経済は力強い回復に向けた準備が整っているものの、新興市場国・発展途上国のうち、パンデミック前の一人当たり所得を取り戻すと見込まれるのは3分の1にすぎない。パンデミックが続くなか、途上国は、気候リスクへの対応という長期的なニーズと、過重な負担を抱える保健システムの強化、減少した緊急資金の補充、経済的不平等への対処に役立つ短期的な復興策とのバランスを取らなければならない。
グリーンでレジリエントな復興を実現するため、政策立案者は「より良い復興」のアジェンダの重要性を引き続き強調し、より包摂的で公平かつ持続可能な形で社会を再設計しなければならない。現在、世界の経済大国上位50か国は、パンデミック後の復興に14兆ドル超を拠出すると表明しているが、実際に5分の1未満しかグリーン施策に振り向けられていない。この隔たりは、パリ協定に基づく各国の気候目標を支援し、その達成を加速させる形で経済刺激策を活用する機会を逃していることを意味する。
グリーン・リカバリー・ダイアログの開始
グリーン・リカバリーを促進し、気候変動対策の意欲を高めるための議論を深めるべく、Climate Support Facilityのグリーン・リカバリー・イニシアチブは、2021年9月22日にグリーン・リカバリー・ダイアログを開始した。このダイアログは、経済復興パッケージに低炭素かつ気候変動に強い目標を組み込むための技術的な検討を扱う一連のハイレベルイベントである。ダイアログは、グリーン・リカバリー・イニシアチブへの貢献者であるドイツ連邦経済協力開発省および英国外務・英連邦・開発省との連携のもとで開催される。グリーン・リカバリー・イニシアチブと開発パートナーの成果や優良事例を紹介し、各国のパンデミック後の投資が国の気候目標に沿うよう、情報を提供する。
シリーズ開始を記念するオンラインイベントで、ダイアログはパンデミック後の世界を見据えた計画に必要な適応とレジリエンスの検討事項を明らかにした。モンゴル、アルバニア、ポーランド、および国際開発研究所のパネリストは、適応への投資があらゆる経済部門の短期的な経済復興と長期的なレジリエンスの双方にどう貢献すべきかを検討した。グリーン・リカバリー投資の指針として、討論者らは、国家適応計画やその他の戦略が早期の着手点となり得ることを示した。たとえば、気候変動に配慮した農業や、食料・栄養に関する警報システムへの投資は、パンデミックのピーク時に食料供給を安定的に維持するうえで極めて重要であることが明らかになった。気候に敏感な疾病の監視・管理システムの整備など、適応に向けたその他の投資は、接触者追跡やワクチン展開の支援にも活用されてきた。さらに、パンデミック後に海岸線の再生、地域の植樹計画、適応型社会保障などの適応プロジェクトに資金を提供すれば、雇用を創出するとともに、国家適応計画の策定プロセスにもつなげられる。その結果、各国がすでに進めている投資の多くは、気候災害が発生した際に効果をもたらすだけでなく、将来のパンデミックや健康危機にも活用できる。
シリーズ第2回のイベントは、COP26における世界銀行のプログラムの一環として開催される。パンデミックからの復興と気候変動対策を結び付けるために各国が必要とする環境を整える、マクロ財政およびガバナンス関連の介入策に焦点を当てる。経済の回復速度にばらつきがあり、国際的な気候サミットが再開されようとする重要な時期に、グリーン・リカバリー・ダイアログが開催される。復興投資や政策を気候変動対策に活用できるものとし、脱炭素化の取り組みを推進するとともに世界の貧困を削減する相乗効果をもたらすには、大胆な行動が必要だ。ダイアログでは、この接点に関する第一線の専門家が集い、持続可能で包摂的な復興の進展を維持するために必要な、経済全体にわたる行動を特定する。
グリーン・リカバリー・ダイアログ・シリーズの詳細、および第1回イベントの録画については、こちらをご覧ください:グリーン・リカバリー・ダイアログ




