欧州の投資ファンドは、銀行、保険会社、年金基金よりも気候の影響を受けやすい経済セクターへのエクスポージャーが大きい。
しかし、投資ファンドの気候関連金融リスク評価は、ほとんど実施されていない。
EUの2万3,000超の投資ファンドのポートフォリオを調査し、グリーンファンドがもたらす相対的な長期メリットを明らかにする。
カーボンニュートラルの実現には莫大な費用がかかる。EUだけでも、2050年までに排出量をゼロにするには、今後長期にわたり年間3,000億ドルかかると推定されている。納税者も役割を果たすが、資金調達の大部分、約3分の2は民間投資で賄う必要がある。
では、地球をカーボンニュートラルへ導くうえで、投資ファンドはどのような役割を担うのだろうか。世界のファンドは、60兆ドルを超える資産を運用しており、その約3分の1は欧州にある。実際、多くのファンドマネジャーは、環境やその他のサステナビリティ上のリスクや課題をポートフォリオ選定に反映するよう求める投資家の声の高まりに応えようとしている。欧州のESG投資ファンドの資産は急増し、現在1兆7,000億ドルを超えている。
必要な変化の規模を考えれば、これはほんの一滴にすぎないというのが悪い知らせだ。一方、今後の伸びしろは大きい。環境の持続可能性に向けた新たなファンド投資は、気候変動対策に役立つだけでなく、個人投資家と金融システム全体にも利益をもたらすと、EUファンド業界のネットワーク分析は示唆している。

EUの2万3,000超の投資ファンドのポートフォリオを調査した。これらには、2万1,000社の企業への株式投資と債券投資が含まれる。また、これらの企業の温室効果ガス排出量も調べた。そこから得られた知見は重大だ。
1. ファンドのグリーン化をさらに進める必要がある
ファンドのポートフォリオは依然として、概してグリーン企業の比重が低く、ブラウン企業の比重が高い。ポートフォリオ保有資産に占めるグリーン企業の平均割合はわずか11%である一方、ブラウン企業へのエクスポージャーの割合は約53%に上る傾向がある。最も汚染度の高いポートフォリオを持ち、したがってポートフォリオのカーボンフットプリントを改善する余地が最も大きいファンドは、規模も最大である。
2. 投資家はグリーンファンドのレジリエンスから恩恵を受ける
グリーンファンドのポートフォリオは、他のファンドに比べて分散されている。言い換えれば、グリーンファンドのポートフォリオは、互いによく似ているブラウンファンドのポートフォリオほど「群れる」ことがない。そのため、気候関連の金融ショックは、ブラウンファンドに協調的な形で不均衡に大きな影響を及ぼす。このようなシナリオでは、ブラウンファンドの投資家はグリーンファンドの投資家の2~3倍の損失を被る可能性があることを、分析は示している。
3. グリーンファンドはシステミックな金融リスクを低減する
ポートフォリオが互いによく似ているため、ブラウンファンドはグリーンファンドに比べて相互の結びつきが強い。したがって、ブラウンファンドはシステミックな影響がより大きく、グリーンファンドよりもシステム全体の損失総額に大きく寄与する。
投資家がポートフォリオを見直し、グリーンファンド投資の長期的なメリットを検討すべき差し迫った理由は、この3点である。EUが欧州グリーンディールを通じて行っているように、政府はこのリバランスを支援できる。
投資家は、投資ファンドを純粋な財務パフォーマンスだけでなく、気候関連リスクに対する脆弱性の観点からも評価する必要がある。投資家が地球にとって正しい判断を下せるようにするには、ESGファンド戦略の透明性向上、気候の影響を受けやすいセクターへのファンドのエクスポージャーに関する詳細情報、そして川下企業による排出量関連情報のより質の高い開示がいずれも必要である。




