目標から行動へ:企業は地球の健全性をいかに役員会の議題にできるか

The Planetary Health Check – an new initiative of the World Economic Forum, the Potsdam Institute of Climate Impact Research (PIK) and the CDP
The State of Nature and Climate briefing was launched by the World Economic Forum, the Potsdam Institute of Climate Impact Research (PIK) and the CDP – designed to offer a global stock take on the health of the planet.Image: World Economic Forum
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  • 9つの地球のティッピングポイントのうち6つが限界を超え、さらに1つが差し迫った危機にある。

  • 企業の行動と環境の健全性には明確なつながりがある。

  • しかし、深刻化する環境リスクと、それに対応するため企業が実施している気候変動対策や緩和戦略との間には隔たりがある。

地球の健全性を世界規模で総点検することを目的に、「自然と気候の現状」ブリーフィングが世界経済フォーラム、ポツダム気候影響研究所(PIK)、CDPによって発表された。

この種の地球に関するデータ点検は、歴史的に科学者が6~8年ごとに行ってきた。しかし、環境圧力に対する地球の回復力が急速に低下しているため、継続的なモニタリングへと移行した。これを後押ししたのが、2024年に開始された年次更新のプラネタリー・ヘルス・チェックである。

地球の健全性の低下がもたらす影響

2025年ダボス会議での発表に際し、PIK所長のヨハン・ロックストローム氏は、地球の不可逆的な劣化を示す最新の調査結果を発表した。しかし、状況を好転させるための時間はまだわずかに残されていると同氏は言う。今行動すれば、状況を救える可能性が高く、地球も自らを回復できるかもしれない。

環境関連の問題の深刻化(異常気象によるコスト、気温上昇に伴う生産性の低下、医療や保険などの分野におけるコスト増など)により、2050年までに世界のGDPが18%減少するとの予測がある。地球の健全性は、私たち全員に関わる問題だ。

世界のGDPの60%超が民間部門から生み出され、その割合は米国では80%に上ることを考えれば、企業の行動と環境の状態とのつながりは明白だ。

地球のティッピングポイントへの継続的な懸念

ロックストローム氏と共同研究者たちの取り組みにより、地球システムのティッピングポイントという概念は今や広く知られている。こうした転換点と経済の健全性とのつながりも、ますます明らかになっている。ロックストローム氏は、過去10年間に地球の自己回復能力が弱まっていることが浮き彫りになったと示した。9つの地球のティッピングポイントのうち6つはすでに安全限界を超えており、海洋酸性化に関わる、より「安全」とされる転換点も含め、その状態が悪化していることが研究で明らかになっている。

地球の9つのティッピングポイントの現状。2つを除き、すべてが悪化している。

この取り組みは、地球の健全性に関する最新データと、企業の行動に関するデータを並べて提示するという考えに基づいている。ロックストローム氏とともに登壇したCDPのCEO、シェリー・マデラ氏は、「目標の時代は終わった」と述べ、焦点を移行に関するデータへ移すべきだと主張した。企業に対し、目標をどのように達成するのかを明らかにするよう求めたのだ。マデラ氏の言葉を借りれば、「地球を役員会議室に持ち込む」責任が企業にあるということだ。これは、追跡と検証を行い、企業の最高幹部に至るまでKPIを設定する必要性を強調している。

企業の行動についてデータが示すこと

取り組むべき課題は多い。分析によると、気候危機に対処するため具体的な行動を示している企業はわずか10%で、最高評価レベルに達した企業は1%にすぎない。それでも、分析対象の企業は世界の時価総額の67%を占めている。企業が気候変動対策に取り組めば、大きな効果が期待できるのは明らかだ。

環境に関する課題や取り組みについて、企業にどれほど多くの作業が残されているかを示すデータ。

このため、この取り組みでは4つのレバーを特定した。望ましい効果を得るには、これらを同時に実行する必要がある。具体的には次のとおり。

  • 1.5°C目標に沿った気候移行計画を策定し、その進捗を追跡できる体制を整える

  • 社内で炭素価格を設定する

  • 経営幹部の報酬を気候計画と目標に連動させる

  • バリューチェーン全体で関与する(自社の事業だけでなく、バリューチェーンを通じて誰から購入しているかも重要)

企業は行動を起こしているが、そのペースは十分に速くない。この取り組みでは、開示、目標設定、ガバナンス、戦略、進捗の5分野に分けて、これまでの進展を評価した。最も進展が見られるのは開示で、93%の企業が少なくともスコープ1と2の排出量を報告している(ただしスコープ3には報告の欠落がある)。気候問題に対する取締役会の監督についても同様に高い割合を示す一方、評価対象企業の4分の1強が社内炭素価格を設定している。データから明らかなのは、より一貫性のある戦略が必要だということだ。自然関連など、開示の他の側面を考慮すると、その割合は急激に低下する。

環境リスクと企業計画の不一致

ティッピングポイントに関する最大の問題の一つは、その悪化が一夜にして経済に影響を及ぼすわけではないことだ。ロックストローム氏が指摘するように、これらはゆっくり変化する変数である。しかし、予測はすでに可能であり、異常気象という形で、状態の悪化を示す初期の環境兆候も現れている。

最新の科学データを企業データと並べて提示することで、科学的知見を企業の環境活動や方針により適切に反映し、リスクをより適切に整合させることができる。そうすれば、地球の健全性の低下によるリスクが急速に高まる一方、それを緩和する行動が大きく遅れている現状から抜け出せる。

しかし、ロックストローム氏にとって、これらは単なる「経済問題ではありません。人類として地球上で生き残るための戦略的な問題と呼ぶべきです」。

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