研究室から市場へ:次世代の気候テクノロジーをどう支援するか

Tencent's green data centre in Tianjing, China is an example of the next generation of climate technologies.
The distributed new energy microgrid project started to generate electricity in Tencent’s Tianjin High-Tech Data Center in January 2024.Image: Tencent
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  • 気候テクノロジーの画期的な技術の多くは、研究室から実用化へ移行するためのリソースが不足していたり、実用可能な規模まで拡大できなかったりするため、実を結びません。

  • CarbonXは、ネットゼロ達成に向けて必要となる新たなテクノロジーと重要な能力を特定し、育成する取り組みです。

  • 約1,380万ドルの支援を受けるCarbonXの第1期採択者は、CCUSとテクノロジーを活用した炭素除去分野のソリューションに重点を置いています。

  • 初期段階の成功を受け、CarbonXは第2回のグローバル・フェーズを開始します。これは、初期段階の気候テック・イノベーションを加速する次の一歩です。

気候危機が差し迫っていることは明らかです。しかし、研究では世界が気温上昇を1.5°Cに抑える目標を達成できない可能性があると警告され、一部の研究ではすでに目標を超えた可能性さえ示されています。より環境に優しい未来への道筋をさらに探るため、私たちは協力しなければなりません。そのためには、グリーンテックの成功を最も効果的に後押しできるビジネスモデルを取り入れることも必要です。

再生可能エネルギーや電気自動車などのテクノロジーは、今や現代生活に欠かせないものとなっています。しかし、こうしたソリューションに、森林破壊の抑制や生態系の回復といった自然を活用した対策を組み合わせても、十分ではありません。鉄鋼やセメントのように排出削減が難しく、脱炭素化への安価で容易な道筋がない分野で、炭素排出を削減できる有望な新技術を、私たちは皆、迅速に探求し、投資しなければなりません。

パリ協定の中間点が近づくなか、今後数年間は極めて重要です。

残念ながら、気候テクノロジーの画期的な技術の多くは、研究室から実用化へ移行するためのリソースが不足していたり、実用可能な規模まで拡大できなかったりして、芽を摘まれています。

より多くの大きな構想を市場に送り出し、気候変動の緩和に実際に役立てるため、私たちはCarbonXを立ち上げました。これは、ネットゼロ達成に向けて必要となる新たなテクノロジーと重要な能力を特定し、育成する取り組みです。

CarbonXは2023年3月に始動し、当初は炭素回収・利用・貯留(CCUS)とテクノロジーを活用した炭素除去分野のソリューションに重点を置きました。次のグリーン・イノベーションの波を後押しすることを目指し、3年間で2億人民元(2,800万ドル)超を拠出します。

中国全土の300を超えるチームから応募を審査し、候補を30組に絞ったうえで、第1期採択者13組を選びました。このプログラムでは、総額約1億人民元の資金と支援を提供します。支援には研究や事業化に関する助言などが含まれ、各チームが活動を続け、私たちの時代が直面する究極の世界的課題に貢献することを願っています。

脱炭素化におけるCCUSの役割

再生可能エネルギーの導入や電化が勢いを増す一方、多くの産業には、脱炭素化のための手頃で実用的な方法がまだありません。セメントや鉄鋼などの分野では、産業プロセスそのものからCO2が排出されます。それでも、こうした産業は現代社会に不可欠であり、グリーンへの移行そのものにも重要です。より効率的な建物や電気自動車などの製品に使われる主要な材料や部品を供給しているからです。

CCUSとテクノロジーを活用した炭素除去は、解決策となります。工場の排ガスからCO2をろ過して取り除いたり、掃除機のように大気から直接回収したりすれば、そのガスを濃縮して地下に安全に貯留するか、建材、合成燃料、温室施設などの原料として再利用できます。こうした技術のなかには、新たな炭素が大気中に放出されるのを防ぐだけでなく、何世紀にもわたり蓄積してきたCO2を除去できるものもあります。

CCUSとテクノロジーを活用した炭素除去は、化学工学、地質学、エネルギー、材料などの分野にまたがる取り組みです。技術的な経路の革新に加え、立地選定、基礎データ、算定手法などの能力を強化することは、技術を効果的に導入するうえで不可欠です。

確かに、CCUSはまだ費用対効果が高いとは言えません。しかし、太陽光発電や風力発電も、競争力を持つようになる前は化石燃料より高価でした。国際エネルギー機関(IEA)は、世界の炭素回収能力が6倍超に拡大し、2030年までに年間3億トンに達すると予測しており、脱炭素化戦略における主要な担い手として台頭していることを示しています。しかし、十分な資金やその他の重要な支援がなければ、それは実現できません。

Image: Tencent

研究室から工場の現場へ

そこでCarbonXは、テクノロジーの発展を最も効果的に促すと私たちが考える、次の3つのテーマに該当するプロジェクトを支援します。

  • 研究室:研究機関、大学、研究室で開発中の初期段階のテクノロジーを支援します。たとえば、高炉の排ガスから直接CO2を回収・貯留するために鉄鋼スラグを活用する方法を開発したチームがあります。この方法には、産業廃棄物を減らすという副次的な効果もあります。

  • アクセラレーター:事業化の可能性を持つ初期段階のスタートアップを支援します。電気化学反応や微生物などを活用して、CO2を持続可能な航空燃料や高付加価値化学品に変換するスタートアップもあります。

  • インフラ:デジタルインフラ、手法、その他、産業の発展に必要なリソースなど、能力構築を支援します。CCUSプロジェクトの候補地をより適切に評価する方法や、炭素削減・除去量の測定を標準化する方法を模索しているプロジェクトもあります。これには、排出量の測定、報告、検証に向けた手法の改善が含まれます。

学界、産業界、ベンチャーキャピタルの専門家からなる審査委員会が選んだ採択者のうち、4プロジェクトが研究室部門、6プロジェクトがアクセラレーター部門、3プロジェクトがインフラ部門に該当します。採択者は、イノベーション、インパクト、実現可能性の観点から示されたポテンシャルに基づいて選ばれました。

資金や助言による支援に加え、採択されたプロジェクトの一部は産業界のパートナーと協力し、実環境でソリューションを試験します。各技術は商業規模に達すれば、年間1億トンのCO2排出を削減できる可能性があると私たちは考えています。第1期の成功を踏まえ、より多くの初期段階の気候テック・イノベーションを求めて、早ければ今年後半にも第2回を世界規模で開始する予定です。

未来を支える

CarbonXは、Tencentが低炭素社会への移行を推進する数多くの取り組みの一つにすぎません。CCUSは重要ですが、世界が追求すべきグリーンテクノロジーの道筋の一つにすぎません。たとえばテクノロジー分野では、超高効率のハイパースケール・データセンターを建設し、地域の電力網からグリーンエネルギーを調達する契約を結ぶことが、カーボンフットプリントを削減する実践的な方法です。また、自然の力も決して忘れてはなりません。気候変動の課題に対処するため、生態系を保護し、持続可能な形で管理し、あるいは回復させる行動が必要です。こうした多様な取り組みが、脱炭素化の加速につながります。

これからの道のりは容易ではありません。しかし、不確実性のなかにも希望はあります。私たちは、使命を果たす旅を始めたばかりだと認識しています。そして、企業は社会の責任あるステークホルダーとして行動を起こさなければならないというシンプルな考えを大切にしています。

グローバルなテクノロジー企業として、Tencentは、取り組むことを約束しました。自社の事業運営とサプライチェーンにおいて、2030年までにカーボンニュートラルを達成することを目指しています。地球温暖化を食い止める取り組みを企業が主導することには、企業ならではの責任があると私たちは考えています。個人も地域や世界で小さな貢献ができますが、企業には大規模な貢献をする機会があります。あらゆる製品、サービス、人には、社会に前向きな影響をもたらす可能性があります。より環境に優しく、豊かな未来を皆で築くため、同じ志を持つパートナーの参加を歓迎します。

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