飛行機利用への羞恥を促す「フリュグスカム」運動は国際旅行を変えつつあるのか?

Flygskam - the anti-flying movement aims to reduce the environmental impact of aviation
Flygskam - the anti-flying movement aims to reduce the environmental impact of aviationImage: Unsplash/Alexander Popov
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オランダの航空会社KLMは最近、「責任ある飛行を」と題した新しい広告キャンペーンを開始した。驚くべきことに、視聴者に飛行機の利用を減らすよう促しているようだ。「いつも対面で会う必要がありますか?」と広告は問いかける。「代わりに列車を利用できませんか?」。

フリュグスカム――その始まりは?

気候変動活動家グレタ・トゥーンベリ氏の影響が、航空会社がこうした発言をせざるを得ないと感じる理由を説明しているのだろう。飛行機利用への羞恥、あるいは「フリュグスカム」は、多くの常連搭乗客に航空業界への不安を抱かせている。同業界は1日に500万バレルの石油を消費し、2050年までに世界の炭素排出量の約22%を占めると予測されている。

フリュグスカムの考え方は、旅行者に環境に優しい交通手段の利用を促すことにあるImage: 欧州議会

ヨーロッパの高速鉄道網はすでに、1,000キロメートル未満の距離であれば、ヨーロッパ諸国間の航空輸送に代わる手段を提供している。さらに長距離の移動では、寝台列車の人気が高まっている。夜間に運行し、乗客が横になって眠れる寝台を備えた列車だ。次の飛行機利用の倫理性を問う消費者が増えるにつれて、鉄道会社は好機を見いだし、航空会社との競争が激化している。

しかし、夜行列車は、現在多くの人が飛行機で移動している国際路線を代替できるのだろうか?

フリュグスカムが後押しするヨーロッパの夜行列車の復活

2009年から2018年にかけて、ヨーロッパの夜行列車網は縮小を続けた。従来型の都市間鉄道網も同様で、特にヨーロッパ南部と西部で顕著だった。その結果、多くの路線で航空機が唯一の選択肢となった。しかし、状況は変わりつつあるようだ。

ドイツ鉄道が2015年に夜行旅客列車網の廃止を決めた際、オーストリア連邦鉄道(ÖBB)はその一部の運行を引き継ぐことにした。2017年、ÖBBのナイトジェットは約140万人の乗客を運び、前年の総乗客数の2倍を超えた。

フリュグスカムが生まれた2018年、ÖBBの乗客数はさらに10%増加した。ÖBBのアンドレアス・マッタCEOは、「夜行列車は短距離便に代わる有効な選択肢です」と述べ、新たなサービスへの投資を続けると表明した。その結果、ÖBBは寝台列車のナイトジェット網を拡大している。2020年1月から、運行終了から16年を経て、ウィーンとブリュッセルを結ぶ夜行列車が再び運行する。

英国では、グレート・ウェスタン鉄道が、コーンウォール行きの寝台列車を改修する計画だ。カレドニアン・スリーパーはロンドン、エディンバラ、グラスゴー、アバディーンを結び、新型車両への1億5,000万ポンドの投資により刷新された。

市民の請願を受け、スウェーデン政府は他のヨーロッパ諸国への夜行列車の運行再開を計画している。寝台列車の運行は、スウェーデン南部のマルメからロンドンまで、早くても2022年に開始する予定だ。列車は夕方に出発し、翌日の昼ごろに英国の首都へ到着する可能性がある。約1,300キロメートルに及ぶこの旅程は、現在飛行機が担っているヨーロッパ諸国間の移動を代替し得る多くの鉄道路線の典型例だ。

航空部門へのフリュグスカムの影響

航空業界のCEOたちは、飛行機利用への羞恥が乗客数を脅かす可能性を懸念しており、一部の国ではすでにそうなっているようだ。スウェーデンで最も利用者の多い空港10カ所を運営するスウェダビアは、前年と比べて2019年の乗客数が4%減少したと報告した。減少は主に国内旅行で起き、国際線の乗客数の落ち込みはより小さかった。それでも、ヨーロッパの航空交通量は2019年に4.2%増加した。

夜行列車の復活が、フリュグスカムをきっかけとする恒久的な傾向かどうかを判断するには、まだ早い。それでも、環境への意識は旅行者の選択を促し続けている。

研究者たちは、さまざまな市場の消費者像を調べる中で、最近、新たな層を特定した。「環境配慮型の旅行者」だ。この市場セグメントに属する人々は、できる限り環境に優しいライフスタイルを維持しようとし、その一環として飛行機に乗る回数を減らしている。

しかし研究者たちは、環境危機への認識が、フリュグスカムが目指すような、航空機より他の交通手段を選ぶといった行動変化に自動的につながるわけではないと明らかにした。多くの場合、特に短距離・中距離路線では、距離や費用のほうが強い動機となる。

最近の研究では、オランダで、レジャー目的の旅行者が夜行列車を最も魅力的な選択肢と考えていることが分かった。夜行列車のサービスは、既存の航空旅客を置き換えるのではなく、こうした顧客から新たな需要を生み出すだけかもしれない。研究者によると、出張者の40%は前日に飛行機で移動してホテルに泊まる方法を選んでいたが、寝台列車の相対的な快適さに魅力を感じる人も多かった。

欧州議会の委託で行われた調査はさらに悲観的で、ヨーロッパで夜行列車を拡大するには、機会よりも課題のほうが多いと結論づけている。最大の課題は、格安航空会社が拡大を続けていることだ。インフラ費用が障壁となり、より多くの乗客を航空機から引きつけ得る長距離夜行列車の運行は、現在実現できていない。航空業界と競争するには、鉄道網の拡大に補助金や投資が必要となるかもしれない。航空会社に燃料税を課すことも助けになるだろう。

その間も、フリュグスカムは、人々が航空業界に改革と拡大する炭素排出量の削減を求め続けるなら、効果を発揮し得る。

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