人的被害の悲惨さに加え、4月の湾岸の洪水は深刻な経済的影響ももたらすと予想されている。
今回の洪水は、気候変動緩和への投資が世界各国にとって急務となりつつあることを示している。
幸いなことに、気候変動緩和への投資は、放置された気候変動がもたらしうるGDPの17%減少という潜在的な打撃よりも、はるかに費用対効果が高い。
4月には、UAE、バーレーン、カタール、サウジアラビア、オマーンを含む湾岸諸国が、激しい暴風雨と洪水に見舞われた。ドバイでは、4月15日の月曜日に降雨の大半が集中し、記録が残るようになって以来の、過去75年間の日降水量の記録をすべて上回った記録が残るようになって以来の、過去75年間の日降水量の記録をすべて上回った。オマーンでは少なくとも20人が、UAEでは4人が死亡した。
アル・アインでは254mmという観測史上最多の降雨があり、これは同国の1年間の平均降水量を上回る量だった。この豪雨により、世界で2番目に利用者の多いドバイ国際空港は、数百便の欠航を余儀なくされた。
この洪水は、気候変動によって悪化した可能性があるものであり、住宅や企業に数億ドル規模と見られる損害をもたらしたほか、数百万人の生活を混乱させた。
洪水や極端な気象がもたらすコストの試算
UAEとオマーンにおける損失の経済的影響はまだ明らかではないものの、UAE政府は、既に5億4,000万ドルの基金を発表している。洪水の被災者を支援するためのものである。同国の保険会社は、深刻な影響を見込んでいる。初期の兆候からは、複数の分野で大きな混乱が生じていることがうかがえ、ドバイ経済の生命線である観光業も打撃を受けるとみられる。
湾岸における4月の洪水は、より広範に現れつつある世界的な傾向の一部である。気候変動がもたらす経済的影響は広範囲に及ぶ。極端な気象現象による世界の損失は、2021年に3,600億ポンド(世界GDPの約0.4%)に達した。『State of the Climate in Asia 2023』報告書では、2023年においてもアジアが、気象・気候・水に関連するハザードによって世界で最も災害の被害を受けた地域であり続けたことが指摘された。洪水や暴風雨は、報告された死傷者数と経済損失が最も多く、一方で熱波の影響はより深刻になったとされている。
最近の分析によれば、気候変動によって、2050年までに世界のGDPが17%減少する可能性がある。気候変動への対応コストはその6分の1にすぎず、その中心的な要素の一つは、4月の洪水のような極端な気象現象から重要インフラを守ることである。
洪水からインフラを守る
気候変動は、インフラシステムの脆弱性を増幅させる。アラビア湾岸のような高温で乾燥した気候では降雨が少なく、都市のインフラは極端な気象現象に対応しきれないことが多い。道路、橋、港湾、空港は、より頻繁かつ深刻化する気象現象にさらされつつあり、物的損害、サプライチェーンの混乱、維持管理費の増大につながっている。
湾岸の洪水は、都市工学が重大な気候変動の試練に直面していることを浮き彫りにした。特に、超高層ビルや未来型建築の建設で知られる裕福な湾岸諸国においてその傾向が顕著である。したがって、インフラに対する気候変動の影響に対処するには、多面的なアプローチが求められる。
湾岸における気候変動緩和を強化する7つの方法
地域特有の課題と特性に合わせた包括的なアプローチは、今後の豪雨やその他の極端な気象現象への効果的な対応に寄与するだろう。
極端な気象現象に耐えうる強靭なインフラ設計への投資は極めて重要である。インフラの計画・開発プロセスに気候リスク評価を組み込むことで、脆弱性を特定し、適応策に優先順位をつけることができる。グリーンインフラや沿岸の再生事業など、自然を活用したソリューションを取り入れることは、レジリエンスを高めるとともに、生態系や地域社会に追加的な共便益をもたらす。
極端な気象現象がもたらす課題に効果的に対処するためには、適応とレジリエンスの戦略を組み合わせることが必要である。適応戦略は、洪水や豪雨に対するレジリエンスの向上と脆弱性の低減に重点を置く一方、緩和戦略は、洪水の規模と影響の低減を目指すものである。
検討すべき主要な提言は以下の7点である。
1. 都市に気候レジリエンスを標準で組み込む: 豪雨や洪水などの極端な気象現象に耐えられる建物や交通システムを設計・建設することがこれに含まれる。
2. 効果的な排水システムを導入する: 適切な排水システムを設置し維持管理することで、集中豪雨の際の水の滞留を防ぎ、洪水のリスクを低減できる。
3. 持続可能な雨水管理を導入する: 雨水貯留システム、貯水池、透水性舗装を整備し、流出水を減らして雨水の浸透を促進する。
4. 持続可能な都市計画を推進する: これには、都市部に緑地、遊水地、透水性舗装を組み込み、過剰な降雨を吸収して洪水のリスクを低減することが含まれる。
5. 早期警戒システムを導入する: 高度な監視・早期警戒システムを開発し導入することで、極端な気象現象を検知・予測でき、避難や緊急対応の準備に貴重な時間を確保できる。
6. 環境規制と評価の仕組みを整備する: すべての大規模プロジェクトについて、洪水リスク分析を含む厳格な環境影響評価を実施し、適切な緩和策を義務付ける。
7. 研究と連携: 地域特有の気候変動の影響に関する研究に投資する。知識やデータを共有するための国際連携を強化し、気候変動緩和に関するデータの利用可能性を高める。
湾岸とその先に広がる気候の岐路
気候変動の課題に向き合うにあたり、インフラと経済が相互に結びついていることを認識し、共通のレジリエンスと繁栄を築くことが不可欠である。具体的な緩和策と適応策を統合することで、湾岸は洪水に対するレジリエンスを高め、こうした極端な気象現象が地域社会、インフラ、生態系に及ぼす長期的な影響を軽減することができる。
目前の復旧を超えて見据えると、UAE、オマーン、サウジアラビア、カタール、クウェート、バーレーンを含む、石油・ガス経済に依存する湾岸の裕福な国々には、気候変動に対するインフラのレジリエンスを再評価する機会がある。今回の豪雨とその余波は警鐘となり、最も先進的な経済圏でさえ自然がもたらす破壊力から免れないことを思い起こさせるものである。今後の焦点は、迅速な復旧、脆弱性の再評価、そして地域のためのより強靭な未来の構築に置くべきである。
私たちは、気候変動に直面しても、インフラが経済成長、環境保全、社会の幸福を支える基盤となる世界を創り出すことができる。



