この取り組みがケニアの漁業者を新型コロナウイルス感染症と気候変動から支える

image of Kenyan fishermen sitting in their boats in the port of Mombasa Old Town, Kenya
Kenyan fishers sit in their boats in the port of Mombasa Old Town, Kenya.Image: REUTERS/Stringer
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  • 気候変動により異常気象が激化し、海洋生態系が脅かされている。その結果、漁業者の収入が制限されている。

  • ケニア沿岸の町モンバサの郡政府は、地域社会に船と潜水用具を寄贈した。

  • 漁業者によると、この装備によって仕事がしやすくなり、収益も増え、新型コロナウイルス感染症と気候変動で弱体化した生計の立て直しにつながっている。

  • 政府は海洋資源の持続可能な利用も推進しており、これは海洋経済を育成するというケニアの国家計画に沿ったものだ。

ケニア沿岸の町モンバサで働く漁業者のアハメド・アミール・サミールさん(35)は、郡政府が約18か月前に地元の人々へ近代的な船を寄贈してから、仕事が格段に安全になったと感じている。

「荒れた波の中、地元で作られた木製カヌーで沖合の深い海へ出るとき、命を危険にさらすこともありました」と彼は語り、伝統的な漁業は費用がかかり危険だと説明した。

世界の多くの地域が気候変動の影響に苦しむなか、海洋は急速に温暖化し、海面は上昇し、嵐は勢力を増している。これにより、海洋資源を生計の糧とする海洋生態系と地域社会が脅かされている。

一方、モンバサの漁業者によると、新しい装備によって仕事がしやすくなり、収益も増え、新型コロナウイルス感染症の危機と気候変動で弱体化した生計の立て直しにつながっている。

地元漁業者のグループであるオールドタウン・ビーチ管理ユニットのメンバー、サミールさんによると、新しいエンジン付き船のおかげで、より多く漁獲できるようになった。旧型の船では沖合8~10 kmまでだったが、新しい船なら最大80 km(50マイル)沖まで行けるという。

ケニア環境・森林省は、同国沿岸の海面上昇により洪水や浸食、湿地の消失が起き、数万人に影響が及ぶ可能性があると予測している。

国家気候変動対策行動計画(2018~2022年)も、海水温の上昇に伴い魚が沿岸から沖合の深い海域へ移動しているとの漁業コミュニティの報告を記している。これは、より沖合で安全に操業するために、より良い装備が必要とされる主な理由だ。

国連環境計画(UNEP)で海洋生態系を専門とするガブリエル・グリムズディッチ氏は、海洋が人為的な温室効果ガス排出による余剰熱の大半を吸収していると指摘した。

その結果、海水温が上昇し、多くの海洋生物種や生態系に影響が及んでいる。サンゴなどは世界各地で白化や大量死、衰弱が確認されている。

そのため魚の餌が減り、魚の個体数も縮小し、漁業コミュニティにも影響が及ぶ。

「サンゴが失われると、サンゴ礁の生態系に連鎖的な影響が及び、生物多様性と沿岸住民への生態系サービスが損なわれ、食料安全保障の低下につながります」とグリムズディッチ氏は電子メールでのコメントで述べた。

海洋を基盤とする「ブルー」経済を育成するというケニアの公約は、国家開発計画に基づいている。同計画は4つの柱の一つに食料安全保障を掲げ、2030年までに同国を工業化された中所得国へと変革することを目指している。

この方針のもと、モンバサ郡政府は海洋資源の持続可能な利用を推進している。海洋資源は沿岸コミュニティに食料と安定した収入をもたらすうえで大きな役割を果たす。

モンバサ郡の農業・漁業担当執行委員であるテンダイ・ムタナ・レワ氏によると、政府は動力船や潜水服など、総額1億9,800万ケニア・シリング(180万ドル)相当の装備を、14のビーチ管理ユニット(BMU)に寄贈した。

地域住民が主導するこれらの漁業グループは、地元の海洋資源の管理、監視、保護を支援する役割を担っている。

「何世代にもわたって、漁業は伝統的なもので、沿岸に限られてきました。そこで私たちは、沖合漁業に乗り出したい人々に適切な資材を提供し、漁業を事業として確立することに取り組んでいます」とムタナ氏は語った。

ケニアのモンバサで、漁業者たちがクロマグロの計量準備をしている。Image: REUTERS/Mohamed Dahir

新たな雇用

国連の推計によると、西インド洋沿岸から100 km(62マイル)以内には、約6,000万人が暮らしており、その生計は漁業や観光など、主に海洋に依存している。

同機関によると、こうした活動は、この地域を襲う勢力の強い熱帯低気圧など、気候変動の影響を受けやすい。

例えば今年初め、国連人道問題調整事務所は、サイクロン「エロイーズ」によりモザンビークで17万6,000人以上が避難を余儀なくされ、14万6,000ヘクタールの農作物が被害を受けたと報告した。

2019年の世界銀行の報告書によると、ケニアの海面漁業の年間価値は44億ドルで、2万7,000人以上の漁業者を雇用している。その約半数は小規模に操業している。

ムタナ氏によると、新しい船を寄贈した主な目的は漁業を変革することだった。また、ビーチ管理ユニットは事業を支援する協同組合として再編された。

2019年以降、政府は漁業コミュニティを段階的に支援し、基本的な装備を提供するとともに、潜水士を養成してきた。

こうした取り組みは実を結びつつあり、ケニア沿岸では新たに漁業者3,000人と造船工1,000人が雇用され、主に女性である魚の仲買人6,000人にも新たな機会が生まれた。

ミヴィタ郡サブカウンティにあるオールドタウン・ビーチ管理ユニットの代表で、漁業者と仲買人280人からなる同グループを率いるアハメド・スワレ氏は、異常気象の激化によって地元の漁業者とその仕事が脅かされているが、ユニットが彼らの保護に役立っていると語った。

「ケニア海事庁から、嵐や高波が近づいているという早期警報を受け取り、メンバーには漁に出ないよう伝えています」と彼は語った。

新しい装備によって、荒れた海でもより安全に航行できるようになったとも付け加えた。

地元の人々によると、これに加えて、組織体制が整い、BMUを通じて船を利用する仕組みができたことで、漁獲量が増える一方、漁業コストが下がり、収入が向上した。

以前は、1日あたり500シリング以下しか稼げない漁業者も多かった。しかし今では、サミールさんをはじめ多くの同業者が1日3,000~5,000シリングを稼ぎ、子どもの学費や食費、その他の家族の必要経費をまかなえるようになった。

ケニアのモンバサで、漁師がクロマグロを岸へ運んでいる。Image: REUTERS/Mohamed Dahir

海岸線の保護

モンバサのBMUのメンバーは海岸線の管理にもあたり、飲食店の屋台などの違法建築、砂の採取、プラスチックごみの投棄といった、海岸を損なう行為を防いでいる。

スワレ氏によると、同氏のユニットは通常2週間ごとに浜辺を清掃し、違反行為があれば関係当局に報告している。

ムタナ氏によると、モンバサの環境局はBMUなどと協力し、沿岸のマングローブ林を拡大・維持して、嵐や海面上昇の影響を軽減するとともに、廃棄物の投棄場所として使われてきた漁場の再生も目指している。

観光と港湾物流への依存から脱却し、自然により配慮した経済モデルへ移行する計画だ。

「モンバサの人々に固有のブルー経済の強固な基盤を築き、海洋生態系を活用しながら保全していきたい」と同氏は付け加えた。

(1ドル=109.5000ケニア・シリング)

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