高温が私たちの健康に及ぼす影響について、研究者が明らかにしていることを解説する必読記事5選。
湿度は命に関わる要因です。汗をかいて脱水症状を招く一方、汗が皮膚から蒸発しないため、体が冷える感覚を得られません。
極端な暑さや温暖化する気候では、年齢、暑さへの耐性、場所、食品衛生もすべてリスク要因です。
「全米統合熱・健康情報システム(NIHHIS)」とheat.govのウェブサイトを2022年7月26日に立ち上げたバイデン政権は、熱波と気候の温暖化を深刻な健康上の脅威として挙げました。この新たな取り組みが、気温上昇への「科学的知見に基づく対応」を掲げるなか、『The Conversation』のアーカイブから、暑さと健康について研究者が明らかにしていることを解説する記事を5本紹介します。
1. 湿度が鍵
熱波はさまざまな形で命を脅かしますと、ワシントン大学で生理学と神経科学を教えるウィリアム・カルヴィン氏は述べています。
「大量の発汗による脱水症状を通じて、熱波は命を奪うことがあります。血中のナトリウム濃度とカリウム濃度が変化すると、心臓と神経の細胞が混乱し、呼吸や心拍が突然止まることもあります」と同氏は記しています。
カルヴィン氏は、人間の体は湿度を伴う極端な暑さに対処できるよう進化していないと説明しました。「通常、汗は皮膚から蒸発し、体温が下がります。しかし湿度が高いと、空気はすでに水蒸気で飽和しているため、汗の蒸発による冷却が止まります。それでも汗は出続け、脱水症状の危険が高まります。」
2. 気温上昇で暑さへの耐性は低下
「気温と湿度の組み合わせによって人の深部体温が上昇し始める状態は、『臨界環境限界』と呼ばれます」と、暑さが健康に及ぼす影響を研究するペンシルベニア州立大学の研究者グループは記しています。メンバーはW・ラリー・ケニー、ダニエル・ベチェリオ、レイチェル・コトル、S・トニー・ウルフです。
人間の体が暑さに耐えられる限界を調べる、まれな実験室での試験で、研究者たちはその限界は従来の想定より低いことを明らかにしました。気温が華氏約100度(摂氏38度)の場合、湿度がわずか60%でも体調への悪影響が現れ始める可能性があります。これは研究者が2010年に示した基準より、気温が高く湿度が低い条件です。
「この限界を超えると、深部体温は上昇し続け、長時間さらされた場合に暑さに関連する病気にかかるリスクが高まります」と研究者たちは記しています。「今回の試験結果は、懸念がさらに大きいことを示しています。」
3. 年齢も重要
家庭医で、テキサスA&M健康科学センター医学部で教えるガブリエル・ニール医師によると、極端な暑さは特に70歳を超える人にとって危険です。
ニール氏は、熱中症を防ぐ方法についての記事で、高齢者が暑さに関連する病気にかかりやすい要因を説明しました。
「年齢を重ねると、体を冷やす能力が低下します。高齢者は、その能力をさらに損なう薬を服用していることも少なくありません」とニール氏は記しています。「また、危険な熱波に気づかなかったり、自宅のエアコンが使えなかったり、様子を見に来てくれる人がいなかったりする場合もあります。」
4. 湿潤でも乾燥でも、暑さは暑さ
暑さと湿度が問題ですと、ミシシッピ州立大学で運動生理学を教えるジョンエリック・スミス氏は記しています。
「高温の砂漠気候では極端な気温が体に負担をかけます。一方、湿潤な亜熱帯気候では汗がなかなか蒸発せず、体から熱を逃がしにくいため、負担がかかります」と同氏は記しています。
スミス氏はさらに、暑さと湿度が人々に及ぼす影響は、その地域で通常見られる天候や、住宅や建物に備わる冷房設備などの要因によって異なると述べています。
5. 食品も温まる
タフツ大学の疫学者エレナ・ナウモワ氏は、食べ物を安全な状態に保つことが気候の温暖化に伴い、ますます難しくなっていると警告しています。「温暖で湿潤な気象条件は細菌の増殖を促すためです」と同氏は記しています。
ナウモワ氏は、気候に関連して食中毒の拡大を招く要因をいくつか挙げました。「深刻化している問題の一つは、熱波、山火事、激しい嵐による停電が増えていることです。その結果、店舗、生産・流通拠点、家庭での食品の保管や取り扱いに影響が及びます」と同氏は記しています。



