気候変動対策の鍵となるメンタルヘルスと人間のレジリエンス

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The climate crisis will undoubtedly affect our mental health.Image: Unsplash/Ümit Bulut
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  • 気候危機はメンタルヘルスに悪影響を及ぼし、その結果、持続可能な地球に必要な変化を実現する力が損なわれる。

  • COP27では、人間のレジリエンスという課題が、国連のRace to Resilienceイニシアチブに組み込まれる。

  • COP2(人々と地球を大切にする)という気候・メンタルヘルス関連団体のグループは、各国の気候変動対応の一環として、メンタルヘルスに関する行動を提言するために連携している。

地球温暖化を産業革命前の水準から十分に2℃未満に抑えるという国連のパリ協定と、それに続く法的、財政的、実施上の枠組みによって、持続可能な地球を実現するために何がいつまでに必要かを、私たちは全体として把握している。

まだ存在しないのは、人々のレジリエンスに関する世界的な計画だ。そこには、気候危機の影響を最も受けやすい地域社会に暮らす約40億人も含まれる。

これは重大な欠落である。気候変動がメンタルヘルスに及ぼす影響を示す証拠が増えているからだけではない。メンタルヘルスの悪化が、適応し、変革し、持続可能な地球が今まさに必要とする変化を推進する私たちの集団的な能力にも影響するからだ。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、第6次報告書で、「健全な生態系は気候変動に対するレジリエンスが高い」と指摘した。これは自然の生態系だけでなく、人間や社会の生態系にも当てはまる。

メンタルヘルスと感情面のレジリエンスを強化する地域社会や国の制度に投資しなければ、人々が気候変動の影響に対処し適応する力を失い、さらに悪影響に直面するたびに、脆弱性が高まりレジリエンスが低下するという悪循環を招くおそれがある。

国連開発計画(UNDP)は、最新の人間開発報告書でこのパラダイムシフトを詳述し、「メンタルウェルビーイングが攻撃にさらされている」と説明している。その程度は、平和で結束力のある社会の展望や、人新世の不確実性と課題に対処できる人間開発を脅かすほどだ。

深刻化するメンタルヘルス不調の負担

世界保健機関(WHO)はメンタルヘルスを、生活上のストレスに対処し、自分の能力を発揮し、よく学びよく働き、地域社会に貢献する力と定義している。

メンタルヘルスは、それ自体に価値があると同時に、他者とのつながり、日常生活の営み、困難への対処、充実した暮らしを支える手段としての価値も持つ。Image: 世界保健機関

メンタルヘルスは、全般的なウェルビーイングや生産性、急速に変化する複雑な世界を生き抜く力にとって重要である。それにもかかわらず、メンタルヘルスのニーズと支援の提供との間には、依然として深刻な隔たりがある。

WHOは、2022年の世界メンタルヘルス報告書で、「ほとんどの社会と、ほとんどの保健・社会制度はメンタルヘルスを軽視し、人々が必要とするケアや支援を提供していない……」と結論づけている。

WHOはまた、世界で約10億人がメンタルヘルス障害を抱えており、その80%が低・中所得国に暮らし、そこでは75%を超える人々が治療をまったく受けられないと指摘した。

子どもや青少年では特に状況が深刻で、専門人材は「ほぼ存在しない」。一方、メンタルヘルス障害の50%は14歳までに発症する。WHOは、今後10年間で、うつ病が他のどの疾患よりも各国に大きな負担をもたらすと予測している。

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気候とメンタルヘルスを結びつける

すでに世界的なメンタルヘルス危機が深刻化するなか、2022年2月、IPCCは報告し、「非常に高い確信度」で気候変動の影響が「メンタルヘルスをさらに脅かす」と予測した。その要因として、「高温への曝露、異常気象、移住、栄養不良、紛争、気候関連の経済的・社会的損失、気候変動への懸念に伴う不安や苦痛」を挙げている。

IPCCは、子どもや青少年、特に女子、高齢者、既存の精神的・身体的・医学的な課題を抱える人々が、最も大きなリスクにさらされていると指摘する。

IPCCの結論は、気候危機がメンタルヘルスに及ぼす影響についての研究の蓄積と、人々と地球の双方に恩恵をもたらすうえで最も効果的と実証されつつある介入策の科学的根拠への投資拡大を反映している。

ウェルカムは2023年、この世界的な研究を理解し、統合するための大規模な取り組みを主導する。その過程で、気候変動とメンタルヘルスに関する研究を政策や行動に反映する機会を特定し、データと科学に基づいて提言を行う。

現在および予測される気候変動の影響から生じる、身体とメンタルヘルスへの脅威。Image: インペリアル・カレッジ・ロンドン

気候変動の人間的側面を考える必要性

世界中で、専門家も活動家も、気候変動の人間的側面を考慮する重要性をますます認識している。この機運の高まりを受け、行動を招集し調整する取り組みが始まった。

COP2(人々と地球を大切にする)は、気候・メンタルヘルスの専門家や制度改革の担い手、若者のネットワーク、サステナビリティとウェルビーイングの実践者、地域リーダー、研究者など、250を超える組織による世界的なネットワークである。

このネットワークは、既存の気候変動イニシアチブや公約にメンタルヘルスを組み込むために協働しており、COP27では、Race to Resilienceと連携する。これは、気候危機の影響を最も受けやすい地域社会に暮らす何十億もの人々の適応努力を支援するため、UNFCCCハイレベル・チャンピオンズ事務局が主導する取り組みである。

オブザーバーとしてCOP2イニシアチブに加わったWHOは、最近、各国がすでに実施できる、レジリエンスを築き、気候危機がメンタルヘルスに及ぼす悪影響に対応するための行動をいくつか紹介した。

人を育み、地球を育む

人々の強固な社会的つながりを維持することは、気候変動による混乱やトラウマが続くこれからの年月を、私たちが個人としても集団としても乗り越えるうえで、まさに中心的な役割を果たす。

気候危機が私たちのメンタルヘルスに影響を及ぼすことは間違いない。しかし、うまく対処し、立ち向かうために自分たちをどれほど備えられるかは、今も私たちの手に委ねられている。

メンタルヘルスを守り強化するために今整える制度は、私たちの未来と、生命を維持する集団的な能力に大きな影響を与える。人と地球は切り離せない。双方に影響を及ぼす課題に、ともに取り組む時だ。

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