脱炭素化には、再生可能エネルギー、電化、エネルギー効率の向上が必要です。
エネルギー効率は、可視化、測定、集約、促進、法制化が難しいものの、その効果は計り知れません。
エネルギー使用量の削減に役立つ技術はすでにあります。今必要なのは、そのための枠組みです。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が8月に発表した報告書は、破壊的なほど明白な内容でした。ギリシャ、カリフォルニア、シベリアで山火事が猛威を振るう中で発表されたこの報告書は、気候変動が「広範囲に及び、急速に進行し、激しさを増している」という現実を突きつけました。
状況は深刻ですが、希望の光もあります。気候変動の原因は分かっています。温室効果ガスの排出削減が、気候変動を緩和する最善の方法だと分かっています。そして、排出を抑える手段もすでに数多くあります。
つまり、ゼロから始めて脱炭素化の車輪を発明する必要はありません。必要なのは、既存のアプローチや技術を加速させることです。その中には、潜在力が今なお広く過小評価されているものも含まれます。
簡単に言えば、脱炭素化というパズルの主要なピースは、再生可能エネルギー、電化、エネルギー効率の向上の3つです。
最初の2つは比較的理解しやすく、文字どおり触れて実感できます。
クリーンな再生可能エネルギー源である太陽光、風力、波力、バイオマス、水力は、依然として世界全体のエネルギー構成のごく一部を占めるにすぎません。しかし、世界の多くの地域で大規模な投資、技術の進歩、積極的な政策立案が進み、商業的な競争力が高まっています。中国からカリフォルニアまで、風力発電所や太陽光パネルは今や至る所にあります。また、これらは世界の大半の地域で石炭火力発電所より安価な電力を生み出しています。
電化の面では、ほぼすべての大手自動車メーカーが、内燃機関技術を段階的に廃止し、電気駆動の車種に切り替える準備を進めています。2050年までに、世界の道路を走るEVは最大7億台に達する可能性があります。これは世界の自動車販売の半数を超える数で、調査会社ウッド・マッケンジーによると、2020年末の1,000万台強からの大幅な増加です。。
しかし、脱炭素化の第3の手段は、太陽光パネルや電気自動車の普及ほど理解されておらず、注目も集めていません。その起点と効果が、分散しているからです。何百万もの行動や場所、つまり家庭、工場、交通システムにわたって広がっています。エネルギー効率は、自動車や暖房システムの電化、あるいは都市の電力網のグリーン化などに比べて、可視化、測定、集約、促進、法制化が困難です。姿の見えない敵なのです。
しかし、排出削減への実際の効果は計り知れません。国際エネルギー機関の推計によると、世界の炭素排出量の約80%はエネルギーに由来します。この無駄に対処し、工場、家庭、建物、そして経済全体がそもそも使うエネルギー量を減らすことは、気候への影響を軽減する大きな(しかも比較的容易な)方法です。
最も基本的な形で言えば、エネルギー効率の向上とは、断熱性を高めることです。断熱によって、一般家庭、倉庫、高層オフィスビル、空港ターミナル、ショッピングモール、さらにはデータセンターでの暖房(または冷房)の損失を抑えます。
しかし、これは始まりにすぎません。産業分野では、自動化とデジタルツールを使って、機械や半導体チップ、さらにはありふれた牛乳パックを作るためのプロセス、生産性、性能、エネルギー使用を最適化できます。
建物、都市、インフラでは、IoT対応のビル管理システムが、漏水するバルブを検知したり、リアルタイムのデータ分析に基づいて、その時々にいる人の数に合わせて暖房、照明などのシステムを自動調整したりすることで、エネルギー使用と無駄を大幅に削減できます。
一方、電化そのものが、エネルギー効率の向上と脱炭素化に最適な手段です。同じ効果を得る場合、ヒートポンプやEVは化石燃料を使う従来の機器や車両より何倍も効率的です。
確かに、世界各地の政府、消費者、企業は、こうした可能性の一部に目を向け始めています。例えば、建物のエネルギー効率向上は、欧州グリーンディールの重要な柱です。
また、こうした取り組みの多くは今すぐ実現でき、今日すでに存在する技術を使えます。比較的容易に実現できる取り組みであり、電池技術の改良や原材料鉱山への数十億ドル規模の複数年投資を必要としません。投資収益も、多くの人が考えるより大きく、早く得られます。
それでも、エネルギーは気候危機との闘いにおける縁の下の力持ちであり続けています。華やかさがなく、生活に密着した、ごくありふれた存在です。複層ガラスやデジタル技術で最適化された空調システムは、全長100メートルの風力タービンや電動トラックほど魅力的ではありません。
世界を炭素依存から脱却させるには、私たち全員が、より迅速に、より多くのことを行う必要があるのは明らかです。幸い、活用できる手段や導入できるツール、技術は数多くあります。COP26は、気候変動との闘いが目を引くものだけに限られないことを振り返り、思い起こす機会です。単にエネルギー使用量を減らすという地味な考え方こそ、気候変動との闘いにおける真の縁の下の力持ちなのです。
持続可能な都市開発を推進するため、世界経済フォーラムは何をしているのでしょうか?
都市は世界の温室効果ガス排出量の75%を占め、世界人口の半数以上が暮らしています。この割合は2050年までに3分の2に達する見込みです。よりクリーンなエネルギーを優先することで、都市は地球温暖化を2°C未満に抑えるために必要な排出削減量の半分以上に貢献できる可能性があります。これはパリ協定に沿った水準です。
2050年までにネットゼロで自然にプラスの影響をもたらす都市とコミュニティを実現するため、世界経済フォーラムは官民の関係者と連携し、地域での行動を通じて世界的な意欲を高める取り組みを進めています。ここでは、その一部を紹介します。
ダボス・バウクルトゥール・アライアンス:気候レジリエンス、持続可能性、建築環境におけるサーキュラリティの原則に基づき、建物、インフラ、公共空間の質の高い計画、建設、管理を推進します。詳しくはこちら。
グローバル新モビリティ連合:渋滞と排出を減らし、EVインフラを強化し、都市の移動と配送を変革する新たな解決策を探ります。詳しくはこちら。
都市イノベーション連盟:イノベーターや起業家を新たな市場や機会につなぎ、生活の質と地域経済を再構想し、形づくります。詳しくはこちら。
G20グローバル・スマートシティ・アライアンス:気候レジリエンスを構築し、人々のウェルビーイングを高め、都市や地域コミュニティが直面する最も差し迫った課題に取り組む、賢明で実践的な解決策の実現を加速します。詳しくはこちら。
旅行・観光の未来:文化遺産を保全し、自然の生態系を守りながら、包摂的で持続可能な経済成長を推進します。詳しくはこちら。。
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