極端な暑さにより、人類の3分の1がより涼しい地域への移住を余儀なくされる可能性がある。
新たな報告書によると、私たちの大半は気温の「ニッチ」に暮らしているが、それは縮小し始めている。
気候変動が加速するにつれ、多くの人々にとって大規模な移住が避けられない運命となる。
しかし、科学者らは、気候変動を抑えるのに遅すぎることはないと述べている。
気候変動を食い止めたり、その影響を緩和したりするための行動を起こさなければ、極端な暑さを避けるために、全人類のほぼ3分の1が住まいを離れ、より涼しい気候の地域へ移住せざるを得なくなる可能性があると、新たな報告書が警告している。
気候難民となることを余儀なくされる可能性のある人々の数について、今回示された最新の推計は、これまでの予測を大きく上回る。2021年9月時点では、世界銀行は、その可能性が高い人数を2億1,600万人と推計していた。
しかし今回、科学者らによる国際チームが報告書を発表し、気候変動を減速させるために何もしなければ、平均気温が29℃を超える環境から逃れるため、今後50年間で35億人が住まいを離れなければならなくなる可能性があると警告している。
科学者らによると、地球温暖化を2℃に抑えた場合でも――これは、2015年のパリ気候協定で定められた目標を0.5℃上回る水準だが――世界で最も暑い地域から約15億人が追われ、気候難民となる可能性がある。
「最も大きな影響を受ける可能性のある地域は、適応能力が低い世界でも最貧困の地域に含まれるため、気候変動の緩和と並行して、そうした地域の人間開発を促進することを優先すべきだ」と報告書は付け加えている。
「人類が暮らせる気温のニッチ」とは?
この研究によると、地球上の他の生物と同様、人類の大半は、人間の暮らしに最適な気温の範囲にある場所に定住してきた。研究者らはこれを「人類が暮らせる気温のニッチ」と呼んでいる。
「何千年もの間、人類は地球上に存在する気候のうち、驚くほど狭い範囲に集中してきました。その地域の特徴は、年平均気温が約13℃であることです」と研究者らは述べる。「すべての種には環境ニッチがあり、技術が進歩しても、人類が例外である可能性は低いでしょう。」
「この驚くほど一定した気候ニッチは、人類が生き延び、繁栄するために必要なものに対する根本的な制約を表している可能性が高い」と、報告書の著者の一人であるワーヘニンゲン大学のマルテン・シェファー教授は述べた。フィナンシャル・タイムズに掲載された発言
しかし科学者らによると、気候変動に起因する地球温暖化によって、人類が暮らせる気温のニッチの地理的な位置は、今後50年間で、過去6,000年間に移動した距離を上回るほど移動する見通しだ。
科学者らの計算では、地球の気温が1℃上昇するごとに、10億人が人類の気温ニッチを超える気温の地域に暮らすことになる。さらに、海面上昇や異常気象が、こうした地域の人々への影響を深刻化させる。
気候変動を抑えるのに遅すぎることはない
「移住は、研究やイノベーションの促進など、社会に好ましい影響をもたらすことがあります。しかし、規模が大きくなると、移住は必然的に緊張を生みます。出生国の外に暮らす人が比較的少ない2億5,000万人にとどまる現在でさえ、そうなのです」と報告書は付け加えている。
科学者らは、報告書が描く事態は避けられないものではないと強調する。「気候変動を緩和し、適応能力を高めるのに遅すぎることはありません。特に、グローバルサウスの人間開発を促進することが重要です」と彼らは付け加えている。
「人類が地球温暖化の抑制に成功すれば、こうした影響を大幅に軽減できるというのが朗報です」と、報告書の共著者であるエクセター大学のティム・レントン教授は述べた。フィナンシャル・タイムズに掲載された。
世界の指導者への警告
世界の指導者に向けた時宜を得た警告として、報告書は、気候変動対策の費用を算出する際、大規模な移住がもたらす経済的・人的影響を無視してはならないと述べている。
また、気候変動の影響を最も受ける可能性が高い地域は、人口増加もより急速に進むと見込まれる地域だと付け加えている。
「要するに、今後数十年の間に、人類の気候ニッチは前例のない形で高緯度地域へ移動すると予測されています」と報告書は述べている。
「気候変動対策の失敗」は、世界の未来に対する長期的リスクのうち、影響が最も大きく、発生可能性が2番目に高いものとして、世界経済フォーラムの『グローバルリスク報告書2021』で特定された。同報告書は、気候変動を地球に対する存亡の危機と位置づけている。





