解説:気候変動が熱波と山火事を引き起こす仕組み

As climate changes drives heatwaves, wildfires are also set to become more common.
As climate changes drives heatwaves, wildfires are also set to become more common.Image: Unsplash/Joanne Francis
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  • 科学者によると、欧州、米国、中国はいずれも熱波に見舞われており、気候変動によってその頻度と強度が増しています。

  • 世界の平均気温は産業革命前より約1.2℃高くなっています。

  • 気候の温暖化が続くにつれ、熱波はさらに深刻化すると予測されています。

今週、欧州と米国は猛烈な熱波に襲われており、8月下旬まで中国の広い地域にも焼けつくような暑さが及ぶと予測されています。

気温が40℃(104℉)を超えるだけでなく、南欧各地では山火事が猛威を振るい、イタリアやギリシャの町では住民が避難しています。

焼けつくような暑さは、世界的な気温上昇の傾向の一部であり、科学者はその原因を人間活動にあるとしています。フランシスコ教皇は木曜日、気候変動、異常気象、生物多様性の喪失から生じる地球の「苦悶の叫びの合唱」に耳を傾けるよう、世界の指導者たちに呼びかけました。

熱波の高温化と頻発化

気候変動によって、熱波はより高温になり、頻度も高まります。これは陸地の大半の地域で当てはまり、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)も確認しています。

人間活動による温室効果ガスの排出で、地球は産業革命前から約1.2℃温暖化しました。基準となる気温が上がったため、極端な高温現象ではさらに高い気温に達する可能性があります。

「現在私たちが経験している熱波はどれも、気候変動によって、より高温になり、頻度も高まっています」と、インペリアル・カレッジ・ロンドンの気候科学者で、World Weather Attribution研究連携の共同代表も務めるフリーデリケ・オットー氏は述べました。

ただし、熱波にはほかの条件も影響します。欧州では大気の循環が重要な要因です。

今月、学術誌『ネイチャー』に掲載された研究によると、欧州の熱波は、米国など北半球のほかの中緯度地域よりも3〜4倍速いペースで増加しています。著者らは、その原因としてジェット気流(北半球を西から東へ高速で流れる気流)の変化を挙げました。

気候変動の痕跡

特定の熱波に気候変動がどの程度影響したのかを正確に調べるため、科学者は「イベント・アトリビューション研究」を行います。2004年以降、熱波、洪水、干ばつなどの異常気象について400件を超える研究が実施され、それぞれに気候変動がどの程度関与したかが算定されています。

この研究では、現在の気候を何百回もシミュレーションし、人間活動に起因する温室効果ガスの排出がなかった場合の気候シミュレーションと比較します。

例えば、World Weather Attributionの科学者らは、2019年6月に西欧で発生した記録的な熱波について、人間が気候を変えていなかった場合に比べ、現在のフランスとオランダで発生する可能性が100倍高かったと明らかにしました。

熱波はさらに深刻化する

世界の平均気温は産業革命前より約1.2℃高くなっています。この温暖化はすでに極端な高温現象を引き起こしています。

「陸地では平均して、人間が気候に影響を及ぼさなければ10年に1度起きる高温現象が、現在は3倍の頻度で起きています」と、チューリヒ工科大学の気候科学者ソニア・セネビラトネ氏は述べました。

気候変動の影響で熱波が年々増加するなか、消防士が火災を消火している。Image: REUTERS/Matthias Rietschel.

人間が大気中への温室効果ガスの排出を止めない限り、気温上昇は止まりません。それまでは熱波がさらに深刻化すると予測されます。気候変動対策を怠れば、極端な高温現象はさらに危険な水準まで悪化するでしょう。

各国は2015年の世界的なパリ協定のもと、最も危険な影響を避けるため、地球温暖化を2℃に抑え、1.5℃を目指せるだけの速さで排出量を削減することに合意しました。しかし、現行の政策ではどちらの目標を達成するにも削減のペースが不十分です。

IPCCによると、産業革命前に10年に1度起きていた熱波は、温暖化が1.5℃に達すると10年に4.1回、2℃に達すると5.6回起きるようになります。

温暖化が1.5℃を超えれば、今後はほとんどの年に「極端な高温が生じることになる」とセネビラトネ氏は述べました。

気候変動が山火事を引き起こす

気候変動は高温で乾燥した状況を増やし、火災の延焼を速め、燃焼時間を長くし、勢いを強めます。

地中海地域では、その影響で火災シーズンの開始が早まり、焼失面積も拡大しています。昨年は欧州連合(EU)で50万ヘクタールを超える土地が焼失し、2017年に次いで記録上2番目に深刻な森林火災シーズンとなりました。

気温の上昇は植物から水分も奪い、植物を乾燥した燃料に変えて火災の延焼を助長します。

「今のように高温で乾燥した状況は、火災をはるかに危険にします」と、コペルニクスの上級科学者マーク・パリントン氏は述べました。

ポルトガルやギリシャなどでは、ほとんどの夏に火災が発生し、対処のためのインフラも整備されていますが、両国ともこの夏、EUの緊急支援を受けました。さらに気温の上昇により、山火事に慣れておらず、対処への備えも十分でない地域にも火災が広がっています。

火災の要因は気候変動だけではない

森林管理や出火原因も重要な要因です。EUのデータによると、欧州の火災の10件中9件以上は、放火、使い捨てバーベキュー器具、送電線、ポイ捨てされたガラスなど、人間活動が原因で発生しています。

スペインを含む各国では、人々が都市に移り、農村部の人口が減少するという課題に直面しています。その結果、植生を除去し、森林火災の「燃料」となるものが蓄積しないようにする作業員が不足しています。

大規模な火災を抑えるため、自然の生態系の循環に見られる低強度の火災をまねた計画的な火入れや、森林内に防火帯を設けて火災が広範囲に急速に広がるのを防ぐ取り組みなどが有効です。

しかし科学者らは、気候変動を引き起こす温室効果ガスを大幅に削減しなければ、熱波、山火事、洪水、干ばつは著しく悪化するとの見方で一致しています。

「1、2十年後に今の火災シーズンを振り返れば、比較的穏やかだったように思えるでしょう」と、スペインのリェイダ大学で森林工学を教えるビクトル・レスコ・デ・ディオス氏は述べました。

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