熱波に見舞われる都市、住民を涼しく保つ新たな方法を試す

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  • 地球温暖化の進行に伴い、熱波が長期化し、頻度も増すなか、リスクにさらされている人々を守る政策を求める声が高まっている。

  • 多くの都市が、熱波に備えるための資金を拠出する保険制度から、湿度を下げるための植樹まで、人々の安全を守る革新的なアイデアを模索している。

  • 専門家によると、再生可能エネルギーへの投資は、冷房需要の急増がさらなる気候変動や世界各地での熱波の深刻化につながるのを防ぐ助けとなる。

化石燃料による排出量が増え、地球温暖化が進むにつれて、より厳しく、長期化し、頻度も増す熱波が発生し、より多くの人命を奪う可能性がある。

5月、インドとパキスタンの一部地域では気温が耐え難い50度(華氏122度)に達した。科学者によると、気候変動によってこの気温上昇が起きる可能性は30倍高まっていた。

今週、米国の広い範囲で華氏100度(摂氏38度)を大きく上回る熱波が予想されている。さらに、通常は過ごしやすいロンドンでも、金曜日には気温が摂氏32度(華氏90度)を超えると予測されている。

「この気温は、危険な熱波に対処するため、私たち全員がより十分な備えをしなければならないという深刻な警告と受け止めるべきです」と、赤十字・赤新月社国際連盟(IFRC)のフランチェスコ・ロッカ会長は警告した。

専門家によると、世界的に備えが遅れている一方で、多くの都市が人々の安全を守る革新的なアイデアを模索している。熱波に先立つ準備に資金を提供する保険制度から、太陽光発電を行う日よけまで、さまざまだ。

高まる熱波のリスクと、その対処法について知っておきたいことを紹介する。

熱波にはどのようなリスクがあるのか?

保健の専門家によると、「サイレントキラー」とも呼ばれる熱波は、毎年、他のどの災害よりも多くの死者を出している。

しかし、熱波による死者の大半は自宅で発生し、暑さが既存の脆弱性を悪化させる。たとえば心臓病などが悪化するため、被害は見えにくく、死者数も過少に集計されがちだ。

医療関係者によると、体温調節が難しい高齢者や幼児は特に脆弱だ。また、妊娠中・授乳中の女性、障害のある人、暑い環境で働かざるを得ない人もリスクが高い。

熱波は死者を出すだけでなく、睡眠不足によって労働災害を増やすほか、山火事や作物の不作から水や電力の不足まで、さまざまな問題を引き起こし、死亡率を押し上げることもある。

C40都市気候リーダーシップグループで気候適応を統括するアマンダ・イケルト氏によると、オーストラリアでは極端な暑さによって花粉を含む雨を伴う雷雨が発生し、ぜんそくによる死亡者が急増したこともある。C40は、気候変動対策に取り組む都市のグローバルネットワークだ。

リスクを減らすため、どのような対策が取られているのか?

ギリシャの首都アテネでは、ハリケーン警報のように、危険度に応じて熱波を分類するシステムの試験運用が始まっていると、同市の「最高暑熱対策責任者」エレニ・ミリヴィリ氏は語る。この役職名自体も革新的だ。

このシステムは、天気予報と過去の熱波による死亡データを取り込むアルゴリズムを使い、特定の日のリスクの程度を人々がより明確に把握できるようにするという。同氏はこれを「状況を一変させるもの」と評した。

東京では、暑い地域の風通しを良くするため、当局が風の通り道となるトンネルの実験を行っている。一方、テルアビブでは、公共広場にソーラーパネル付きの明るい色の布製日よけを設置している。発電した電力で夜間に広場を照らし、安全性と魅力を高め、昼夜を問わず利用しやすくする。

ケープタウンとブエノスアイレスでは、公営住宅に明るい色の屋根など、熱を抑える屋根を設置している。一方、クアラルンプールでは、再生可能エネルギーと天然の水域を利用し、冷水を各家庭に送る「地域冷房」システムを検討している。

オーストラリアの一部都市では、赤十字の職員が暑い日にリスクの高い人々へ電話をかけ、応答がなければ緊急サービスを派遣している。

一方、スペインの都市では、ビーチでの熱中症に対応するため、救急車を浜辺に配置する試みが行われている。

ほかの都市では、低所得世帯が扇風機やエアコンを使い続けられるよう、助成金を提供している。

熱波の間も水道と電力を供給し、人々が涼しく過ごすために必要な手段を確保できるよう、基盤となる供給システムを強化する幅広い取り組みも、命を救ううえで欠かせないと暑熱対策の専門家は語る。

熱波のリスクを大きく高める湿度を下げるため、空気中の水分をより多く吸収する、または葉から放出する水分が少ない樹種を植える取り組みを検討する都市もある。

暑熱リスクを抑える対策には費用がかかるものもあるが、安価で簡単なものもあると専門家は述べた。たとえば、熱波の際に何をすべきかを伝えるメッセージを正確で分かりやすくすることだ。

たとえば、冷房のある避難施設に行くよう脆弱な人々に促しても、施設に十分なスペースがなかったり、遠すぎたりすれば意味がない。日陰のある道や冷房の効いた交通手段を使って安全に移動できなければ、利用者はそこへたどり着けない。

気候変動に対して、世界経済フォーラムはどのような取り組みをしているのか?

熱波保険は本当に利用できるのか?

カリブ海地域の多くの国を含め、ハリケーンの危険が高い国々では、各国政府が長年にわたり、あらかじめ定めた基準(一定の風速や降雨量など)を超えた場合に迅速な支払いを受けられる保険契約を購入してきた。

この「パラメトリック保険」は、損害査定人が被害を評価して報告書を提出するのを待たずに、復旧作業を始めるための資金を政府に迅速に届けられる。

アフリカでは、小規模農家の間でも、過度の暑さや干ばつによるものを含め、作物の損失に迅速に対処するため、同様の保険を利用する人が増えている。

現在、専門家は同様の熱波保険の開発に取り組んでいる。猛暑が予測された段階で事前に保険金を支払い、政府の契約者に準備のための資金と時間を提供する仕組みで、冷房のある避難施設の設置などに活用できる。

こうした保険の将来的な購入を検討している都市の一つ、アテネのミリヴィリ氏は、暑熱リスクの軽減に「保険は非常に大きな役割を果たす」と語った。

さらなる対策を妨げているものは何か?

世界の多くの地域では、熱波のリスクに対する脆弱性が認識され始めたばかりだ。たとえば、通常は温暖な米国太平洋岸北西部やカナダのブリティッシュコロンビア州は、昨夏、焼けつくような暑さに衝撃を受けた。

専門家によると、命に関わる熱波が襲来するまでは、場合によっては襲来した後でさえ、政府は対処中のほかの課題より優先すべき問題かどうか確信が持てず、予算の振り向けに消極的になり得る。

また、対策に資金を出す政治家が退任した後になって初めて効果が現れるかもしれない熱波への備えに投資することも、指導者の行動をためらわせる要因になり得るという。

さらに、効果的な暑熱対策計画を策定するには、保健や交通から公園、建築基準まで、政府のさまざまな部門間の連携が必要であり、イケルト氏はこれを「課題」と呼んだ。

しかし、対策を講じないことのリスクは大きいと同氏らは付け加えた。科学者は、死者や失業、その他の経済的損失だけでなく、抗議活動や社会不安が起きる可能性も予測している。

気候変動を引き起こす排出量の削減も、暑熱リスクを抑えるうえで極めて重要だと専門家は述べた。

たとえばインドとパキスタンでは、猛烈な暑さを受けて、需要の増加に対応するため、閉鎖されていた石炭鉱山や発電所の再開が進んでおり、排出量がさらに増えるおそれがある。

専門家によると、今、再生可能エネルギーに投資し、暑熱リスクを抑えることで、冷房需要の急増がさらなる気候変動や世界各地での熱波の深刻化につながるのを防ぐ助けとなる。

「こうした気温には……適応できません。自分たちを守る方法を見つけなければなりません」と、アテネのミリヴィリ氏は語った。

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