カーボンバジェットとは何か。ネットゼロ達成にどう役立つのか?

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この記事は2022年に初掲載され、2024年3月に更新されました。

  • カーボンバジェットは、各国政府が気候目標の達成に向けてどれだけ進展したかを測る基準となります。

  • 英国は2018~2022年のカーボンバジェットを達成しましたが、その一因は新型コロナウイルス感染症のパンデミック中に輸送部門の排出量が減少したことでした。

  • 世界経済フォーラムの見解によると、気候危機に起因する異常気象は、世界に影響を及ぼすリスクとして2番目に大きく、グローバルリスク報告書2024で指摘されています。

カーボンバジェットは、産業、家庭、その他経済のあらゆる部門からどれだけのCO₂が排出されているかを測り、将来、排出量をどれだけ削減する必要があるかを算出します。目指すのはネットゼロ排出の達成、すなわち大気中に放出される炭素と大気中から除去される炭素を均衡させることです。

しかし、炭素の蓄積が急速に進むなか、各国は想定よりも頻繁に予算を見直さざるを得なくなっています。

世界経済フォーラムは気候危機にどう取り組んでいるのか?

カーボンバジェットの仕組みとは?

カーボンバジェットは、農業などある部門で排出量が増加した場合、別の部門でそれに見合う削減を行い、全体のバランスを取ることを目指します。

カーボンバジェットは、排出の速度とそれに伴う気温の追加上昇を結び付け、段階的に気候目標を達成する道筋を示せるため、地球温暖化の抑制に役立ちます。また、再生可能エネルギーの利用など温室効果ガス(GHG)削減策の効果を評価し、炭素回収の取り組みや森林再生計画など、排出緩和につながる要因も考慮できます。

こうして、各国がネットゼロ達成にどれほど近づいているかを把握できます。英国や日本を含む一部の国は、法的拘束力のあるカーボンバジェットを設定しています。

ネットゼロへの道のり

排出量の削減は、気温上昇を産業革命前と比べて1.5~2°C以内に抑えるために欠かせません。それを超えれば、科学者によると、地域社会や人々の暮らしは、頻発する深刻な異常気象などの自然災害、海面上昇、生物多様性の減少によって打撃を受けます。

世界経済フォーラムの「グローバルリスク報告書2024によると、気候危機に起因する異常気象は今後2年間に世界に影響を及ぼすリスクのうち2番目に大きく、今後10年間では最大のリスクになるとされています。

ネットゼロは気温上昇を抑えると期待されており、強い支持を得ています。2015年、196カ国と欧州連合(EU)は、排出削減に向けて国連のパリ協定に署名しました。また、中国、米国、EUなど、炭素排出量が最も多い国々を含む70カ国以上が、2050年から2060年までにネットゼロを達成することを約束しています。これらの国々は世界の排出量の76%を占めます。

世界経済フォーラムは、ネットゼロ・カーボン・シティーズプログラムを立ち上げ、世界で最も人口の多い地域の脱炭素化を支援しています。

今後の課題

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、2023年に発表した最新の報告書で、世界の気温上昇、化石燃料による排出、気候への影響に関する5年間の報告を総括しました。

第6次評価報告書 統合報告書:気候変動2023 は、次のように警告しました。 1.5°Cの上限を守るには、排出量を2019年比で2030年までに少なくとも43%、2035年までに少なくとも60%削減する必要があります。それを実現するための決定的な10年です。

カーボンバジェットは、CO2排出量を測定し、将来どれだけ排出量を削減する必要があるかを算出します。Image: カーボン・トラッカー

これまでの進展

IPCCの報告書によると、排出量の増加ペースはその前の10年間のおよそ半分に低下しました。また、一部の国は、持続可能性を中心に据えた長期的な道筋を描くためにカーボンバジェットを活用しています。

例えばコスタリカの予算には、持続可能な公共交通への投資を確実に振り向けるための施策が含まれています。一方、海面上昇の影響を受けやすい島嶼国フィジーは、生態系の回復を目指しています。

また、どの国が最も厳しい予算を設定すべきかについても議論があります。最大の排出国が責任の大部分を負うべきでしょうか。それとも責任を分かち合うべきでしょうか。

英国は、2018年から2022年までを対象とする第3次カーボンバジェットを、余剰を残して達成しました。

しかし、排出目標について助言する独立機関である同国の気候変動委員会(CCC)は、政府に対し、余剰分を次期に繰り越さないよう警告しました。「後のカーボンバジェットを緩める」ことになるためです。

2008年気候変動法は、英国の温室効果ガス排出量について、5年間の法的目標としてカーボンバジェットを定めました。

CCCの暫定委員長であるピアーズ・フォースター教授は、グラハム・スチュアート下院議員に宛てた公開書簡で、次のように述べました。「今後のカーボンバジェットでは、脱炭素化の速度を上げ、その対象範囲を広げる必要があります。ネットゼロに向けて、野心的な排出削減の道筋を維持することが不可欠です。委員会の明確な助言は、第3次カーボンバジェットの余剰排出量を次期に繰り越すべきではない、というものです。」

書簡の付属文書では、予算の達成が容易になったのは「主として外部要因」によるものであり、具体的には「EU排出量取引制度(EU ETS)の上限が予想より厳しかったこと、GDPが予想を下回ったこと、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが輸送部門の排出量に及ぼした影響」が挙げられています。

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