3,000人の科学者が、各国政府と企業に気候変動への適応を「一層強化」するよう求める

Residents stand outside their shelter as they attempt to block flood water from the broken dykes on the Nile river, in Genyiel county, in Unity State of South Sudan
Rising sea levels and the increasing risk of floods are a very real risk of climate change.Image: REUTERS/Denis Dumo
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  • ノーベル賞受賞者5人を含む210カ国の科学者が、気候変動へのさらなる行動を求めている。

  • 科学者らは、気温上昇のリスクについて警告しており、その中には貧困の拡大や水不足の深刻化も含まれる。

  • この声明は、グローバル・センター・オン・アダプテーション(GCA)とオランダ政府が共同で開催した気候適応サミットと時を同じくして発表された。

  • GCAが2019年に発表した報告書では、気象早期警戒システムへの1.8兆ドルの投資により、7.1兆ドルの純便益が生み出される可能性があると試算されている。

3,000人を超える科学者が、温暖化する地球の影響から人々と自然を守るため、はるかに大規模な世界的取り組みを求めている。その一方で、研究者らは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにより、気候変動への適応に向けた資金が減少したと推計している。

声明の中で、ノーベル賞受賞者5人を含む科学者らは、各国政府がコロナウイルスによる打撃からの経済復興を目指す中で、高まる気候リスクへの対応を怠れば、深刻な結果をもたらし、特に最も貧しい人々にとってそれが顕著になると警告した。

「今すぐ行動を強化して適応しなければ、貧困の拡大、水不足、農業被害、そして人類の生命に甚大な犠牲をもたらす移住者の急増につながる」と、約120カ国の科学者は、世界適応サミットの開催に先立ち記している。

洪水や干ばつがより深刻になるなど気候変動により、2050年までに世界の食料生産の伸びが最大30%押し下げられる可能性があるほか、海面上昇と高潮の拡大により都市経済が破壊され、沿岸部に住む数億人が住居を追われかねないとも指摘している。

こうした事態を避けるためには、森林、湿地、サンゴ礁を含む自然を保全するための大規模な新たな取り組みが必要であるほか、都市、交通、エネルギー、その他のインフラを気候変動による衝撃からより安全なものにするための計画面での革新も必要だと、科学者らは述べている。

特に女子への教育の充実と、世界の既存の金融資源の再配分により、必要とされる大規模な適応を実現できるとも付け加えた。

「私たちは、変化する気候に対するワクチンは存在しないことを忘れてはならない」と、グローバル・センター・オン・アダプテーション(GCA)の会長を務める元国連事務総長の潘基文(バン・キムン)氏は述べた。同センターは、オランダ政府と共同で1月25日から26日に開催されるサミットを主催している。

「気候変動の影響に対する強靭性の構築は、あれば望ましいという類いのものではなく……持続可能で安全な世界で生きていくためには、不可欠なものである」と、潘氏は記者団に語った。

潘氏は、新型コロナウイルス危機と並行して、昨年は猛暑、干ばつの激化、そして各地での山火事が相次いだと指摘したうえで、世界がより早く自然を守り気候変動を防ぐための行動を起こしていれば、パンデミックは避けられた可能性があったとも付け加えた。

2021年はCOVID-19パンデミックからの回復に向けた取り組みによって特徴づけられるが、「今後数世紀」は、その回復がどれだけ環境に配慮したものになるかによって特徴づけられるだろうと、潘氏は述べた。

しかし、世界の適応に向けた進捗状況を評価したGCAの報告書は金曜日に発表され、化石燃料や高炭素排出活動を支援する政府のパンデミック対策の景気刺激策が、グリーン施策を4対1で上回っているとする研究結果を引用している。

また、気候政策イニシアティブ(CPI)による新たな推計にも言及しており、それによると、パンデミックにより予算が大きく逼迫したことから、2020年の適応向け資金は減少した可能性が高いものの、減少幅は10%未満にとどまるとされている。

パンデミックにより予算が大きく逼迫したことから、2020年の適応向け資金は減少した可能性が高い。Image: グローバル・センター・オン・アダプテーション

国連の報告書は先週、COVID-19危機の前からすでに資金が必要量を大きく下回っていたと指摘し、2017年から2018年にかけて適応に利用可能な資金は年平均300億ドルであったと述べた。

気候変動への適応コストの推計はさまざまであるが、CPIとGCAは、適応向け資金は現在の水準から5倍から10倍に増加する必要があると述べた。

気候関連の資金全体のうち、極端な気象や海面上昇への適応に充てられているのは約5%にすぎない。国連事務総長をはじめとする複数の関係者は、特に貧困国への財政支援において、その割合を半分まで引き上げるよう求めている。

財政面での再考

ロッテルダムに拠点を置くGCAのCEO、パトリック・フェルコーイェン氏は、気候変動への適応がパンデミックの「犠牲者」になっていると述べた。

「適応は加速する必要があるが、実際にはその加速が起こっていない。むしろ減速しているほどだ」と同氏は述べた。

GCAの報告書によれば、昨年、気候関連資金の主要な提供元である開発銀行は、途上国が保健医療制度への圧力に対処し、景気後退に直面する中で、コロナウイルス対策の救済パッケージを優先した。

一方、ロックダウンにより建設工事が停止し、種子、道具、技術的な専門知識などの資材がサプライチェーンの混乱によって期限内に届かなかったため、パンデミックは多くの適応プロジェクトに歯止めをかけた。

フェルコーイェン氏は、意思決定者が経済の活性化のために支出を準備している数兆ドルを、気候変動への強靭性の構築にも確実に振り向ければ、適応に向けた行動と資金の不足は挽回できると述べた。

「今こそ、適応への投資を劇的に拡大すべき時だ」と、同氏はトムソン・ロイター財団に語った。

GCAと科学者による声明は、財務面や事業面のインセンティブを全面的に見直す必要があると訴えた。現状のインセンティブは、長期的なリスクをほとんど反映できていない。

また、脅威をより適切に管理することで得られる潜在的な社会的・経済的便益にも、より多くの注目が向けられるべきだと指摘した。

GCAが2019年に発表した報告書では、気象早期警戒システム、気候変動に強いインフラ、乾燥地農業の改善、マングローブの保護、水の安全保障への投資に1.8兆ドルを投じることにより、7.1兆ドルの純便益が生み出される可能性があると試算されている。

フェルコーイェン氏は、極端な気象の悪化や海面上昇から人々を守る最善の方法は、2015年のパリ協定で合意された世界的な温暖化抑制目標を達成するため、気候変動を加速させる温室効果ガス排出を大幅に削減することだと強調した。

しかし、各国政府と企業がそのために再生可能エネルギーとエネルギー効率を十分な速さで拡大したとしても、「適応には依然として巨額の投資が必要だ」と同氏は述べた。すでに避けられない気候変動の影響が現れつつあるためだ。

適応を進めることは「敗北ではなく、単なる防衛である」と同氏は述べた。

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