各国は、気候変動対策のための資金を大幅に増やすと誓約した。
気候変動対策は今すぐ始め、効果的なものにしなければならないと、2人の専門家が論じる。
気候変動への取り組みで重要な役割を果たし得る地域の取り組みを、過小評価すべきではない。
ワンジラ・マタイは、世界資源研究所(WRI)の副所長兼アフリカ地域ディレクター。シーラ・パテルは、地域資源センター促進協会(SPARC)の創設者兼ディレクターであり、スラム居住者国際連盟の元議長。
COP26では、気候変動への適応を優先する必要性がようやく認識された。各国は、2025年までに適応資金を2019年の水準から倍増させることを約束した。これは、世界で初めて合意された適応資金目標である。
しかし、英国環境庁の「適応するか、さもなくば滅びるか」という厳しい警告が世界中に響き渡るなか、こうした誓約を今こそ大規模かつ即時の行動に移さなければならない。
今後発表される気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書は、気候危機における適応策の重要性を強調するものとなるだろう。
これは、気候変動の影響に直面する何百万人もの命を守るために必要な適応策への機運の高まりを受けたものだ。昨年は40カ国が適応行動連合(AAC)に加わった。英国とエジプトが共同議長を務める政府主導の連合で、2030年までに気候変動に強い世界を実現することを目指している。
こうした前進にもかかわらず、気候危機が深刻化するなかで極めて重要となる、地域主導の行動やリーダーシップに資金を振り向けるためには、まだ多くの課題が残されている。ほんの数週間前には、アナ暴風雨によりアフリカ南部一帯で2万1,000人が被災した。これは、2022年に入ってこれまでで最も犠牲者の多い気象災害である。
気候変動によって2030年までにさらに1億3,000万人が貧困ラインを下回る可能性がある一方、世界の気候変動対策資金のうち地域レベルの行動に向かう割合は10%を大きく下回る。気候正義の不均衡に対処する必要性は、かつてないほど切迫している。
世界資源研究所が世界各地の地域主導プロジェクト374件を体系的に検証したところ、地域主導型適応に沿った要素を含んでいた事例は22件、約6%にとどまった。しかし、適切に設計された地域主導の解決策は、並外れた成果をもたらし得る。
世界各地には、規模を拡大できる優れた取り組みの例がある。例えばインドは、しばしば「実証事業の墓場」と呼ばれる。地域社会からは賢明な解決策や革新的なアイデアが数多く生まれているが、実証事業の段階にとどまりがちだ。
その理由はさまざまだ。権力の不均衡、複雑な手続き、そして西洋の考え方を優先する傾向がある。
ケニアでは、政府や国際機関の支援を受けた郡レベルの気候変動基金により、雨水の貯留や砂防ダムの建設が可能になっている。これにより、干ばつの際にも地域社会は安定した水源を確保できる。
南米のグラン・チャコ地域では、クラウドソーシングによる早期警報システムを組み合わせた洪水防御システムによって、深刻な洪水に見舞われても何百万人もの人々の安全が守られた。
この地域には、女性主導の団体や先住民団体を含む地域組織のネットワークがある。これらの組織は、地域の気候変動への強靱性に関する意思決定に関わり、優先事項や解決策を発信するとともに、地方政府や国際的な資金提供者と連携している。
気候変動への適応における新たなイノベーションに地域の専門知識を生かす価値を、今こそ認識し、資金の配分を通じてそれを支援する必要がある。
2021年、適応に関する世界委員会は、資金配分の分権化を導く「地域主導型適応のための8原則」を策定した。影響力のある資金提供者、地域の市民社会組織、USAID、IrishAid、カナダのSida、デンマークとオランダの外務省などの政府機関が、英国政府とともにこの原則への支持を表明している。
これらの原則はAACを通じて支持されており、特に地域主導型適応の作業部会が推進している。権力の不均衡を是正するモデルへと上意下達のアプローチを転換し、気候変動の影響を最も近くで受ける地域の人々、コミュニティ、組織が、気候変動対策資金の使途を決定できるようにするための指針となる。
次の課題は、資金調達と意思決定の慣行を変え、気候変動対策資金を地域の担い手に届けて地域の優先事項を支えながら、これらの原則を活用して、より大規模かつ多額の資金を確保する方法だ。
実施に向けた明確な戦略がなければ、誓約は空約束に終わるおそれがある。目標を達成し、最前線に資金を届けるには、透明性と説明責任を確保する仕組みが必要だ。気候変動対策資金の流れを監視し、可視化しなければならない。
地域主導型適応(LLA)の原則にすでに賛同している国や組織は、権力を分権化し、最前線の地域社会に資金を届けるため、直ちに制度の抜本的な変更に着手すべきだ。
多国間開発銀行、気候基金、その他の資金提供者は、気候変動対策と開発政策が地域主導型適応を支援するよう、組織体制や政策を進んで見直さなければならない。これは、2030年までに気候変動に強い世界を実現するために緊急に必要である。
LLAに賛同する組織は、地域の担い手に権限と資源が確実に行き渡るよう、実効性のある行動を実行する責任を互いに問い続ける。
アフリカで開催されるCOP27に注目が集まる今こそ、地域主導型適応の原則を支持する国々、多国間組織、社会運動の連合に加わる時だ。地域の取り組みへのコミットメントを示し、今後1年のうちに明らかになる政策や資金調達において、言葉を行動に移そう。




