分析:英国の「異常な」40℃の暑さは、どのように「数週間前」に予測されたのか

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  • 今月初め、英国の気温が初めて40℃を超えた。

  • 英国気象庁は熱波が到来する丸6日前に「アンバー(警戒)」の気象警報を発令した。熱波警報としては史上最も早い発令だった。

  • このリードタイムにより、気象学者は数日前から命を救う情報を共有でき、関係機関や一般の人々が効果的に対応できた。

  • しかし、気候変動により極端現象の予測は難しくなっている。そうした現象は、過去の記録に前例がないことが多いためだ。

英国では暫定的に超えた 史上初めて40℃を記録し、ロンドン・ヒースロー空港では40.2℃に達した。この熱波の前、英国で40℃が予報されたことすらなく、まして観測されたことはなかった。

ところが今月初め、科学者たちは7月中旬に英国で40℃になると予測する史上初の天気予報を共有し始めた。モデルが英国でそのような気温を予測できたのは異例だと科学者たちは述べたが、そうした暑さが現実になる可能性は低いと強調した。

しかし日がたつにつれ、より多くのモデルが高温を予測するようになり、英国で40℃の暑さになる可能性は着実に高まった。

英国気象庁は「アンバー(警戒)」の気象警報を熱波が到来する丸6日前に発令した。これは同庁が発令した熱波警報として史上最も早かった。そして7月15日までに、気象庁は初の「レッド(警報)」を発令した。」

「この国で見たなかで最も異常な気象の話です」と、ある気象学者はCarbon Briefに語り、「気象技術と理解の静かな革命によって、気象学者は数日前から命を救う情報を共有できるようになった」と付け加えた。

科学者はどのように熱波を予測するのか?

天気は「カオス的」だ。つまり、気温、風、湿度のわずかな変化が、数時間後あるいは数日後の状況に大きな影響を及ぼす。この地球の大気と海洋の性質は、しばしば「バタフライ効果」と呼ばれる。

しかし、カオスのために正確な天気予報を作るのは難しい。予報の「初期条件」にわずかな誤差があっても、予報期間が先に進むにつれて誤差が大きくなることがあるためだ。つまり、予報の「リードタイム」――予報を出してから現象が起きるまでの時間――が長くなるほど、精度が下がる可能性がある。

誤差を考慮するため、予報担当者は「アンサンブル」と呼ばれる多数のシミュレーションをよく用いる。それぞれ異なる初期条件で実行し、結果の幅を調べることで、最も起こりそうな結果を見極められる。

下の図はこれを示している。青い線はアンサンブルの各シミュレーションを表し、青い塊は起こりうる結果の広がりを示す。比較のため、赤い線は単一の「決定論的」予報を表している。

気温、風、湿度のわずかな変化が、数時間後あるいは数日後の状況に大きな影響を及ぼす。Image: 英国気象庁

エイダン・マクガヴァンは、英国気象庁の上級気象プレゼンターだ。アンサンブル予報が重要な理由をCarbon Briefに語った。

「気象学者は、6時間ごとに実行される単一のコンピューターモデルに頼るのではなく、予報にアンサンブル・モデリングを使うことが増えています……多様なコンピューターモデルの実行結果が、一定期間にわたりおおむね同じ結果を予測しているときは、その結果への確信が高まります。起こる可能性が高いということです。もちろん、確実なことは何もありません。」

エイダン・マクガヴァン

天気予報の精度は過去50年間で大きく向上した。サイモン・リー博士は、ニューヨークのコロンビア大学の研究者で、北半球全体の大規模な気象パターンについては、「現在の7日予報は、2000年の5日予報や1980年代の3日予報と同程度の精度です」とCarbon Briefに語った。

一方、英国気象庁の4日予報は、現在では30年前の1日予報と同程度の精度だ。マクガヴァンはCarbon Briefに、これは個々のモデルの改良――たとえば空間解像度の向上――と、計算能力の向上によって、より多くのモデルを同時に実行できるようになったことの両方によると説明した。

2022年の英国熱波

6月23日、欧州中期予報センターは、32日間の「季節内」予報モデル実行の結果を公表した。この予報は、英国と米国で7月18~25日に異例の高温になると予測した。

このモデル実行は、やがて前例のない熱波となり、世界のメディアの注目を集める現象の最初の兆候だった。しかし当時は、利用できる多数のモデル実行のうちの一つにすぎなかったため、あまり注目されなかった。さらにリーはCarbon Briefに、この種の予報は「一般に予測能力が低い」、つまり特に精度が高くないと語った。

7月1日、全球アンサンブル予報システムが作成した30回のモデル実行のうち一つが、7月14日に英国で40℃になると予測した。極端な高温を示すモデル実行が限られていたことから、科学者たちはこの気温が現実になる可能性は低いと強調した。それでも、この結果を「歴史的」と評する人もいた。

日がたつにつれて、さまざまな機関のモデル実行は引き続き7月中旬ごろの高温を示した。マクガヴァンはCarbon Briefに、7月を通じて高温の可能性がどのように高まったかを語った。

「7月初めには、月半ばに異常な高温になることを示すコンピューターモデルの実行は少数でした。しかし7月8~9日ごろから、運用モデルの実行結果の大半と、それに対応するアンサンブル予測が同じ見通しに収束し始めました。7月16~17日の週末に南から暑さが強まり、30℃台半ばから後半に達するという見通しです。」

エイダン・マクガヴァン

英国気象庁は7月11日にアンバー警報を発令し、「日曜日[7月17日]から来週初めにかけて、異常な高温となる可能性がある」と発表した。

「5日以上先の天気や気温について、これほど多くのコンピューターモデルが一致することは、今でもめったにありません」とマクガヴァンはCarbon Briefに語った。この6日間のリードタイムは「気象庁が通常発令するほとんどの気象警報、特にアンバー警報よりも早い」と付け加えた。

警報発令の翌日、英国気象庁の広報室は、なぜこれほど早く警報を出したのかをCarbon Briefに説明した。

「現段階で、警報対象地域に極端な暑さが発生する可能性が高いと十分な確信を持っています。影響の可能性を考慮し、関係機関や一般の人々が効果的に対応できるよう、可能な限り早い段階で警報を発令しました。」

英国気象庁広報室

7月13日、英国気象庁の全球モデルは、7月19日にイングランド中部の一部で最高気温が40℃になると示した。同庁の上級予報官アレックス・ディーキンは、Twitterに投稿した動画で、「現段階では、来週初めに40℃となる可能性はありますが、低く、確率は10%未満です」と説明した。しかし、さらにこう付け加えた。

「コンピューターシミュレーションが40℃を超える気温を算出していること自体、かなり驚くべきことです。」

アレックス・ディーキン

7月15日、英国気象庁はイングランドの一部に「異常な」暑さを対象とする史上初のレッド警報を発令した。プレスリリースで同庁は、「英国で40℃を予報したのは今回が初めてです」と述べた。

世界経済フォーラムは気候危機にどう取り組んでいるのか?

英国気象庁の主任気象学者ポール・ガンダーセンも次のように述べた。

「現在、50%の確率で気温が40℃を超える可能性があり、80%の確率で最高気温の記録が更新されるでしょう。」

ポール・ガンダーセン

英国気象庁は7月17日に熱波の予報を引き上げ、翌週に英国で気温記録が更新される確率を90%とし、40℃に達する確率を60%とした。

モデルの確実性が高まっていくこの経過は、ほかの予報機関でも同様だった。7月18日、ECMWFは記者説明会を開き、熱波は「少なくとも3週間前から予報されていましたが、先週までは、その規模と深刻さには大きな不確実性がありました」と説明した。

気象学者のスコット・ダンカンはCarbon Briefに、これは「この国で見たなかで最も異常な気象の話です」と語り、英国の熱波を、昨年太平洋岸北西部で観測された「記録を塗り替える」気温になぞらえた。

「最も長いリードタイムでも、アンサンブルが極端なシナリオを捉えていたのは驚くべきことです」とリーは語る。

ダンカンはこう付け加えた。

「熱波は非常によく予報されていました。10日前の段階で、極端な可能性を示していたモデルもありました。当然、そんな先の細部を大いに信頼するのは慎重であるべきですが、暑さをもたらす気圧配置は捉えられていました。

「暑さの規模もかなり正確に捉えられていました。モデルが記録的な値を示すと、気象学者はいつも眉をひそめます。しかし今回の現象では、気団が異常な性質を持つことが明白で、記録更新は避けられませんでした。」

スコット・ダンカン

前例のない現象を予測する

英国で40℃になる確率は、すでに気候変動のない世界と比べて10倍高い。しかし、現在の気候では、この節目となる気温が予想されるのは100~300年に1度にすぎない。

それでも、気候が温暖化するにつれ、世界各地でさらに高い気温が観測され、気温記録は繰り返し更新されるだろう。

ハンナ・クローク教授は、レディング大学の水文学教授で、気候変動によって極端現象の予測が「難しく」なることがあるとCarbon Briefに語った。そうした現象は、過去の記録に前例がないことが多いためだ。クロークはこう説明する。

「こうした極端現象は、これまで記録にありません。だからモデルには、そうした情報がすべて組み込まれているわけではありません。物理法則に頼り、多数の異なるモデルを組み合わせて、ある現象が起きやすいのかどうかを理解する必要があります。これはまさに技術的な課題です。」

ハンナ・クローク教授

レベッカ・エマートン博士は、ECMWFの研究者で、「科学と地球システムについての理解に基づき、[モデルは]物理的に起こりうる現象であれば、これまで観測したことのない現象も含め、どのように展開するかをシミュレーションできます」と付け加えた。

それでもクロークは、モデルが「前例のない現象を予測する」能力は、モデリングにおける「胸躍る」進歩の一つだとCarbon Briefに語った。

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