ダボスで開催された世界経済フォーラム年次総会2025では、より包摂的で、強靱かつ持続可能な未来の形成における宗教とスピリチュアリティの役割を示す、いくつもの変革的な出来事がありました。
それらは、世界的課題への取り組みにおいて宗教とスピリチュアリティが不可欠な役割を果たすことを示しました。
また、信仰の伝統は古代からの知恵の宝庫であると同時に、急速に変化する世界において変革をもたらす、生きたダイナミックな力であることを改めて示しました。
世界経済フォーラムのダボス年次総会は、常に多様な考えが交わる場となってきました。世界の喫緊の課題に取り組むため、さまざまな分野のグローバルリーダーが集う場です。
そうした声のなかで、宗教・スピリチュアル指導者たちは長年、重要な役割を果たし、深く共鳴する道徳的指針と倫理的枠組みを、世界人口の85%を占める、信仰またはスピリチュアルな伝統を持つ人々に提供してきました。
ダボス2025では、こうした影響力のある人々が中心的な役割を担いました。より包摂的で、強靱かつ持続可能な未来の形成において、宗教とスピリチュアリティが果たす重要な役割を示す、いくつもの変革的な出来事がありました。
教皇フランシスコからのメッセージ:AIと世代間の連帯
2025年の会合で最も期待を集めた出来事の一つが、ピーター・コドウォ・タークソン枢機卿が代読した教皇フランシスコのメッセージでした。演説では、人工知能(AI)の台頭と、それが人類にもたらす影響に焦点が当てられました。
教皇庁科学アカデミー総長のタークソン枢機卿は、世代間の連帯の必要性を強調し、次のように述べました。「世界は私たちだけのものではありません。私たちはこれを受け継ぎ、後に続く人々へ引き継がなければなりません。砂漠ではなく、豊かな生態系として。」
カトリック教会は技術の進歩を支持する一方、AIが不平等や紛争を悪化させるリスクについても警鐘を鳴らしています。
教皇のメッセージは、次の行動の呼びかけで締めくくられました。「人工知能は人間の知性によって生み出されたツールであり、倫理的かつ責任ある利用を促すには、人間による導きが必要です。」
この視点は、今年の年次総会のテーマであるインテリジェント時代に向けた協働と深く共鳴し、技術の進歩を導くべき道徳的要請を世界のリーダーたちに改めて示しました。
信仰を行動に移す晩餐会:分断が深まる世界で協力とリーダーシップを強化
毎年恒例の多宗教晩餐会には、宗教、政府、ビジネス、市民社会の各分野からダボスを代表する参加者が集まり、信仰や思想を超えた共通の価値観について話し合いました。指導者たちは、信仰に基づく枠組みが社会変革に向けた取り組みをいかに結集し、分断が深まる世界でパートナーシップを加速できるかを語りました。
晩餐会に出席した著名な米国の福音派指導者、ジョニー・ムーア牧師は、この集まりの本質を次のように語りました。「宗教の通貨は信頼です。宗教関係者は、社会で壊れてしまったものを再建するうえで、独自の立場にあります。世界最大の企業や最も影響力のある政府があまり注意を払ってこなかった資源、すなわち信頼を豊富に持っているからです。」
晩餐会では、宗教や業界の背景を超えた共通の価値観を見いだすこと、異なる視点を持つ人々の対話を継続すること、共通善のためのパートナーシップを築くことという、3つの主な成果に焦点が当てられました。
没入型の仮想瞑想:持続可能性をめぐる新たな視点
ダボスで親しまれている伝統行事の日課の瞑想セッションは、2025年、没入型仮想技術の導入によって新たな様相を呈しました。仏教僧の松本紹圭氏の指導のもと、40人の参加者が、世界的課題についてリアルタイムで協働するために設計された革新的な仮想環境「グローバル・コラボレーション・ビレッジ」で、ガイド付き瞑想を行いました。
この瞑想では、集団での行動によって地球の生態系が守られた未来を思い描くよう、参加者に呼びかけました。最先端技術と古代からのスピリチュアルな実践を融合させたこのセッションは、内省と再生のためのまたとない機会となりました。
来年に向けた、価値観に導かれるリーダーシップへの呼びかけ
年次総会では、世界的課題への取り組みにおいて宗教とスピリチュアリティが不可欠な役割を果たすことが強調されました。また、信仰の伝統は古代からの知恵の宝庫であるだけでなく、急速に変化する世界において変革をもたらす、生きたダイナミックな力でもあることが改めて示されました。
来年の複雑な課題に取り組むなかで、宗教・スピリチュアル指導者が示す洞察と価値観は、これまで以上に重要になるでしょう。タークソン枢機卿の言葉を借りれば、「私たちが共有する人間性の道徳的羅針盤に、進歩が導かれるようにしなければなりません。」
ダボスでは、このメッセージがかつてないほど強く響き、繁栄とともに、公正で包摂的かつ持続可能な未来を築くよう指導者たちを促しました。
会合後も、フォーラムの指導者たちは年間を通じてこうした議論を続けます。そのネットワークであるグローバル・フューチャー・カウンシル(世界有数のマルチステークホルダー型・学際的な知識ネットワーク)の一環として、「信仰を行動に」グローバル・フューチャー・カウンシルは、今日の分断された世界における宗教、スピリチュアリティ、価値観、そして協働と社会に資する影響をもたらす機会に焦点を当てます。同カウンシルは、宗教指導者、企業幹部、市民社会の声を代表する人々、専門家を結集し、社会的結束とマルチステークホルダー協働に向けた、価値観に導かれるアプローチを推進します。
その市民社会コミュニティの一環として、また各センターを通じて、世界経済フォーラムは、世界の主要な宗教・スピリチュアルな伝統10を超える宗教から、100人を超える宗教指導者、信仰に基づく組織、宗教間グループ、多宗教ネットワーク、宗教の専門家との連携を続けています。昨年の「信仰を行動に」報告書の発表を受け、フォーラムは「信仰を行動に」コミュニティを通じて、報告書の主要分野に取り組む世界の主要な信仰代表者、専門家、コミュニティリーダーを引き続き結集しています。


