教皇フランシスコのダボス会議2018へのメッセージ全文

Pope Francis waves as he arrives at a Jubilee audience in Saint Peter's Square at the VaticanImage: REUTERS/Alessandro Bianchi
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これは、総合的人間開発省長官のピーター・コドウォ・アッピア・タークソン枢機卿がダボスで朗読した、事前に用意された演説の本文です。

世界経済フォーラム会長のクラウス・シュワブ教授へ

世界経済フォーラム2018への参加にお招きいただき、またダボスでの会合にカトリック教会と聖座の視点を取り入れたいとのご意向を賜り、感謝申し上げます。また、この年次フォーラムに集う方々、とりわけ出席している高名な政治・政府関係者や、ビジネス、経済、労働、文化の各分野に携わるすべての方々に、この視点を知っていただくためのご尽力にも感謝いたします。皆さまが今日の世界と未来の課題、懸念、希望、展望について議論されるにあたり、こうした取り組みを進めてくださっています。

今年のフォーラムのテーマ「分断された世界で、共通の未来を築く」は、まさに時宜を得たものです。包摂的で公正かつ互いに支え合う社会を築くための、より確かな基盤を求める皆さまの議論を導く一助となることを願っています。そのような社会は、大きな不確実性のなかで暮らし、より良い世界を夢見ることもできずにいる人々の尊厳を取り戻す力を持つでしょう。

グローバル・ガバナンスのレベルでは、国家と機関の間で分断が深まっていることを、私たちはますます認識するようになっています。新たな担い手が現れ、新たな経済競争や地域貿易協定も生まれています。最新の技術さえも、経済モデルとグローバル化した世界そのものを変容させています。私的利益と、いかなる犠牲を払っても利益を追求する野心に左右されるなかで、それらは、より包摂的な取り組みを促すどころか、さらなる分断と個人主義を助長しているように見えます。

繰り返される金融不安は、政府が対処しなければならない新たな問題と深刻な課題をもたらしました。失業の増加、さまざまな形の貧困の拡大、社会経済格差の拡大、そして紛争や移住、さまざまな社会問題に根差すことの多い、新たな形の奴隷制などです。「これに加えて、もはや持続可能ではなく、周囲の世界、とりわけ最も貧しい人々にしばしば無関心な、ある種の利己的な生活様式にも直面しています。残念なことに、技術や経済の問題が政治的議論を支配し、人間への真の配慮が損なわれているのを目にします。人々は、搾取される消費財として扱う機械の単なる歯車へと矮小化される危険にさらされています。その結果、あまりにも悲劇的なことに、その機械にとって人の命がもはや役に立たないと判断されると、ほとんどためらいもなく切り捨てられてしまうのです。」(欧州議会での演説、ストラスブール、2014年11月25日)

この状況において、人間の尊厳を守ることは極めて重要です。とりわけ、すべての人に総合的人間開発の実質的な機会を提供し、家族を重視する経済政策を実施することが求められます。「経済的自由が、人間の実際の自由や権利に優越してはならず、市場も絶対的なものではなく、正義の要請を尊重しなければなりません」(イタリア産業総連盟での演説、2016年2月27日)。したがって経済モデルにも、人間とその権利を中心に据える価値観に基づき、持続可能で総合的な発展の倫理を守ることが求められます。

「今日なお築かれつつある不正義、孤独、不信、疑念の数々の障壁を前に、労働の世界には、『共にあり、共に働く』ことが単なる標語ではなく、現在と未来に向けた計画となるよう、勇気ある一歩を踏み出すことが求められています」(同上)。すべての経済主体が固い決意を共有してこそ、私たちは世界の運命に新たな方向を与えられると期待できます。同様に、人工知能、ロボット工学をはじめとする技術革新も、人類への奉仕と私たちの共通の家の保護に役立つよう活用されなければなりません。残念ながら一部の見通しが予測するような、反対の目的に使われてはなりません。

尊厳を傷つけられた何百万人もの人々の苦しみに、私たちは沈黙していることはできません。また、貧困と不正義の広がりに原因がないかのように、前進し続けることもできません。一人ひとりが尊厳をもって生きられる適切な条件を整えることは、すべての人に関わる責任であり、道徳上の要請です。「使い捨て」文化と無関心の精神を退けることで、企業の世界は、生産性の質を高め、新たな雇用を生み出し、労働法を尊重し、官民の腐敗と闘い、社会正義を推進するとともに、利益を公正かつ公平に分かち合うことを通じて、大きな変化をもたらす計り知れない可能性を持っています。

下される決断は明日の世界と未来の世代の世界を形づくるうえで決定的となるため、賢明な識別を行う重大な責任があります。ですから、すべての人の繁栄を促す、より安全な未来を望むなら、真正な価値に示される「真北」へ、羅針盤を常に向けておく必要があります。今こそ、愛する地球のために、勇気ある大胆な一歩を踏み出す時です。人類の発展に貢献する責任を実行に移すべき時が来ています。

したがって、世界経済フォーラムの2018年会合が、開かれた自由で敬意ある意見交換の場となり、何よりも共通善を前進させたいという願いに導かれることを願っています。

会合の成功をあらためて祈念し、フォーラムに参加する皆さまとすべての方々に、知恵と力を授ける神の祝福があるよう、心から祈ります。

バチカンより、2018年1月12日

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