市民的自由が脅かされている。ビジネス界が関心を持つべき理由

A human rights activist walks through a native forest at the Pupio estuary in the middle of the road between a waste deposit tank of Los Pelambres mine and Caimanes town at the El Mauro valley, April 1, 2015.
The business world should be worried about challenges to civil rightsImage: REUTERS/Ivan Alvarado
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世界各地の多くの国で、市民的自由が縮小しています。異議申し立てを封じる法律が成立し、ポピュリズムの高まりが外国人嫌悪をあおり、権力に真実を語ろうとする人々は脅迫、さらには暴力に直面しています。

調査機関CIVICUSの調査によると、現在、32億人が市民社会の活動空間を抑圧されているか、閉ざされた国に暮らしており、警告の兆候は状況が改善ではなく悪化していることを示しています。

これはビジネスにどのような影響を及ぼすのでしょうか。また、ビジネス界はこれまでどのような役割を果たしてきたのでしょうか。今後、果たすべき役割は何でしょうか。

企業が市民的自由を損なうとき

こうした規制強化の多くは政府によるものですが、場合によってはビジネス界も市民社会の活動空間を損なう一端を担っています。

先月、私たちは、データベースを公開しました。企業の説明責任に取り組む人権擁護活動家が攻撃された事例を追跡するものです。対象とした2015年と2016年の2年間で、世界各地に450件を超える事例があることが分かりました。

こうした攻撃が起きた上位6か国は、いずれもラテンアメリカにあります。

一部の国では、企業がNGOによる監視や、生活に影響するプロジェクトへの疑問提起を制限する法案を成立させるよう、政府にひそかに働きかけています。

また、人権擁護活動家の正当な活動を犯罪化し、資金を断ち、「テロリスト」「裏切り者」「開発反対派」「経済的破壊者」として迫害するために、法制度が広く利用されてきました。チリでは、林業会社に抗議するマプチェ先住民の活動家に対し、反テロ法が適用されてきました。他の国では、批判者を黙らせる目的で、一部の企業が名誉毀損訴訟を起こしています。

市民社会にとって良いことは、ビジネスにとっても良い

こうした企業は重大なリスクに身をさらし、歴史の誤った側に立っています。調査が繰り返し示しているように、顧客は倫理や社会的価値を重視する企業から商品を購入したいと考えています。このような活動に関わる企業は、短期的な利益と引き換えに長期的な損失を招いています。

実際、健全で活力ある市民社会の環境を支援することには、ビジネス上の確かな根拠があります。

まず、市民社会もビジネスも、発展するには同じような環境を必要とします。成功する企業は、開かれた社会、権利を尊重する社会、そして法の支配の維持に依存しています。市民社会組織が成功するためにも同じことが言えます。批判的思考、創造性、イノベーションはビジネスに不可欠であり、市民社会の活動空間が制限されると損なわれます。市民社会が活動するには、表現と結社の自由が確実に尊重され、救済や補償を求める仕組みに自由にアクセスできることが必要です。ビジネスにも同じことが言えます。政治的・経済的な不安定さは、双方にとって有害です。腐敗した政治制度や司法制度、そして登記、事業運営、資金調達に対する大きな障壁は、ビジネスと市民社会の双方に害を及ぼします。

開かれ、寛容で透明性の高い社会を促す要因と、企業投資や成長に適した環境を後押しする要因との強い結びつきを決定的に示すには、さらなる調査が必要かもしれません。しかし、各国の「ビジネス環境ランキング」や「ビジネスに最適な国ランキング」と、人間開発指数(HDI)および「世界の自由度」指数を比較すると、どちらの指数群でも上位国同士、下位国同士に強い相関が見られます。少なくともこれは、ビジネスが繁栄する豊かな経済と、高い水準の自由、開放性、あらゆる人権の尊重が両立することを示す、有力な実証的証拠となるはずです。

市民的自由を守るビジネス上の根拠

強固な市民社会がビジネスにもたらす恩恵は、ほかにもあります。

たとえば、人権を守り、社会不安の軽減に寄与することは、投資や事業運営への受容を高め、企業が事業を営むための社会的ライセンスの獲得を助け、資本コストを引き下げます。なぜでしょうか。調査によると、市民的自由は腐敗を減らし、それが事業コストの低下につながるとされています。さらに、市民社会の代表者は、競争や商取引だけでは是正できないほど深刻な市場の失敗に対処し、ビジネスに役立つ監視・報告の役割を果たします。

社会的責任を果たす企業は、顧客と従業員の双方からより高く評価され、後れを取る企業に対して競争上の優位性を得ます。市民社会を無視したり損なったりする低実績の企業は、評判の失墜、ブランド毀損、株主による投資引き揚げ、資金調達の打ち切り、高額な訴訟、予期しない多額の運営コストといったリスクを負います。ある調査によると、地域社会との対立が起きた場合、世界有数の大規模鉱山プロジェクトでは、生産が1週間遅れるごとに約2,000万ドルのコストが発生します。

うまく機能している事例

幸い、市民活動家や市民的自由を守るうえで自社が前向きな役割を果たせると理解し、実際に行動している企業があります。

私たちは、アンゴラとタイの人権擁護活動家を支援するティファニーおよびS-Groupの公開声明を確認しています。また、カンボジアでストライキ中の労働者を守るために協力する世界的なアパレルブランドも確認しました。ドナルド・トランプ氏の渡航禁止措置に反対の声を上げる数百社の企業もあります。パキスタン政府によるインターネット検閲の入札を無視すると公に約束したIT企業5社もありました。マイクロソフトは、連邦機関が顧客のメールを閲覧しているときに顧客へ通知する権利を求め、米国政府を相手に訴訟を起こしました。

国連グローバル・コンパクトは、数多くの事例を紹介しています。企業が業種ごとにさまざまな方法で法の支配を支援している事例です。いずれの場合も、企業の介入は大きな前向きの影響をもたらしました。

こうした企業は、自社の利益と道義的な理由の両面から、世界各地で市民的自由が解体されていく状況を無視することはできず、無視したいとも思わないと理解しています。他の企業もその例に倣うべきでしょう。2016年は、世界の自由度が11年連続で低下した年であり、市民活動家への虐待に責任を負い、または加担している企業があまりにも多く残っています。市民的自由と人権を守るために、より頻繁に声を上げ、行動する企業は、ステークホルダーから評価され、長期にわたる大きな経済的利益を得るでしょう。

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