奴隷制との闘いは転換点を迎えているのか?

A survivor of slavery who wished to remain anonymous poses for a picture in New Delhi, India March 7, 2018. Picture taken March 7, 2018
Corporates - and consumers - are focusing increasingly on eradicating forced labour, and it's paying offImage: REUTERS/Cathal McNaughton
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11月、アップルがトムソン・ロイター財団のストップ・スレーバリー賞を受賞すると、ビジネス界が注目した。

世界で最も有名なブランドと言っても過言ではないアップルは、自社事業から強制労働をなくそうと公に取り組んだだけでなく、最高賞を手にした。広大で複雑なサプライチェーン網を抱えるにもかかわらず、著名な専門家で構成された審査員団は、現代の奴隷制を根絶しようとするアップルの取り組みについて、「あらゆる分野で先頭に立っている」と評価した。

2010年の報道とは大きな違いだ。当時、ジャーナリストたちはフォックスコンの不祥事を報じ、アップル製品などを製造していた中国の電子機器受託製造工場で、従業員が相次いで自殺したことを明らかにした。一部の報道は、自殺が相次いだ原因を工場の労働環境と結び付けた。

11月、アップルは再び大きく報道された。小売部門責任者のアンジェラ・アーレンツ氏が、トムソン・ロイター財団主催の年次人権フォーラムであるトラスト・カンファレンスの授賞式を選び、同社の店舗で人身取引の被害を生き延びた人々を雇用すると発表したのだ。

数年前なら、こんなことは決して起きなかっただろう。

私たちは、奴隷制との世界的な闘いにおける重要な転換を目の当たりにしている。米国、欧州、オーストラリアの大企業は、この最も忌まわしい犯罪を世界からなくすうえで自らが果たすべき役割について、かつてないほど責任を担っている。そして、メディアの注目を浴び、消費者の意識が高まる中で、それを実行している。

現代の奴隷制は長い間、隠れた犯罪だった。あらゆる国で非合法化されているが、世界中に蔓延している。人身取引による1,500億ドル規模のビジネスは、人々が最も弱い立場に置かれた場所で栄え、人道危機に便乗して拡大する。難民危機によって故郷を追われ、絶望した人々が人身取引業者の格好の標的となることや、紛争によって人々が貧困に追い込まれ、生き延びるために基本的人権を犠牲にせざるを得なくなることを考えればよい。

現在奴隷状態にある人々のうち、推定4,030万人の70%が強制労働に追い込まれ、搾取や虐待を受けている。男性も女性も子どもも債務拘束に縛られ、尊厳を奪われ、自由を失っている。彼らはモノ同然に扱われ、工場や農場、農地で無給で働かされるか、老朽化した鉱山や漁船で日々命を危険にさらし、あるいはカカオ豆を割る作業に従事させられている。彼らは、より安価な商品やサービスを求める世界的な欲求に駆り立てられた有害な経済の、声なき犠牲者だ。その実態は追跡できないことが多く、規模を把握することは常に不可能だ。

しかし、世界がひそかに抱えてきた恥は、少しずつ見えるようになっている。メディアの監視が強まるにつれて消費者の意識が高まり、そして何より、企業はこの問題に取り組まざるを得なくなっている。

奴隷制を根絶したいのなら、相互のつながりがますます深まるこの世界で、企業には大きな役割がある。多層的で多国籍なサプライチェーンにおける強制労働のリスクを抑えられれば、人身取引業者から搾取の手段を奪うことができる。しかしそのためには、最大手企業の協力と勇気が必要だ。そうした企業の多くは、サプライチェーンの奥深くまで調べる動機も専門知識も欠いてきた。

しかし、潮目は変わりつつある。世界的企業のCEOたちは、サプライチェーンの透明性と管理を目指す新たな道にかじを切り始めている。模範的なリーダーシップの好例の一つがユニリーバだ。元CEOのポール・ポルマン氏のもと、同社は今年のストップ・スレーバリー賞のもう一つの賞を受賞した。世界でも特にリスクの高いサプライチェーンを抱えるにもかかわらず、審査員はユニリーバが消費財フォーラムに参加し、業界の連携を促すリーダーシップを発揮し、継続的な改善に取り組んでいることを称賛した。一方で、「まだやるべきことはたくさんある」とも述べた。

奴隷制の根本原因に取り組み、犯罪的な人身取引ネットワークを解体し、最も弱い立場にある人々を保護し、被害者の社会復帰を支援することは不可欠だ。しかし、これは前例のない領域で取り組む複雑な仕事である。

昨年のストップ・スレーバリー賞を受賞したアディダスは、130万人の労働者を雇用している。同社は責任ある調達に関する厳格な指針を設け、サプライチェーンで使用する原材料にまでさかのぼって強制労働のリスクを追跡している。これは相当な取り組みだ。従業員230万人を抱える世界最大の民間雇用主、ウォルマートは、他の小売業者、サプライヤー、加工業者、NGOと協力して強制労働のリスクを特定するとともに、漁業での奴隷制が悪名高いタイの水産物サプライヤーに、サプライチェーンの可視化と管理システムについて研修を行っている。また、技術を活用して労働者の権利を改善しようと、相談窓口を設け、漁業に従事するミャンマー人移民が雇用主を評価できるスマートフォンアプリまで導入している。このような企業のデューデリジェンスと業界横断的な協力は称賛に値する。

世界有数の大企業が前例のない規模で奴隷制との闘いの構図を変えつつある一方、英国の2015年現代奴隷法をきっかけに、他の複数の国でもより強力な法律が整備され始めた。最近では、オーストラリアの現代奴隷法が2018年11月に成立し、売上高が1億豪ドルを超える企業に対し、現代奴隷制に関する年次報告書を公表するよう義務付けている。報告書は取締役会レベルで承認され、企業の年次報告書の公表から6か月以内に発表しなければならない。約3,000社がこの要件に従うことになる。

欧州全域に適用される法律を求める動きもある。2017年9月、8つの各国議会が、企業に人権問題への対応を促す標準化された法律を求めた。これほど大きな貿易圏で承認された場合、世界にどれほどの影響を及ぼすか想像してほしい。

しかし、本当の変化は、企業が意識の高い次世代の消費者に向けて、自社を「奴隷制に依存しない」企業として積極的に売り込み始めるときに訪れるだろう。

夢物語だろうか?そうとは限らない。メーガン・マークルが選んだジーンズブランドを見てほしい。彼女はオーストラリアとニュージーランドの訪問中に、このジーンズを6回着用した。世界中の注目を集めるようになったアウトランド・デニムのCEO、ジェームズ・バートル氏は、自社の衣服を「奴隷制に依存しない」として販売し、カンボジアで奴隷制や人身取引の被害者を雇用してジーンズを生産している。

一方、オランダのチョコレートメーカー、トニー・チョコロンリーは、製品に「奴隷制に一切依存しない」というスローガンを掲げている。同社は国際商社を介さず地元農家と直接取引し、カカオ豆から最終製品までサプライチェーン全体を追跡している。カカオ産業における奴隷制や児童労働への認識を高める使命を掲げて創業した同社は、現在オランダで市場をリードするブランドとなっている。

年間売上高4,500万ユーロの同社は広告費をかけていない。奴隷制に依存しないことが、同社の売りだからだ。

この2つのブランドは、今なお奴隷制が深く根を張る業界を先導している。消費者の姿勢に革命が始まるのだろうか?

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