プラスチック汚染に関する世界的な条約に向けた正式交渉は、今月の国連環境総会(UNEA)で、2022年2月28日から3月2日にかけて行われる予定です。
条約の締結には、各国がプラスチック汚染対策の進捗を報告するための標準化された測定制度が必要となります。
各国は透明性とエビデンスへの投資の利点をますます認識しており、2022年にはプラスチック廃棄物の流れに関する新たな分析が複数始まります。
条約は、すでに利用可能な指標、専門知識、資源を調和させる前例のない機会をもたらします。
世界的な条約に向けた正式交渉が始まる
プラスチック汚染危機への認識が高まり、この課題に協調して対応する必要性が増すなか、各国や企業はプラスチック汚染に関する世界的な条約の創設をますます強く求めています。今年の国連環境総会(UNEA)では、加盟国が、プラスチック汚染に関する世界的な条約の交渉を開始するかどうか、また、そのような条約に何を盛り込むべきかについて、正式な提案を審議します。
すでに156か国(国連加盟国全体の4分の3)が、条約を求める姿勢を公に表明しており、210万人を超える人々も同様に支持しています。世界を代表する企業100社以上も、国連加盟国に対しUNEAで条約交渉を開始するよう求める企業の呼びかけを支持しています。これまで条約に反対していた米国化学工業協会(ACC)などの団体も、現在は支持を表明しています。
UNEAの開催中、議論の焦点は、有効な条約にどのような要素を盛り込むべきかへと、ますます移りつつあります。規制措置は廃棄物管理の課題だけでなく、プラスチックのライフサイクル全体を対象とすべきだという合意が広がる一方で、共通のエビデンス基盤を築くには、すべての国が足並みをそろえる必要があるとの認識も明確になっています。異なる種類のプラスチックをどう定義するのか。プラスチック廃棄物や環境中への流出をどう測定し、報告するのか。進捗の科学的根拠をどう確保するのか。
世界的な報告制度の設計に向けて
各国が報告すべき情報には、プラスチック廃棄物の発生量、プラスチックスクラップの輸出入、回収と選別、プラスチックのリサイクル、処分、適切に管理されていない廃棄物などが含まれる可能性があります。始動する条約交渉のプロセスは、適切な測定慣行を通じて透明性とエビデンスを確立するという、各国ですでに進められている取り組みを加速し、拡大する前例のない機会です。少数の国によるこうした先駆的な取り組みは、今後数か月にわたり交渉される条約の内容の多くを検討するうえで、重要な資源となります。
インドネシア、ベトナム、ガーナは、最近プラスチック廃棄物の流れの測定を始めた国の例です。政府、産業界、市民社会、学術界が一体となって取り組む包括的なプロセスであり、グローバル・プラスチック・アクション・パートナーシップ(GPAP)の支援を受けています。SYSTEMIQと共同開発したオープンソースの国別分析ツールにより、この3か国は自国のプラスチック汚染の状況を把握し、循環型プラスチック経済への移行に必要な具体的措置を明らかにできました。
ナイジェリア、パキスタン、バングラデシュ、インドも今年、同様のアプローチを取り、開発済みのツールや資源を活用して、プラスチック汚染の本格的な分析を開始します。これには、将来予測を行い、さまざまな戦略シナリオを試し、環境、経済、社会への影響を把握できるモデリング機能の導入も含まれます。
ケニア、モザンビーク、南アフリカ、メキシコ、タイも、UNEPとIUCNによる幅広いホットスポット評価の支援を受け、プラスチック汚染の測定を強化している国の例です。
また、カナダ、ドイツ、フランスもプラスチック廃棄物の流れの追跡に積極的に取り組み、知見の共有や、地域および世界レベルでの足並みをそろえることの提唱を、ますます主体的に進めています。
測定プロセスを標準化する前例のない機会
現在、各国のプラスチック廃棄物・汚染データの収集と評価を支援している組織には、UNEPとIUCNによるプラスチック汚染ホットスポットの特定と行動策定に関する国家ガイダンスおよび世界データプラットフォームのPLASTEAXグローバル・プラスチック・アクション・パートナーシップ(GPAP)とSYSTEMIQによる国家評価・モデリング(NAM)ツールがあります。世界銀行、プラスチック廃棄物撲滅アライアンスによるデータプラットフォームPRISM、ジョージア大学による循環性評価プロトコル(CAP)、UNハビタットによるWaste Wise Citiesイニシアチブ、WWFによるReSourceもあります。
課題として残るのは、組織や国(場合によっては州や都市)が、各国・地域固有の政策や優先事項に基づく異なる測定方法を適用していることです。主に包装廃棄物や使い捨てプラスチックを追跡する国もあれば、産業用プラスチックやマイクロプラスチックなど、ほかの種類も対象とする国もあります。異なる種類のプラスチックの定義についても、調和の取れたアプローチが依然として欠けています。
プラスチック汚染に関する世界的な条約は、各国を支援する一貫した測定・報告制度を設け、世界で現在最も優れた手法から得られた知見を取り入れることで、こうした課題の大部分を解消できる可能性があります。すべての国で現実的に適用できる一貫した枠組みを策定するには、各国の経験と現在のアプローチから学ぶことが不可欠です。信頼できるプラスチックデータは、条約を透明かつ説明責任のある形で実施するために必要な、鍵となる要素かもしれません。
お住まいの国ではプラスチック廃棄物や汚染を測定していますか。また、ここに掲載されていませんか。あるいは、自国でこの種の取り組みを支援する資源、ツール、パートナーに関心がありますか。こちらからお問い合わせください。



