データセンターは膨大な水を使用する――水の循環利用を進める方法

The inside of a data centre: Data centres require innovative water circularity solutions to be sustainable
Data centres require innovative water circularity solutions to be sustainableImage: Unsplash+/Getty Images
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  • データセンターはデジタルの成長に不可欠ですが、特にAIの導入拡大に伴う水使用量の急増が、持続可能性に関する大きな課題となっています。

  • 消費量を削減し、地域社会の淡水を守るには、最適化から水源涵養の取り組みまで、革新的な循環型水管理ソリューションが必要です。

  • 水の循環利用ソリューションを拡大するには、持続可能なデジタルエコシステムを構築するため、事業者、イノベーター、地域のステークホルダー間の連携を強化する必要があります。

デジタルインフラの拡大に伴い、データセンターは現代の接続性を支える基盤となり、クラウドサービスから人工知能(AI)まで、あらゆるものを動かしています。しかし、この成長にはエネルギー消費に加え、急増する水消費という、見えにくい環境コストが伴います。

冷却だけでも膨大な水が必要であり、AIの処理負荷によってこの需要はさらに高まる見込みです。

最近の推計によると、AIの導入加速だけで、追加の42億~66億立方メートルの取水が2027年までに発生する可能性があります。これには施設内の冷却と施設外での発電が含まれます。この予測量は、デンマークの年間取水量の4~6倍に相当し、緊急の対応が必要であることを浮き彫りにしています。

循環型水管理戦略には大きな可能性があり、水使用量を最大で75%削減できます。データセンターにおける高度な液体冷却や閉ループ冷却などの水使用最適化から、水源涵養まで、さまざまなソリューションが考えられ、水不足とエネルギー効率の課題に対処できる可能性があります。

しかし、事業性を裏付ける根拠が不足している場合や、モニタリングが不十分な場合、既存インフラへの新技術の統合が複雑な場合には、導入が遅れがちです。こうした障壁を乗り越えるには連携が必要です。

テクノロジー企業、スタートアップ、地域社会と連携すれば、循環型水管理ソリューションを拡大し、データセンターの持続可能な運用と淡水資源の保全を実現できます。

水使用の最適化と高度な液体冷却

水使用の最適化では、水管理システムで水の使用状況を継続的に監視・調整するとともに、革新的で水の使用量が少ない冷却方法を取り入れ、データセンターの実際の水使用量を最小限に抑えます。

スマート水管理システムはリアルタイムセンサーを基盤とし、冷却需要に応じて消費量を追跡・調整します。この先を見越したアプローチにより、予測モデリングと水需要の正確な把握が可能になり、水を使う冷却を事前に予測して調整するアルゴリズムの最適化によって、最大水消費量を25%削減できます。

こうしたシステムを導入すれば、データセンターは液浸冷却やチップ直冷など、高度な液体冷却や閉ループ冷却ソリューションを導入しやすくなります。

液浸冷却では、サーバーや中央処理装置(CPU)などの電子部品を非導電性液体に浸します。この液体が熱を効率よく吸収し、熱交換器へ移します。

従来の方法と比べて、水消費量を最大91%削減し、エネルギー消費量を50%削減、設置スペースを85%削減できます。

このスタートアップ企業は、産業廃水を貴重な原材料の供給源に変えている。
このスタートアップ企業は、産業廃水を貴重な原材料の供給源に変えている。
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最新のイノベーションの一つが、プロセッサーを発熱源で直接冷やすチップ直冷です。プロセッサーのコールドプレート上に誘電性冷却液を循環させて熱を直接吸収し、プロセッサーを最適な温度に保つことで、冷却過程における過熱と過剰な水消費を抑えます。

この技術により、水不足地域では水消費量を20~90%削減し、施設の電力需要を18%低減できます。削減幅は技術や気候によって異なります。節水効果はシステム設計によっても異なり、施設レベルの方式よりサーバーレベルの冷却の方が大きな効果を得られます。

マイクロソフトがすでに閉ループ液体冷却を導入し、キャリアがチップ直冷技術に投資し、エコラボが最近、チップ直冷向けの冷却モニタリングソリューションを発表するなど、高度な液体冷却ソリューションの勢いは明らかに加速しています。

水源涵養

データセンターは、施設の敷地内にとどまらず、事業を展開する地域の水源涵養にも重要な役割を果たせます。水使用の最適化が消費量を減らすのに対し、水源涵養は水の利用可能性と水質を高めて水源を回復させ、地域社会が安全な水を利用できるようにする取り組みです。

主な戦略には、灌漑や工業プロセスに用いる廃水の処理・再利用(理想的には取水と同じ流域内で実施)、地下水貯留層への涵養、効率的な灌漑による節水など、さまざまな方法があります。

カリフォルニア州オレンジ郡は、廃水を再生して毎日1億3,000万ガロンの飲料水を生産している地域の先進事例です。これはおよそ100万人分に相当します。また、大手クラウド事業者もウォーター・ポジティブの取り組みを進めており、たとえばマイクロソフトやAWS(アマゾン ウェブ サービス)は、水ストレスの高い地域で水源涵養に投資しています。

データセンターでは、淡水資源への依存を減らすため、廃水処理と再利用の取り組みが広がっており、水消費量を最大50%削減できます。インドラ・ウォーターとキリモは、産業界の水源涵養を支援する有力なイノベーターの例です。

インドラ・ウォーターによる水処理

インドを拠点とするインドラ・ウォーターは、特許技術を活用して産業廃水を処理しています。汚染物質に電気を通して化学結合を分解する仕組みです。

この技術は従来の化学処理より大幅に効果が高く、最大95%の廃水回収率と74%低い正味カーボンフットプリントを実現できます。廃水の一次処理で化学薬品を一切使用しません。

インドラはこれまでに40億リットル を超える廃水を処理しており、今後は1日あたり約1億リットルを処理する見込みです。

キリモによる効率的な灌漑

地域の組織と連携することで、データセンターは水問題をより深く理解し、協働による解決策を設計できます。その一例が、キリモです。農家にAIを活用した水管理ツールを提供する先駆的な農業テクノロジー系スタートアップであり、データセンター事業者が農業関係者と効果的に連携できるようにします。

キリモはAIを用いて、天候、土壌、作物のニーズに関するリアルタイムデータを分析し、灌漑システムを最適化して、農家が必要な量の水だけを使うようにします。この精密灌漑技術は水を節約し、地域の水源への負荷を軽減するとともに、生態系の回復と土壌の健全性向上を支えます。

企業と連携することで、キリモは農家が自社技術を利用できる機会を広げ、流域レベルの水不足に対処しながら地域とのつながりを強化しています。

これまでに2,000人を超える農家が恩恵を受け、7か国で3,000万立方メートルの水を節約しています。キリモの事例は、水源涵養ソリューションが水不足への対処と節水型農業の推進に役立つことを示しています。

水の循環利用に向けた連携

データセンター事業者は循環型水管理の取り組みで大きな進展を続けていますが、デジタルサービスの需要増加と、それに伴う水問題に対応するには、より野心的なアプローチが不可欠です。

段階的な変更から、デジタルインフラの設計に組み込む包括的で循環型のデータ主導の水戦略へと転換する必要があります。これは規制順守のためだけでなく、持続可能なデジタルエコシステムを確保するための戦略上の必須事項です。

重要な推進力となるのは、バリューチェーン全体にわたる連携です。ハイパースケール事業者、テクノロジー企業、スタートアップ、地域社会は、個別の実証実験にとどまらず、共有インフラ、知識、投資を通じて導入を加速し、より大きな総合的効果を生み出すイノベーション・エコシステムで協働する必要があります。

効果的なパートナーシップを築くことで、ステークホルダーは、高度な液体冷却や閉ループソリューションなど、データセンター向けの有望な循環型水管理戦略を拡大できます。また、エコシステム全体での共同の取り組みが必要となる、水使用の最適化と水源涵養の双方を前進させることができます。

サーキュラーズ・アクセラレーター・ネットワークは、アクセンチュア、世界経済フォーラム、UpLinkのパートナーシップであり、エコラボ、アングロ・アメリカン、AWSなどのパートナーとともに、循環型経済のイノベーション加速を目指しています。

2025年を通じて、世界経済フォーラムのネイチャー・ポジティブ・トランジションズイニシアチブは、こうした課題への対応に取り組んでいます。水とエネルギーの使用、汚染、土地利用の変化に起因する自然への影響を減らすため、テクノロジー企業が他の関係者と連携して実行できる優先行動を特定しています。

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