イノベーションの失敗は名誉の証

イノベーションの失敗は名誉の証
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新しいアイデアを思いつき、それを実現しようとしても、いつも成功するとは限りません。新しいアイデアの大半は、新たな成功事例にはつながりません。世の中にある何千ものアイデアのうち、成功する製品に転換されるのはわずか1つだと示す、相当な証拠があります。成功する製品を1つ生み出すには、未加工のアイデアが3,000件必要です(1)。

私が伝えたいのは、市場に出せなかったアイデアを決して失敗と見なさないでほしいということです。そこから得た学びには計り知れない価値があるからです。 いわゆるイノベーションの失敗を、ぜひ名誉の証として身に着けてください。実例を挙げて説明しましょう。

1年前、中東の大手で野心的なサービス企業から、アイデア創出の段階を進行し、効果的にイノベーションを立ち上げる支援をしてほしいと依頼されました。このイノベーション・プロジェクトには非常に高い目標が掲げられていました。自社の業界に変革をもたらし、主要市場の一つで事業会社の収益を実際に2倍以上にする新たなビジネスケースを提示する、というものでした。

20週間にわたる集中的なアイデア創出の取り組みを経て、10人の中核チームは5つの小規模な新規ビジネスケースをまとめ、発表しました。取締役会はその質に驚き、開発に注力することを決め、具体的なイノベーション・プロジェクトを3件継続することにしました。開発段階は、完全な新規ビジネスケースの作成から始まりました。各イノベーション・プロジェクトには、最初の段階のアイデア創出チームからオーナーが任命されました。

新規ビジネスケースを完成させる段階では、各取り組みの弱点をより深く調査することに重点が置かれました。プロジェクトの一つは、顧客の注文プロセスを完全にデジタル化するイノベーションでした。イノベーション・プロジェクトのリーダー自身が顧客とともに市場に入り込みました。そこで、顧客は実際にはそれをまったく好んでいないことが分かりました。顧客の目には、デジタル化は注文プロセスを簡素化するどころか、かえって複雑にしていたのです。

こうして、アイデア創出段階で最初のひらめきがあった後、その取り組みは完全に中止されました。イノベーション・プロジェクトのリーダーは、安堵と失望を同時に感じています。顧客に価値を提供できていないと、自分の内なる声が告げていたのですから、当然、安堵しています。成果を重視する人として、個人的に失望したのも明らかです。しかし、イノベーターとして失望する必要はありません。顧客インサイト、コンセプトづくり、イノベーション・マネジメントについて、3か月間の過酷な集中訓練を経験したのです。彼女は実に多くのことを学びました。

彼女の上司であるCIOは、私にこう言いました。「彼女は自分のイノベーションの失敗を、名誉の証として身に着けるべきだ」と。まさにそのとおりです。

次にプロジェクトリーダーやマネージャーとしてイノベーション・プロジェクトを中止しなければならなくなったときは、失望しないでください。そこから得た学びには計り知れない価値があるからです。ただし、複数のイノベーション・プロジェクトを同時に進め、少なくとも一つが無事に市場に投入されるようにしましょう。このケースでは、3つの新規ビジネスケースのうち2つが、さらなる開発のため同社のイノベーション・ラボに進む予定です。

一頭の馬だけに賭けてはいけません!

この記事は、 LinkedInとの協力により掲載されています。掲載されたことは、世界経済フォーラムが見解を支持することを意味するものではありません。

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著者:Gijs van Wulfenはイノベーション分野の講演者であり、FORTHイノベーション手法の創始者です。

画像:東京のビジネス街で階段を上る男性。REUTERS/Yuya Shino。

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