中東・北アフリカ(MENA)は、あらゆる面で際立つ地域です。過去10年間、労働力人口は世界で最も速い年率(2.7%)で増加した一方、若年層の失業率も最も高く、人口の約25%に達しています。若年層の失業は根強い問題であり、政治的移行や社会的緊張への対応と並び、MENAが直面する最大の課題として回答者から挙げられています。
クウェートの元計画開発担当国務大臣、ロラ・ダシュティ博士は、若年層の失業の原因として、機能不全に陥った教育制度、もともと存在するスキルのミスマッチ、労働市場の硬直性、そして労働力人口の増加を挙げています。
「残念ながら、この人口構成上の強みは、人口構成上の重荷になってしまいました」とダシュティ氏は説明します。「この増加率を引き下げる取り組みを始める必要があります。雇用創出だけでなく、生活の質の面でも、そのままでは負担に耐えられないからです。」
これまでの改革は、経済の起爆剤となる、より活力ある民間部門の実現を目標にできていません。現在、地域の若者の大半は公的機関に雇用されています。ヨルダンとエジプトでは、公的部門が労働力の約35%を占めます。ダシュティ氏の見方では、適切な改革は、雇用集約型の持続的な成長を確保し、教育と訓練の方向性を見直し、労働市場の柔軟性を高めるものであるべきです。
「起業の機会を創出し、中小企業をもっと支援する必要があります」と同氏は述べます。「民間投資の成長を後押しし、その成長の恩恵が広く人々に行き渡るようにする政策が必要です。」MENAの当局は起業家精神を育む方法を見つけなければなりません。そのためには、より健全な民間部門から自分たちが直接恩恵を受けると、国民に確信してもらう必要があります。現状では、多くの市民が、民間部門の成長は自分たちの犠牲の上に成り立つと考えています。
「概して、この地域の人々は明るい未来を見いだせていません。成功する機会がないと感じ、生活の質が低下していると感じています。そして、それが社会の分断を深めています。」
ダシュティ氏はさらに、こうした社会的な絶望感と、地域全体に広がる宗派主義の台頭には直接的な相関関係があると考えています。
「私たちの社会はますます分断されています。この問題には、経済改革の政策と連携して進める社会改革および政治改革によって取り組む必要があります。」
MENA各国がそれぞれ固有の課題に直面する一方で、ダシュティ氏は、個々の国の問題が周辺国に波及し、影響を及ぼす傾向も指摘しています。最近のシリアとイラクがその例です。そのため同氏は、社会政治的安定と域内貿易を促す、地域全体で連携した取り組みを支持しています。
「国内改革が引き続き重要な課題である一方、地域内の投資、貿易、プロジェクトは各国の安定を支える助けになります。地域諸国が共同で進めるプロジェクトは重要です。巨額の投資であるうえ、富と資源の移動を生み出しながら、雇用を維持・創出できるからです。」
こうした取り組みは最終的に、MENAが必要とする安定をもたらす可能性があります。
「一部の国ではすでに革命が起き、ほかの国々も危機に瀕しています」とダシュティ氏は述べます。「改革に向けた真剣な行動を起こさなければ、社会不安が続くでしょう。」
『Outlook on the Global Agenda 2015』レポート が公開されました。
この記事は、ロラ・ダシュティ氏へのインタビューに基づき、世界経済フォーラムの 『Outlook on the Global Agenda 2015』レポート向けに執筆されました。
著者:クウェートの元計画開発担当国務大臣、ロラ・ダシュティ氏は、クウェートのFARO International会長です。
画像:投資家のアハメド・アル・ガラバリー氏が、2005年12月7日、ドバイ証券取引所の株価表示板を見上げる。REUTERS/Stringer




