欧州をより革新的にするには何が必要だろうか。世界経済フォーラムの Global Competitiveness Report が一貫して指摘してきたように、イノベーションの量、質、そして影響力を高めることは、欧州経済が直面する最大の課題の一つである。実に興味深い課題でもある。欧州は世界の革新的経済の上位10か国のうち6か国を擁しているものの、平均すると、米国、日本、韓国といった主要なベンチマーク経済と比べて同地域の成績は振るわない。一方で中国などの国々は、能力と新たな商業的アイデアの創出量の点で、欧州のイノベーション水準に急速に追いつきつつある。
欧州のイノベーションを支える一つの方法は、起業家や急成長企業を後押しすることである。これは当フォーラムが昨年のレポート「 Fostering Innovation-Driven Entrepreneurship in Europe」で取り上げたテーマであり、同レポートは、断片化され規制の複雑な地域市場において革新的なアイデアを拡大することの難しさと、成長資金へのアクセスが限られている実態を浮き彫りにした。同レポートはまた、欧州には起業家の人材や意欲が大きく不足しているわけではないが、価値と雇用の両面で急速に成長する力強い企業が不足していることを示した。起業家と大企業は、今日の極めて競争の激しい世界市場で、いかに革新を成功させるかについてますます懸念を強めている。

官民協力のための国際機関としての新たな地位から着想を得て、当フォーラムは本日、新たなレポート「 Collaborative Innovation: Transforming Business, Driving Growth」を発表した。同レポートは、若く力強い企業と既存企業の間で慎重かつ戦略的なパートナーシップを築くことが、欧州のイノベーションを向上させる可能性を秘めていることを浮き彫りにしている。
過去1年間に実施した80件以上のインタビューと9回のワークショップに基づき、同レポートは、企業と政策立案者がイノベーションに対する協調的アプローチをどのように支援できるかを提示している。これにより、潜在力の高いベンチャーが、企業の足かせとなりうる市場の失敗や断片化を乗り越える一助となる。同レポートは、若い企業と既存企業の双方が直面する重要な課題や、欧州のイノベーション・エコシステムを改善するために経営者と政策立案者が実行できる戦略を明らかにしている。
これは、協働が「特効薬」や単純なプロセスであると言っているわけではない。最も相補的なパートナーシップであっても、リスクが高く複雑であり、特定のスキルを必要とする。しかし、若い企業、既存企業、そしてそれらを取り巻く経済にもたらされる利益は非常に大きい。そうでなければ生まれなかったかもしれないイノベーションが実現され、欧州全域で規模拡大につながるからである。
本レポート「 Collaborative Innovation: Transforming Business, Driving Growth」は、 こちらからご覧いただけます。
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執筆者:ニコラス・デイビス、世界経済フォーラム社会・イノベーション部門長
写真:2015年1月16日、チューリッヒにあるスイスの銀行UBSのイノベーションラボで議論する従業員たち。REUTERS/Arnd Wiegmann



