この記事は2024年3月に初公開され、2024年4月に更新されました。
世界の都市首長ネットワークC40が主催する2024年の「Reinventing Cities」コンペティションで、15都市がゼロカーボンの都市計画を発表しました。
参加都市にはビルバオ、ニューヨーク、サンパウロ、ベネチアなどが含まれます。再生プロジェクトには、屋上で食物を育てる循環型経済のキャンパスや、低炭素型の地域拠点として運営される17世紀の要塞などがあります。
世界経済フォーラムの取り組みである「未来の都市に関するグローバル・フューチャー・カウンシル」は、都市の環境性能と気候変動への強靱性を高め、より手頃な価格で暮らせる都市の実現を支援しています。
都市は、温室効果ガスなどの排出量を実質ゼロにすることを目指す脱炭素化の取り組みにおいて、極めて重要な役割を担います。
しかし、都市だけでは実現できません。気候危機への対応を目的とするC40ネットワークの市長・知事40人は、都市のリーダーたちに対し、多国間開発銀行(MDB)に不可欠な支援を提供するよう求めています。
世界・地域のMDB10行の総裁に宛てた公開書簡で、市長たちは次の支援を要請しました。
1. 銀行の事業戦略と気候戦略に、都市の気候変動対策とその資金調達を盛り込む。
2. 国別・セクター別支援戦略に、都市と都市の気候変動対策を組み込む。
3. 都市の気候変動対策に特化したプログラムを策定し、プロジェクトの準備と実施に向けた技術支援、MDBによる譲許的融資の拡大、民間資金の動員に向けた支援強化を提供する。
C40が主催する世界規模のコンペティション「Reinventing Cities」は、都市が脱炭素化に向けて進める取り組みを紹介しています。資金面の支援が拡充されれば、こうした取り組みを世界各地で再現できる可能性があります。
今年は、持続可能でゼロカーボンかつ強靱な都市プロジェクトを進める15都市が取り上げられています。多岐にわたる環境配慮型計画を紹介します。
1. アルメール
オランダのアムステルダム東方に位置するアルメール市は、十分に活用されていない土地を、地域住民向けの住宅やワークスペースを備えたゼロカーボンの都市再生プロジェクトへと転換しています。
2. ビルバオ
スペインでは、歴史あるビルバオの「Venerable Priests Residence」を、食を中心に据えた、持続可能性と包摂性の先駆的な拠点として再生する計画です。
3. ボローニャ
イタリア・ボローニャ市の東部郊外では、旧軍兵舎地区の一部が再生され、若者や学生を支える公共空間、新たなサービス、包摂的な住宅が整備されます。
4. ブリュッセル
ベルギーの首都ブリュッセルでは、支援を必要とする地域コミュニティを取り込んだ複合用途開発を進めており、持続可能性に関する「模範的」な実績を目指しています。複合用途開発とは、住宅、事業所、文化活動など複数の用途を組み合わせる計画です。
5. グラスゴー
スコットランドのグラスゴー市は、運河沿いの2カ所を再生し、自然保護と環境面の強靱性を考慮した新たな地区を整備する計画です。
6. ミラノ
イタリア・ミラノの小学校と体育館が、革新的な炭素削減策を示す新たな都市エリアへと生まれ変わり、循環型経済や気候変動への適応策も取り入れます。
7. ニューヨーク
米国のニューヨーク市は、使われていない屋上空間を、クリーンエネルギーを生み出す場所や「おいしくて健康的な食べ物」を育てる場所に変える計画です。
8. パレルモ
イタリア・パレルモでは、かつて化学工場だった跡地が、環境負荷を抑えた多用途の新たなエリアに生まれ変わる予定です。観光客向け宿泊施設のほか、スポーツ、レジャー、文化、工芸活動などが想定されています。
世界経済フォーラムは、世界各地の都市や地域社会の発展をどのように支援しているのでしょうか。
都市変革センターは、都市の未来を形づくる課題と機会への理解を深めるため、都市のリーダー、企業、政府を結び付けています。
都市変革センターは、同業者間の学び合いと協働を通じて、都市が知見を交換し、共通の理解を実践的で強靱な都市ソリューションへとつなげられるよう支援します。
9. レンカ
チリの首都サンティアゴ郊外にある自治体レンカでは、循環型経済に重点を置く企業を誘致するための土地開発を進めており、エコデザイン、環境技術、研修にも力を入れています。
10. ローマ
イタリアの首都ローマは、1930年代に建てられた公共建築を再生し、環境の持続可能性を重視する都市再生の拠点にする計画です。エネルギー効率と持続可能な建設にも重点を置きます。
11. サンアントニオ
米国テキサス州のサンアントニオ市は、既存の建物に再投資し、「世界初」の循環型経済キャンパスを整備する計画です。環境分野の人材育成、公衆衛生の改善、手頃な価格の住宅の修繕と供給の促進に取り組みます。
12. サンフランシスコ
米国カリフォルニア州のサンフランシスコ市中心部では、十分に活用されていない複数の建物が「新たな発想で生まれ変わる持続可能な空間」へと改修され、住宅と商業の両方に利用される予定です。
13. サンパウロ
ブラジルのサンパウロ市は、より健康的で、誰もが利用しやすい公共空間を整備し、環境面・社会面の課題への対応を進める計画です。
14. シアトル
米国ワシントン州のシアトル市は、かつての港湾用地を再開発し、中心市街地の再生を支えるエリアにする計画です。環境配慮型サービスや海事分野の研修施設などを設ける予定です。
15. ベネチア
イタリア・ベネチアにある17世紀の要塞が、低炭素の原則に沿って整備される新たな地域拠点へと転用されることが決まり、文化、博物館、スポーツなどの活動の場となります。
都市には未来を見据えたゼロカーボン計画が必要
持続可能で包摂的な都市開発を中核課題とするのが、未来の都市に関するグローバル・フューチャー・カウンシルです。世界経済フォーラムのこの取り組みは、都市の環境性能と気候変動への強靱性を高め、より手頃な価格で暮らせる都市の実現を支援しています。
都市は、 世界の二酸化炭素排出量の70%超を占めると世界経済フォーラムは述べています。また、2050年までに世界人口の70%が都市に暮らすようになり、その人口増加の多くは開発途上地域で起こる見込みです。
こうした要因により、都市は気候変動の影響を非常に受けやすくなっています。そのため、すべての都市地域が気候変動に関するイノベーション、適応、強靱性の向上を推進することが不可欠です。















