IESEの「Cities in Motion Index」は183都市を比較し、2022年の世界で最もスマートで持続可能な都市を選出しました。
ロンドンは、豊かな人的資本、国際的な存在感、都市計画、ガバナンスが評価され、首位に立ちました。
スマートシティが最も多いのは欧州です。パリ、ベルリン、アムステルダム、オスロ、コペンハーゲンがいずれもトップ10に入りました。
高齢化する人口、多様な社会的需要、デジタル格差への対応にすでに追われている世界の都市は、気候変動やパンデミックの余波による負担にもあえいでいます。ウクライナでの悲惨な戦争がもたらす経済的・社会的影響は、失業、インフレ、社会的分断、移住という形で、さらなる重圧を加えると見込まれます。
こうした状況において、持続可能性や住民の生活の質という観点から都市の現状を把握し、将来の課題に耐えられる都市のレジリエンスを築き始めることは、かつてないほど重要です。
では、どこから始めればよいのでしょうか。大変な取り組みですが、すべての都市が戦略的な見直しを行うべきです。現在の状況を評価するだけでなく、将来の優先事項や、どのような都市を目指すのかも検討する必要があります。IESE「Cities in Motion Index」は、都市の包括的な初期診断の場を提供し、比較分析を通じて、最初に参照すべき資料となることを目指しています。
この指数は世界の183都市を比較し、人的資本、社会的結束、経済、ガバナンス、環境、モビリティと交通、都市計画、国際的な存在感、テクノロジーの9つの分野に分類した114の基準を調べています。
対象範囲(92カ国に点在する都市)と、多様で複雑なニーズを持つ人々を第一に考える都市の長期的なビジョンにおいて、これは異色の指数です。1人当たりGDPのような標準的な指標に加え、電気自動車の充電スポット数、博物館や美術館の数、人種的寛容度に関する都市の評価など、従来あまり使われてこなかった項目も見ています。
持続可能性が最も高い都市トップ10
1)ロンドン。ロンドンは、人的資本、国際的な存在感、都市計画、ガバナンスが評価され、今年のランキングで1位となりました。同市の弱点は、社会的結束と環境において英国の評価が相対的に低いことに起因しています。
2)ニューヨークの 最大の強みは経済ですが、モビリティと交通、都市計画、人的資本、国際的な存在感の分野でも際立っています。ロンドンと同じく、社会的結束と環境の評価は比較的低くなっています。
3)パリは、国際的な存在感、モビリティと交通、人的資本で高く評価されましたが、環境の順位は低めでした。
4)東京は、経済、国際的な存在感、ガバナンス、テクノロジーに強みがあります。都市計画とモビリティ・交通の順位は低めでした。
5)ベルリンはバランスの取れた都市で、多くの分野で高い評価を得ており、特にガバナンス、都市計画、人的資本が優れています。最も弱い分野は経済でした。
6)ワシントンD.C.は、人的資本、テクノロジー、ガバナンス、都市計画に強みがありますが、社会的結束と環境には改善の余地があります。
7)シンガポールは、テクノロジーと国際的な存在感が際立つ一方、環境とモビリティは都市国家としての弱点です。
残る3都市はいずれも北欧の都市で、さまざまな分野で高い評価を得る傾向にあります。アムステルダム(8位)は特にテクノロジー、オスロ(9位)は環境、コペンハーゲン(10位)は社会的結束と環境で優れています。
地域別比較から見えてくること
2020年以降、パンデミックに起因する経済の変動が都市に及ぼした深刻な影響は、極めて重要な要素となっています。これまでの版(今回が第8版)では、さまざまな理由から都市の順位が上昇したり低下したりしました。今回の版では、経済の比重が決定的でした。
経済成長が見込まれる数少ない都市の一つであるダブリンは、総合18位に躍進しました。ランキングで地域の優位を競うブエノスアイレス(103位)は、サンティアゴ(75位)に大きく後れを取り、特に経済面の打撃を受けました。
地域別の比較からも多くのことが分かります。全体として、スマートシティが最も多いのは欧州です。パンデミックに揺さぶられた都市も多いものの、欧州の都市が持つ基礎的な強みと生活の質が、都市を支えました。
発展途上国の都市は、依然としてほとんどの指標で苦戦しており、近年の経済危機と保健危機がその困難に拍車をかけています。指数に含まれるアフリカの都市はすべて、総合ランキングの最下位に位置しています。同地域は当初の予想ほどパンデミックの悪影響を受けなかったものの、保健危機は経済、政治、社会に深刻な影響を及ぼしました。ラテンアメリカ諸国も下位に近く、地球上で都市人口の集中度が最も高い地域の一つであることを考えると、特に懸念されます。
好成績を収めるアジアの都市は、拡大する経済とテクノロジーの推進によって評価を高める傾向にあります。中東の一部の都市、ドバイとアブダビも、テクノロジーの分野で最も高い評価を得ています。ただし全般的に、同地域がスマートで持続可能な都市を実現するまでには、長い道のりがあります。
米国の都市では、経済も決定的な要因です。経済分野のトップ10都市のうち6都市が米国の都市である一方、社会的結束または環境分野のトップ10に入る米国の都市はありません。
都市のレジリエンスを高める
これまで都市のレジリエンスは、自然災害への備えを中心に考えられてきました。持続可能な生態系、革新的な活動、市民間の公平性、つながりのある地域を含めるため、インフラを超えてレジリエンスの理解を広げる必要があります。
都市の責任者は、正義と協働の原則、そしてすべての市民を包摂する未来像に導かれ、自ら模範を示せる存在であるべきです。的確な診断、明確なビジョン、課題を管理する多次元的なアプローチを含むスマートガバナンスの概念が重要です。
また、これは公共部門だけの責任ではありません。都市のレジリエンス(どのような逆境であれ都市が乗り越える能力)を高めるには、すべての関係者が関与する必要があります。
公共部門、民間企業、市民団体、学術機関が協力し、都市を存続可能なだけでなく、住みやすく、公正で、レジリエンスのある場所にするために何が必要かを総合的に捉えなければなりません。
詳細情報:




