新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、世界のサプライチェーンが最も必要とされていた時期に混乱させた
中国の一帯一路構想(BRI)は都市間の物資と人の移動を促進し、将来の混乱を軽減する
世界経済フォーラムの新たな「6つの連結性指数」が、BRI参加22都市の連結性を測定
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックは、世界各国の政府に次々と危機をもたらしました。その一つが、個人用防護具の深刻な不足です。その必要性がこれほど急激に、これほど大きく高まったことはありませんでした。
マスクや手袋など、人命を救う装備の不足は、世界的なサプライチェーンの深刻な混乱によってさらに悪化しました。
幸い、2020年11月までに、救命物資を積んだ数千本の列車が中国から欧州に到着し、切望されていた医療機器・資材6万トンを輸送しました。その中には、マスク、手袋、保護眼鏡など重要な物資約800万点が含まれていました。
この物流上の成果を支えたのは、一帯一路構想(BRI)の都市物流拠点でした。これらの拠点は、世界的なサプライチェーン危機に対処するため、迅速かつ効果的に機能しました。
世界が変動、不確実性、複雑性、曖昧さに満ちた未来、すなわち「ニューノーマル」に適応する今、将来の課題に取り組むうえで、都市の「新たな連結性」はどのような役割を果たせるのかを考える必要があります。デジタル経済は、都市の連結性の形や深さを変えるのでしょうか。
この取り組みで世界をリードするBRI参加都市はどこで、その成功の秘訣は何でしょうか。
6つの連結性指数
こうした問いに答えるため、世界経済フォーラムはカーニーおよび中国都市発展センターとともに、「6つの連結性指数」を作成しました。
この指数は、BRI参加22都市を、政策協調、インフラ連結性、貿易の円滑化、金融統合、人と人とのつながり、情報連結性の6分野で評価し、順位付けしています。
シンガポールと上海が1位、2位を占め、北京が続きました。一方、沿岸部という利点のない成都も、連結性で高い評価を得ました。シンガポールと上海が他の沿岸都市より際立ったのはなぜでしょうか。また、沿岸港を持たない成都が発展を遂げているのは、どのような取り組みが功を奏しているのでしょうか。

シンガポール
優れた海運能力、堅実な越境貿易・関税政策、外国資本への高い開放性、先見性のあるデジタル戦略を背景に、シンガポールは「6つの連結性」で世界をリードしています。
シンガポール政府は1992年、情報技術の戦略的重要性を強調し始め、「スマート国家」構想のビジョンを掲げました。それから30年後、世界をリードするデジタルインフラを持つ同国は、アジアで首位に立っています。
同国の「スマート国家2025」計画は、データを活用して社会サービスの提供を支援し、人々の暮らしを向上させる、島全体に広がるインフラの構築を目指しています。
上海
世界有数の人口を抱え、国際経済、金融、貿易、海運、技術革新の中心地でもある上海は、総合的に高い連結性を示しています。
特筆すべきは、中国最大の都市である上海が、外国投資政策の改善や市内へのグローバル本社の集積を通じて、金融統合の強化を図っていることです。また、金融市場システム全体と資源配分を改善し、貿易環境を強化するとともに、国際貿易の中心地としての既存の地位をさらに発展させています。
こうした理由から、この中国の巨大都市は世界経済フォーラムの「6つの連結性指数」で2位に入りました。
成都
内陸都市である成都は、数世紀、あるいは数千年にわたり、中国と西洋の貿易・文化交流の拠点となってきました。
成都は中国の新一線都市の中で最も連結性が高く、急速に発展する成都国際鉄道港と中欧班列を通じて、より広範なBRIに大きな影響を及ぼしています。この二つが一体となり、重要なBRI拠点を形成しています。
2021年10月時点で、成都国際鉄道港は国際鉄道路線7本と国際鉄道・海運複合輸送路線6本を運行し、1万5000回を超える列車の運行実績を重ね、海外59都市と中国国内20都市を結んでいました。成都が鉄道輸送の拠点として成功した要因には、システムの革新、地域クラスター、産業からの強力な支援があります。
2021年6月、成都は成都天府国際空港の建設を完了し、連結性における世界的リーダーとしての地位をさらに高めました。同空港は、高速鉄道を空港ターミナルに直接、シームレスに乗り入れさせた世界初の空港です。中国で2番目に大きいこの空港は、現在、最大9000万人の旅客に対応し、年間200万トンの貨物を取り扱う能力を備えています。
連結性の強化
都市間の連結性を高めることは、質の高いBRIの発展に向け、既存の基盤を強化するうえで重要です。BRI参加都市は、連結性を向上させるため、次の5つの取り組みを戦略に組み込むべきです。
既存の強みを活用し、強固なつながりを強化・拡大する
地理的な近接性と文化的な類似性を生かし、強みを広げ、共有できる地域を築く
デジタル変革を活用して連結性を構築し、デジタル資産の共有と共通のプライバシー方針を促進するデジタルインフラを整備する
都市間交流を強化してパートナーシップを築き、二国間の意思疎通を改善し、あらゆる面での連結性を促進する
連結性を高めるために優良事例を共有し、各都市の強みに応じた都市間の連携経路を築く
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック、急速な発展、そしてBRIのような画期的なプロジェクトによって、世界が新たな不確実な局面に入っていることは間違いありません。BRI参加都市も、それ以外の都市も、この移行がもたらす機会を生かし、リスクを軽減するうえで、間違いなく根本的な役割を果たすでしょう。
