地域経済や地域での暮らしに関する最新ニュースをお届けする、毎月のまとめです。
主な話題:沈みゆく都市に緊急の対策が必要、ロンドンが「世界最高の都市」ランキングで首位、スペインの高速鉄道が都市間の移動時間を短縮へ。
世界経済フォーラムの都市に焦点を当てた取り組みについて、詳しくは都市変革センターをご覧ください。
1. 沈みゆく都市、緊急対策がなければ数兆ドルの損失に直面
政府や投資家が洪水や地盤沈下へのレジリエンス対策を迅速に拡大しなければ、沿岸部と内陸部の都市は、インフラの損傷や企業・地域社会の移転によって、数兆ドル規模の経済損失を被るおそれがあります。
世界経済フォーラムの新たな報告書レジリエントな経済:沈みゆく都市と洪水リスクへの戦略は、地盤沈下の可能性による経済的リスクの規模を8兆1,700億ドル、すなわち世界のGDPの12%と推計しています。
インドネシアの首都ジャカルタでは、一部地域が年間最大200mm沈下しています。土地の喪失や洪水も一因となり、政府は首都をボルネオ島のヌサンタラに移転することを決定しました。
報告書によると、米国カリフォルニア州では、海面上昇に伴う地盤沈下により、沿岸地域の430万~870万人が影響を受けると予測されています。
多くの場合、標高の低い地域にあるインフォーマルな居住地には10億人以上が暮らし、都市災害の被害を最も大きく受けています。
報告書は、官民の関係者が変革を進めるための基盤となる要因として、土地と水を戦略的資産として評価すること、ガバナンスとリーダーシップを強化すること、インフラのレジリエンスに投資することなどを挙げています。
2. 「世界最高の都市」ランキングでロンドンが首位
英国の首都ロンドンが「未来を形づくる世界の100都市」ランキングで首位に立ち、欧州の都市がトップ10の大半を占めました。
レゾナンスの2026年版「世界最高の都市」レポートは、人口100万人超の都市を、住みやすさ(公共交通から気候リスクまで)、愛着度(ソーシャルメディアの投稿やトレンドに基づく)、繁栄度(経済生産、教育達成度、失業率など)の3つの主要分野の指標で評価しています。
「2026年のランキングをリードする都市は、単に適応しているだけでなく、都市の卓越性を実現する新たなモデルを切り開いています」と、レゾナンス・コンサルタンシーの社長兼CEO、クリス・フェア氏は述べています。
「ロンドンで気候レジリエンスを備えた超高層ビルの建設が急増していることから、シンガポールのグレート・サザン・ウォーターフロントの変革、ドバイの意欲的なカーボンニュートラル施策に至るまで、これらの大都市圏は、持続可能性、テクノロジー、住みやすさを融合させています。その取り組みは、住民の変化するニーズに応えながら、世界の人材や投資を呼び込んでいます。」
以下のインタラクティブな図で、トップ10の都市をご覧ください。
3. ニュース速報:注目の都市関連ニュース
英国北西部のマンチェスター市は、地域の住宅、交通、クリーンエネルギーのインフラに民間投資を呼び込むため、10億ポンドの「グッド・グロース基金」を立ち上げました。これは、ロンドン以外では国内最大級の地域開発施策の一つです。同基金は、次の整備を加速することを目指しています。手頃な価格の住宅、低炭素プロジェクト、そして交通・通信の接続性の向上です。
スペインは、高速鉄道の所要時間をマドリードとバルセロナ間で、約3時間から2時間未満に短縮する計画です。運輸相が発表した大規模なインフラ改修の一環です。
ウェイモは、米国カリフォルニア州の広大な新地域で自動運転車の運行を拡大するための規制当局の承認を得たと、テッククランチが報じています。同社はロボタクシーを運行する企業で、現在、イーストベイ、ノースベイ、サクラメント、およびサンタクラリタからサンディエゴに至る南カリフォルニアの一帯での運行が認められています。全国規模の意欲的な拡大計画の一環として、2026年半ばまでにサンディエゴで有料乗客の受け入れを開始する予定です。この計画には、米国内の新たな12都市でのサービス開始も含まれます。
中国の新築住宅価格は10月、1年間で最も急速に下落しました。需要回復に向けた北京の最近の景気刺激策にもかかわらず、不動産部門の低迷が続いていることを示しています。
4. フォーラム・ストーリーズで都市変革についてさらに読む
観光産業は転換点にあります。経済を大きく支える一方で、多くの課題に直面しています。フォーラムの新たな報告書は、「エコシステム・アプローチ」によって、観光を繁栄を分かち合う力として再構想する方法を示しています。ノッティンガム・ビジネススクールの持続可能な旅行・観光先端研究センター所長、マリーナ・ノヴェッリ教授が、業界に影響を与える動向や、観光をより包摂的にする方法について、フォーラムに見解を寄せています。
高齢化が進む日本社会は、増大する圧力に直面しています。人口の 高齢化と縮小が進むなか、不可欠な公共サービスを継続的に提供することが急務となっています。孤立や労働力不足に対処するため、政府と産業界はデジタルツールを活用し、レジリエンスと包摂性を備えたモビリティを再設計しています。取り組みには、「交通空白地解消本部」の設置、AIシミュレーション、そしてモビリティの革新を実環境で検証できる生きた実験室として設計された実験的な都市テストベッド、トヨタの「ウーブン・シティ」などがあります。
文化遺産と地域の知識は、レジリエンスを高め、地域社会と国の気候戦略の双方を強化するうえで、大きな力を持ちながら十分に活用されていない手段です。計画や管理に文化を組み込むことで、社会の結束や生態系の回復が促され、気候変動に備えた都市の実現につながります。こう述べるのは、世界経済フォーラムの都市の持続可能性とレジリエンス担当リード、サラ・フランクリン氏と、ビルト・ビルディングズ・ラボの共同創設者兼エグゼクティブディレクターであり、アーキテクチャー2030のシニアフェローでもあるロリ・フェリス氏です。文化的知識を行動に移すには、参加型ガバナンス、複数セクターの連携、地域に合わせた実施が欠かせません。

