サウジアラビアの古代地域アルウラは、いかに未来を築いているのか

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• アルウラ地域は、サウジアラビアの「ビジョン2030」計画に沿って開放を進め、経済の多角化を図っています。

• 住民の生活の質を高めながら、観光経済を築いていきます。

• アルウラの開発原則は、景観、文化、遺産を尊重することを重視しています。

サウジアラビアのメディナから北へ300キロ弱に位置するアルウラは、都市というには規模が小さく、同時にそれ以上の存在でもあります。最大の市街地は町で、地域の人口はわずか46,000人余りです。しかし、アルウラ地域はサウジアラビア北西部の22,561km2に広がり、砂漠、岩山、オアシスを擁しています。人類の遺産もまた広大です。これまでに、25万年以上にわたる人類史を物語る数多くの考古遺跡を確認してきました。その一つであるナバテア人の墓群、ヘグラは、サウジアラビア初のユネスコ世界遺産です。

この4年間、サウジアラビアは改革計画である「ビジョン2030」の実現に取り組んできました。これは、国の経済を多角化し、地域社会の参加を促し、遺産に誇りを持ち、世界に向けて社会を開くという野心的な計画です。王立アルウラ委員会(RCU)は、こうした目標に沿ってアルウラを開発するために設立されました。観光を通じて地域経済を多角化しながら、文化、遺産、歴史をたたえる世界的な目的地として確立することを目指しています。

類まれな自然景観と遺産に恵まれたアルウラは、こうした開発に適した地域です。一方で、人々が暮らし、働き、家族を育む場所でもあります。従来は都市開発が限られ、それに伴う公共設備やサービスも限られた農村地域でした。だからこそ、開発を通じて地域社会を力づけ、生活の質を高めるとともに、アルウラの自然と人類の遺産を尊重し、保全することが不可欠です。

したがって今後、不動産、都市再生、公共設備、観光インフラのいずれであれ、開発の構想は建物ではなく原則から始まります。そこでは、持続可能性とアルウラの遺産や景観の尊重を重視し、住みやすく、持続可能で、強靱な都市再生を通じて地域社会の生活の質を高めます。

調和のとれた建設

不動産と開発において、私たちはアルウラの景観と遺産にとって自分たちは訪問者であるという原則を大切にしています。そのため、新たな建築物は、すでにあるものを尊重し、調和し、共存するものでなければなりません。

これを実現するため、私たちはアルウラ・デザイン・スタジオ(UDS)を設立し、建築ガイドラインを定めるとともに、建物が建つアルウラの各地域に適した伝統的建築様式を取り入れる、新しい建物向けのモジュール式設計テンプレートを提供しています。たとえば、旧市街に近い建物には、歴史的建造物の伝統的な建築様式や日干しれんが造りの様式を取り入れます。またアルウラ全域で、地域の岩、砂漠、植物の色彩を新しい建物の色調に反映しています。同時に、遺産と現代性を融合させながら、持続可能性と効率性を高めるため、現代的な素材や工法も採用しています。

このアプローチにより、遺産と現代の町を建築面でも心理面でも一体化できます。都市再生プロジェクトの新たな開発地区は、伝統的な形態を現代風に再解釈し、隣接する旧市街と物理的な調和を保っています。また、その配置はアラビアの社会史にも沿っており、住民は来客を迎える公共空間と、家族だけが使う私的空間を容易に区別できます。たとえばガイドラインでは、住宅の内側にある私的な屋外空間、つまり中庭を中心に家を配置します。中庭は近隣から見えないように守られながら、主要な部屋からは見渡せるため、子どもが安全に遊べる場所となります。

これらのガイドラインは、建物同士が調和して一体感のある地域社会を形づくることも促します。十分な公共緑地を設けることで、歩きやすさ、アクセスのしやすさ、住みやすさを高めます。

景観に溶け込む観光

アルウラでの使命に沿って、観光インフラや大規模プロジェクトも推進しています。そこには、次の3つの異なるアプローチがあります。

第一に、歴史ある旧市街を再生しています。ここでは1,000年以上にわたる人類の歴史に再び命を吹き込み、歴史が息づく活気ある地区をつくっています。町の主要な建物は、かつての暮らしを伝えるため、伝統的な技法で修復されています。また、訪問者を呼び込み、知識を深めてもらうため、新たな飲食店に加え、博物館、ギャラリーなどの施設を整備します。

第二に、アルウラの遺産と景観から同様に着想を得たリゾートの開発で、アマン、アコー、ハビタス、ジャン・ヌーヴェルなどの国際ブランドと緊密に協力してきました。アシャール・リゾートの場合、絵のように美しい同名の谷に位置し、伝統的な様式のテントにその理念が表れています。Wi-Fi、薄型テレビ、空調、スパ施設など、現代的な利便性も備えています。構想段階にあるジャン・ヌーヴェル設計のシャラーンリゾートなど、さらに古い時代にさかのぼり、ヘグラの岩を彫り抜いたナバテア建築を参考に、アルウラの景観そのものの一部となるリゾートを設計する例もあります。

第三に、受賞歴のあるマラヤ・ホールに代表される、象徴的な建築があります。アルウラのすぐ外にあるマラヤは、世界最大の全面鏡張りの建物で、周囲の景観を支配するのではなく、そこに映し出します。これらの異なるアプローチに共通するのは、アルウラの歴史と遺産を尊重し、過去を支配するのではなく、その一部になるという願いです。このアプローチを通じて、アルウラでは今後も芸術家たちが、自然に抱かれた新たな建築のあり方を築いていきます。

アルウラの開発原則

私たちは遺産を意識しながら、未来にも目を向けています。アルウラにある先祖の記念碑は、何千年ものあいだ立ち続けてきました。私たちもまた、自らが後世に残すものを考えなければなりません。

私たちの憲章と基本計画には、自然・文化的景観の保護、生態系と野生生物の維持、建造環境の活性化、修復、再生など、12の開発原則が盛り込まれています。これらを支える地域全体の計画では、アルウラの地理、インフラ、景観、遺産に固有の機会と制約を考慮し、都市計画とより広範な開発計画に役立てています。アルウラの景観調査に基づくこの戦略では、自然と人類の遺産を尊重する持続可能な開発に向けて、次の4つの重要な基本優先事項を検討しています。

1. 環境と遺産の保護

2. 持続可能な居住形態

3. 開発、成長、活性化

4. 強靱なインフラ

これらに基づき、環境、インフラ、都市形態と建築、景観と公共空間に関する、さらに重要なガイドラインを定めています。

世界経済フォーラムは、不動産の未来を支えるために何をしているのか?

現在、この枠組みを詳細なマスタープランニングを通じて具体化しています。これにより、アルウラ独自の景観を長期にわたって保護しながら、現代的な利便性、経済的繁栄、持続可能な暮らしに囲まれて地域社会が暮らし、働く機会を提供し、今だけでなく、将来の世代にもつなげていきます。

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