緑豊かで、誰もが包摂され、革新的な都市空間をどのようにつくればよいでしょうか?

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  • バルセロナをはじめ世界各地の都市では、パンデミックによって、都市をより包摂的なものにする必要性が浮き彫りになりました。

  • バルセロナの副市長と世界銀行の専門家が、そのための3つのステップを示します。

  • デジタル・デバイドの解消から、観光と住宅ニーズの健全なバランスの回復、緑地へのアクセス改善まで。

新型コロナウイルス感染症の最悪の影響が収まりつつある国々では、人々は、コミュニティで何が良くも悪くも変わったのかを見直し始めています。住民が感染拡大の最悪の影響に苦しむなかで、医療、きれいな水、食料といった基本的なサービスへのアクセスの重要性が高まりました。地方自治体にとっても、デジタル・インフラ、適切な住宅、緑地や公共オープンスペースは、危機の中で極めて重要な資産として浮上してきました。

バルセロナや世界各地の都市中心部では、長年の苦い教訓を基に、より包摂的で住みやすい都市を実現していく必要があると考えています 。

最初の好機は、デジタル・デバイドを解消することです。研究によると、この1年で、デジタル化の速度は7年分前進しました。デジタル・トランスフォーメーションは、経済の多角化の促進から、教育や労働に関する全く新しいスキルの提供まで、経済面と社会面の両方で多くの機会をもたらします。しかし、適切なデジタル包摂政策を伴わなければ、グローバル化の恩恵を受けている人々と、すでに不利な立場にある人々との間の格差を広げかねません。

例えば、バルセロナでは、市全域の調査により、世帯の92%が自宅でインターネットを利用できることが分かりました 。74歳以上の人口を除くと、この数字は96%に跳ね上がり、2016年以降12ポイントの増加となります。

市の人口のうち、経済的資源が不足しているために自宅でインターネット接続を利用できないのは1%にすぎませんが、バルセロナのような豊かな都市にとっては、その1%でも多すぎます。社会経済的な不平等は、人々が所有する機器の種類やインターネットを利用する能力も左右します。高齢者、学歴の低い人、失業者は、若い人、学生、高等教育を受けた人、就業者に比べ、インターネットの利用度が低く、利用の仕方も多様ではありません。

2020年から2021年にかけて、オンライン化は、パンデミックによる学習や雇用への最悪の影響を回避するための主要な戦略となりました。しかし、上記の不平等の一部により、低所得労働者の56%がテレワークを行えず、学生の6.5%が社会経済的な理由からオンライン教育を受けられない結果となりました。バルセロナは、低所得世帯向けに数千台の機器、インターネット接続、新たなデジタル・スキルを提供するデジタル包摂のための緊急計画で対応し、成果を上げてきました。しかし、まだまだ取り組むべきことが多くあります。そのため、同市は9月から、接続性、機器、スキルに同時に取り組む包括的なデジタル包摂プログラムを試行する予定です。

アルゼンチンのブエノスアイレスでも、同様の取り組みが行われています。

同市政府は、バリオ31などの貧困地域で、オンライン授業を可能にするための無料の公衆無線LANスポットを提供するとともに、教員にオンライン教育の実施に向けた研修を行いました。同時に、市民への情報提供と、COVID-19に関する数多くの問い合わせへの対応を目的として、「BOTI」と呼ばれるWhatsAppのチャット機能を開発し、緊急対策センターと並行して運用しています。

デジタル化は、より豊かで回復力のある都市の原動力となり得ます。しかし、それを新たな不平等の層にしてしまってはなりません。今日の現実は、前途に大きな課題があることを示しています。実際、2018年には、世界人口の51%が全体としてインターネットを利用していましたが、後発開発途上国では普及率はわずか20%でした。

2つ目は、観光と住宅ニーズの健全なバランスを回復することです。COVID-19の拡大を抑えるための都市封鎖や厳しい国際渡航規制が導入されたことで、世界のほぼすべての地域で観光は停止しました。顧客の急激な減少は、観光支出に依存する何百万もの企業に打撃を与えた一方で、都市の優先事項や住民の生活の質における観光の位置づけを見直す政策上の余地も生み出しました。

バルセロナの旧市街地区(シウタット・ベリャ)では、宿泊業が経済活動の21.8%を占めています。パンデミックにより、2020年2月から2021年2月にかけて、同地区の失業者は約60%増加し、経済取引は40%減少しました。このことから、複合的な用途が都市の経済的な回復力に不可欠であるという考えが強まりました。都市の中心部は、観光地であることを超えて、人々が再び暮らし、働く空間となる必要があります。

変革の必要性は、特に住宅部門において明らかです。ここでは、短期の観光客向け賃貸の無秩序な増加により、住宅費が上昇しています。短期の休暇用賃貸と長期の居住用不動産とのバランスを取ることは、都市中心部に新たな都市の生計手段を生み出し、経済用途の多様性を確保するための鍵となるでしょう。

ヘルシンキも、その例の一つです。同市は、高品質な教育、オープンスペース、公共交通機関など、住民と来訪者の双方にとって重要な課題や施設に投資しており、その均衡をめぐって取り組みを進めている都市です。

雇用主が在宅勤務と在社勤務を組み合わせたハイブリッド型へと移行するなど、働き方の将来に関連する新たな変化は、手頃な価格の住宅供給を改善する機会も生み出しています 。ロンドンの1平方マイルの中心業務地区を管轄するシティ・オブ・ロンドン・コーポレーションは、最近、オフィススペースを転換して1,500戸の住宅を整備する計画を発表しました。

3つ目は、緑地や公共広場を利用する権利を明確に保障することです。COVID-19の期間中、多くのオフィスや事業所が閉鎖されたことで、住民は運動や狭苦しい住環境からの息抜きのために、公園や郊外へと押し寄せました。しかし、自然や屋外スペースへのアクセスに関して、すべての地区が等しく恵まれているわけではありません。

パリの「15分都市」やバルセロナのスーパーブロックといった取り組みは、人口密度の高い都市において、より緑豊かで歩きやすい都市空間の必要性に応えるものです。

シンガポールは、都市の生態系の保全と拡大において先導してきました。Image: シンガポール・グリーンプラン

シエラレオネのフリータウンでは、地方自治体が100万本の植樹計画を前倒しで進めており、その過程でCOVID-19の影響を受けた人々の生計も支えています。

パンデミックは、かつては現実離れしていると思われていた破局的シナリオを、世界各国にとって現実のものにしました。保健危機から脱しつつある中で、人々と政府は、気候変動の予言が現実となりかねないことに気づいています。熱波、洪水、土砂崩れといった極端な気象現象から都市を守るため、自然を活用したソリューションへの投資を、今こそ都市の最優先課題とすべきです。

都市の未来に関して、世界経済フォーラムは何に取り組んでいるのでしょうか?

都市変革センターは、都市の未来を形づくる課題や機会を理解するために、都市のリーダー、企業、政府を結び付けています。

相互学習と協働を通じて、同センターは、都市が知見を交換し、共有された理解を実践的で回復力のある都市ソリューションへと転換できるよう支援しています。

同センターの取り組みを見る

デジタル・デバイドの解消と、観光と住宅のバランスの回復とともに、命を救う緑地の保護と拡充は、2021年以降、都市管理の中核となるべきです。パンデミックはデジタル・トランスフォーメーションを加速させ、気候変動対策の強化の必要性を示しました。また、危機の時には、不平等な生活環境がもたらす影響も目の当たりにしてきました。危機 教訓は明らかです。より緑豊かで革新的な都市の未来に向けて、円滑な移行が求められており、それは公正で包摂的なものでなければなりません。

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