都市は清潔で公平な環境の提供に向けて前進したのか?

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  • 都市は人間の活動の中心地である一方、不平等や環境の悪化など、今日最大級の課題を抱えている。

  • 持続可能な開発目標(SDGs)採択から10年を迎えるにあたり、都市はSDG11の達成状況を評価する必要がある。特に、都市開発の面での進捗が問われる。

  • 進捗と課題を把握することは、都市が公平な方法で気候・環境面の実績を高める最善の方法を学ぶ助けとなる。

都市は人間の革新と活動の中心地である一方、格差の拡大や環境の悪化など、現代の最も差し迫った課題のいくつかを抱えている。

「国連の持続可能な開発目標」(SDGs)の採択から10年を迎えるにあたり、都市がSDG11:持続可能な都市とコミュニティの達成状況を評価することが重要だ。同目標は、持続可能で包摂的な都市開発を目指している。

最新の都市環境・社会的包摂指数(UESI)は、SDG11に向けた都市の進捗を空間的に明示して測定する唯一のツールであり、居住者のいるすべての大陸にまたがる約300都市の環境面の実績と公平性を調べている。そこからは、成果と続く課題が入り交じる状況が明らかになった。

持続可能な都市の目標達成はまちまち

実績上位の都市は、温室効果ガス排出量の削減、大気質の改善、公共交通機関へのアクセス向上で成果を上げている。一方、特にアジアや中南米の一部にある実績下位の都市は、大気汚染、都市熱への曝露、緑地不足などの問題に引き続き直面している。

最も重要な点として、UESIは初めて経時的な進捗を追跡し、都市を持続可能性の主要な担い手として位置づける世界的な取り組みにもかかわらず、進捗が全般的に停滞していることを明らかにした。

この停滞の背景にはどのような傾向があり、都市は進捗を促すために何ができるのか?

主な調査結果を5つ紹介する。

1. 都市では環境上の恩恵と負担が公平に分配されていない

分析対象となった都市のほぼ半数では、環境上の恩恵と危険が不均等に分配され、所得格差が悪化している。 研究によると、裕福でない地域社会は粒子状物質による汚染のリスクが高い。

こうした健康リスクの増大は、医療費の上昇、生産性の低下、平均余命の短縮を招き、影響を受ける地域社会で経済的な上昇移動を妨げるおそれがある。166都市では、低所得層ほど大気汚染や都市熱への曝露が大きく、樹冠やその他の生活環境へのアクセスも限られている。

逆に、102都市では富裕層のほうが環境上の負担にさらされやすい傾向が見られる。特に北米を中心とする43都市では、所得格差が大きいだけでなく、裕福でない地域社会に環境上の危険が不均衡に集中し、社会経済的な格差がさらに深まっている。

環境面の公平性(横軸)と所得格差(縦軸)Image: UESI

2. 環境面の成果には、的を絞った政策と計画が鍵となる

最新データによると、経済力が環境面での優れた実績を保証するわけではない。タンザニアのドドマやシエラレオネのフリータウンなど一部のアフリカの都市は、環境指標で国内総生産(GDP)から想定される水準を上回る一方、シンガポールやロサンゼルスのように一人当たりGDPが高く急成長する都市は、温室効果ガス排出量の多さや都市熱などの要因により、期待を下回っている。

こうした調査結果は、富裕な都市は本質的により持続可能だという前提に疑問を投げかけ、むしろ適切に設計された政策と都市計画の重要性を示している​。

一人当たりGDPと環境面の実績の比較。実績はUESIスコアで測定(縦軸)。Image: UESI

3. 都市の環境面の実績は悪化、または停滞している

微小粒子状物質による汚染、都市熱、樹冠に関する都市の環境面の実績は、悪化するか停滞しており、その影響を公平に分配する面での改善もほとんど見られない。

都市では公共交通のカバー範囲拡大や二酸化窒素汚染の削減で目立った進展もあったが、PM2.5汚染など、その他の重大な課題では実績が低下している。

大気汚染対策として交通機関の汚染を削減した4つの都市
大気汚染対策として交通機関の汚染を削減した4つの都市
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ほとんどの都市では、住民が引き続き安全でない水準のPM2.5にさらされており、低所得地域社会が最も高い曝露を受け続けている。樹冠に関する実績も低下し、ほとんどの都市でヒートアイランド現象の強度が悪化する一因となっている。

全体として、公平性の傾向を見ると、樹冠へのアクセスは目立って改善し、大気汚染や都市熱の強度による負担もわずかに軽減した。一方、公共交通機関までの距離は、最も必要としている可能性のある都市の低所得層で悪化している。

一人当たりGDPと環境面の実績の比較。実績はUESIスコアで測定(縦軸)。Image: UESI

4. 大気汚染は、都市に暮らす人々の健康を脅かす最も危険な環境要因の一つであり続けている

高血圧に次ぐ世界第2位の死因である大気汚染は、毎年およそ700万人の命を奪っている。UESI対象都市の住民のほぼ全員が、世界保健機関(WHO)の2021年指針値である5 µg/m³を超えるPM2.5濃度にさらされており、91%は少なくとも中程度の曝露(2005年のWHO指針値に基づく10 µg/m³)を受けている。

曝露は特にグローバルサウスの地域で深刻だ。そこでは経済成長が、石炭火力、製造業、鉱業、石油採掘など、高度に汚染を引き起こす工程や産業に依存することが多い。しかし、UESI対象の267都市では世界的に大気質が徐々に改善しており、特に欧州と北米で進展が見られる。ロンドン、ニューヨーク、モントリオールなどの都市では近年PM2.5濃度が10 µg/m³を下回り、都市の大気質に大きな改善が見られた。

一方、ソウル、北京、メキシコシティ、キンシャサを含む東アジア、中南米、サハラ以南アフリカの都市では、PM2.5濃度が横ばいか、わずかに低下している。中東、北アフリカ、南アジアのテヘランやバンガロールなどの都市では、依然としてPM2.5濃度が高い。

2005年の世界保健機関(WHO)が安全な曝露の目安として推奨したPM2.5濃度の基準値を超えた年を示すスモッグストライプ。Image: UESI

5. 都市の気候関連排出は市域の境界を越えて広がる

消費に基づく指標から、多くの都市では実際の炭素影響が市域の境界を越え、輸入品やサービスを考慮すると排出量が5~10倍になることが分かる。この結果は、気候対策を先導する都市でさえ、気候への影響全体に十分対処できていない可能性を示している。

アフリカなどの開発途上地域にある少数の都市でのみ、域内排出量が消費に基づくカーボンフットプリントと一致するか、それを上回る。この傾向は多くの場合、製造業、廃棄物処理、エネルギー生産などの高排出部門が市域内にとどまっているために生じる。多くの先進都市ではこれらの部門が都市部の外に移転し、その排出が消費に基づく排出として計上される。

こうした知見は、都市部の気候への影響全体を把握するには、消費に基づく排出量を算入することが重要だと示している。そうすることで都市は、排出規模をより正確に把握し、排出全体に対処するための行動を提案し、気候政策の有効性を評価し、世界的な気候対策を支える、より十分な情報に基づく意思決定を行える。

都市のカーボンフットプリントと域内排出量の比較。

アゼルバイジャンのバクーで開催されるCOP29の気候交渉でも、都市は気候対策に不可欠な存在となる。その重要性は、各国の気候対策の進捗が不十分であることを示した最新の国連の評価によって、改めて浮き彫りになっている。

この遅れは、気候対策のための高い野心を持つマルチレベル・パートナーシップ連合(CHAMP)のような国際的連携の重要性を示している。73か国が、地方政府との協力強化とあらゆるレベルでの気候対策の最大化に取り組むことを表明している。

ドナルド・トランプ次期大統領の最近の当選と、米国がパリ協定から再び離脱すると予想されることを受け、地方レベルの気候対策に再び注目が集まるだろう。2016年には、地方レベルの取り組みによって約4,000人のリーダーが結集し、気候変動対策に向けた独自の誓約を掲げた。

世界経済フォーラムは、スマートシティの実現に向けて何をしているのか?

進捗と課題の両方を把握すれば、都市は地域政府や国の政府との相乗効果を見いだし、公平な方法で気候・環境面の実績を高める最善の方法を互いに学ぶことができる。

エンジェル・スー博士は、UNCチャペルヒル校の公共政策・環境学の准教授であり、同校でData-Driven EnviroLabの所長も務める。ディエゴ・マニャはData-Driven EnviroLabの研究科学者で、都市環境・社会的包摂指数の共同責任者である。

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