世界で最も環境に優しいビジネス地区から学べる5つのこと

In July 2017, the Paris City Council unveiled a roadmap to transition to a circular economy
In July 2017, the Paris City Council unveiled a roadmap to transition to a circular economyImage: REUTERS/Benoit Tessier
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パリ市と、パリ地下鉄を運営する国有公共交通事業者のRATPグループは、共同でレ・ドゥー・リーヴを立ち上げました。世界で最も環境に優しいビジネス地区を築く、大胆な取り組みです。

レ・ドゥー・リーヴ(「二つの岸」の意)は、リヨン駅とオーステルリッツ駅、ベルシー地区とトルビアック地区の間に広がる、パリ中心部の人口密集地域を指します。セーヌ川によって二分されるこの地区は市内で4番目に大きなビジネス地区で、700社が集まり、10万人を雇用しています。

レ・ドゥー・リーヴは、循環型経済の原則に基づいて運営される、パリ初の「循環型地区」を目指しています。企業が設備やサービスを共有し、廃棄物を相乗効果のある形でリサイクル、アップサイクルできるようにします。現在の試験段階では、パリ市役所、RATP、ナティクシス、内務省、ホテル・プルマン、預金供託金庫など、企業や公共部門の組織30団体が、使い捨て食品容器の削減、相乗りサービスの集約、廃棄物の共同管理という3つの主要な取り組みに協力しています。

Image: ニュージーランド環境省

レ・ドゥー・リーヴのプロジェクトの中核を担うのは、デジタル協働プラットフォームです。大企業、起業家、NGO、市民団体、政策立案者がベストプラクティスを共有し、解決策を共同で生み出せます。世界最大のスタートアップ・キャンパスであるステーションFを擁するこの地区は、公平で健康的かつ持続可能な地域社会を共につくるため、自らの才能を役立てたいと願う、社会意識の高いミレニアル世代とZ世代の起業家を育む場となりつつあります。

9月、パリ市とRATPはステーションFで共催イベントを開き、レ・ドゥー・リーヴに関わるステークホルダーを一堂に集めました。このイベントでは、循環型経済の構築に取り組む意欲的なスタートアップが紹介されました。以下はその一部です。

- ニューシーは、自動販売機に対応した再利用可能なカップを製造しています。フランスでは毎年47億個のカップが廃棄され、そのうちリサイクルされるのはわずか1%です。

- K-Ryoleは、スマートな自走式電動自転車トレーラーを開発しました。最大250kgを安全に運搬でき、環境に配慮したラストマイル配送を実現します。

- パンドバックは、農場から店頭まで食品を運ぶための再利用可能なコンテナを提供しています。パリでは毎日、30万個の梱包箱が廃棄されています。

パリのアンヌ・イダルゴ市長やカリフォルニア州のジェリー・ブラウン知事のような先見性のある首長に率いられ、世界各地の都市や地域が気候変動対策を主導しています。イダルゴ市長は、気候危機への取り組みを約束する世界の大都市90以上を結ぶ「C40都市気候リーダーシップ・グループ」の議長を務めています。最近サンフランシスコで「グローバル気候行動サミット」を主催したブラウン知事は、2045年までにカリフォルニア州の電力を100%ゼロカーボン化する法案に署名しました。

こうした状況において、レ・ドゥー・リーヴは、経済発展、社会的包摂、持続可能性の統合を目指す地域および都市レベルの政策立案者に貴重な教訓を示しています。

教訓1:官民と市民社会の連携が長期的な成功の鍵

2017年7月、パリ市議会はロードマップを発表し、「光の都」パリを循環型経済へ移行させる方針を示しました。このロードマップは、民間部門、市民社会、学術界の240の関係者から意見を得て策定されました。レ・ドゥー・リーヴを含む15の実践的な行動項目を定め、持続可能な生産と消費を可能にし、2020年までにパリの廃棄物をなくすことを目指しています。

市議会は、企業、NGO、市民団体と緊密に連携しながら、これら15の取り組みの実施を監督します。他の市議会はここから何を学べるでしょうか。持続可能性戦略の検討、策定、実施にあたり、すべてのステークホルダーを巻き込む「オープンイノベーション」のアプローチを採用し、その正当性と受容を高める必要があります。

教訓2:試験的プロジェクトの実行には強力なリーダーシップが必要

レ・ドゥー・リーヴは、フランスの首都の循環型経済マスタープランを代表する取り組みです。利害がこれほど大きい状況では、都市とその民間部門および市民社会のパートナーが、戦略的な試験的プロジェクトを実行する強力なリーダーを任命することが不可欠です。

レ・ドゥー・リーヴは、優れた女性リーダー2人が共同で指揮しています。社会的企業、社会イノベーション、循環型経済を担当するパリ副市長のアントワネット・ギュール氏と、国有公共交通事業者RATPで戦略・イノベーション部門を率いるマリー=クロード・デュピュイ氏です。ギュール氏とデュピュイ氏はともに外交手腕と起業家精神を備え、大規模プロジェクトの主導や、多様なステークホルダーから成る連携体制の調整に豊富な経験を持っています。

教訓3:持続可能性の取り組みには社会的な側面が必要

現在、循環型経済は資源の再利用と廃棄物のリサイクルに重点を置いています。これは資本主義経済の効率性を高めますが、広く存在する社会的不平等には対処できません。レ・ドゥー・リーヴはこの状況を変えようとしています。この地区のあらゆるリサイクル活動が、恵まれない市民にも社会的価値をもたらすようにし、循環型経済を好循環の「らせん型」経済へと進化させることを目指しています。

例えば、セーヌ川に係留された浮遊文化施設ル・プティ・バンは、飲料の配送に使われたパレットを、長期失業に取り組むNGOの13アヴニールに提供しています。13アヴニールは、長期失業者の力を借りてこの古いパレットを美しいテーブルや椅子にアップサイクルします(同団体は長期失業者を正規雇用し、雇用を保障しています)。そして、それらをル・プティ・バンに販売し、テラスで使ってもらいます。

教訓4:ビジネス地区は企業間共有の触媒となる

現在、シェアリングエコノミーは、市民が車や住居を直接共有するような消費者間(C2C)の取引に限られています。しかし、レ・ドゥー・リーヴが示すように、企業が高密度に集まるビジネス地区は、企業間(B2B)の共有を先導できます。近隣企業が、廃棄物や未使用のオフィススペースから従業員、さらには知的財産(IP)まで、さまざまな資源を共有できるようになります。

C2Cのシェアリングエコノミーは、2014年の150億ドルから2025年までに3,350億ドルへ成長すると予想されています。しかし都市は、ビジネス地区の企業間でB2B共有を促すことで、数兆ドル規模の潜在的な経済価値を引き出し、活用できるでしょう。市議会は、法的責任、課税、IP保護、労働者の権利を網羅する包括的な新たな枠組みを設け、企業が資産、人材、IPを共有するよう促す必要があります。

教訓5:シリコンバレーに代わる起業の新潮流。次の大きなテーマは持続可能性

根強い性差別とエリート主義的なイノベーション文化(Wi-Fi接続のジューサーに700ドルを払いたいと思いますか)を抱えるシリコンバレーは、社会や環境への意識が高いミレニアル世代とZ世代の起業家にとって魅力を失いつつあり、彼らは文字どおり、より緑豊かな場所へ移っています。こうした若いイノベーターはスポーツカーを火星に送ることには関心がありません。むしろ、自らの才能とエネルギーを生かして地球を守り、包摂的で公正かつ健康的な地域社会を築きたいと考えています。

レ・ドゥー・リーヴを訪れた際、フランス有数の工学系・ビジネス系大学を卒業したZ世代の若者数人に会いました。彼らは大手銀行やコンサルティング会社からの内定を断り、循環型経済の構築に役立つサービスを提供するスタートアップを立ち上げていました。

パリのように大胆な持続可能性戦略を採用すれば、都市はビジネスの才覚と社会への思いやり、環境への意識を兼ね備えた新世代の起業家を引きつけ、地域経済を活性化し、社会的なつながりを強め、気候変動の緩和に貢献できます。

2050年までに、世界人口の約70%が都市部に暮らすようになります。都市は、気候変動への対策とその反転を世界規模で主導しなければなりません。レ・ドゥー・リーヴは、民間部門と市民社会を巻き込み、社会的包摂と環境面の健全性を備えた地域を共につくる方法について、都市の政策立案者に重要な知見と実践的な教訓を示しています。レ・ドゥー・リーヴのモットーを借りれば、そのような持続可能な地域社会では、「何も失われず、すべてが変容する」のです。

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