不確実な時代をどう乗り越え、繁栄できるかを示す5つの都市

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  • 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)やその他の危機が続くなか、多くの都市が従来のやり方を見直しています。

  • 世界資源研究所(WRI)は、都市や地域社会が激動の時代にどう繁栄できるかを示す事例を募りました。

  • 最終候補に残った5つの事例には、コロンビアのバランキージャとインドのオディシャが含まれています。

  • いずれも、最も脆弱な立場にある住民に焦点を当てた、革新的で人々を中心に据えた対応によって、都市のレジリエンスと公平性を高め、将来のショックによりよく備えられることを示しています。

歴史を振り返ると、災害や危機に見舞われた都市は、以前よりも力強く、レジリエンスを高めて立ち直ることがよくあります。シカゴ大火は、超高層ビルの誕生につながったことで知られています。感染症の流行をきっかけに、公衆衛生政策や近代的な衛生設備が整備されました。第二次世界大戦の甚大な被害は、住宅とインフラへの前例のない投資を促しました。

新型コロナウイルス感染症のパンデミックの勢いが弱まるなか、多くの都市は今、再考の時を迎えています。混乱や不確実性、危機が新たな日常となるかもしれない世界で、都市の復興、移行、再生をどう進めるべきか、率直に問い直しています。

2021~2022年のWRIロス・センター・シティーズ賞の一環として、WRIは都市コミュニティに対し、次の重要な問いに答える模範的な取り組みを提案するよう呼びかけました。激動の時代に、都市や地域社会は誰も取り残さずにどう繁栄できるのでしょうか。

65カ国155都市から寄せられた260件の応募のうち、最終候補となった5件は、いずれも地域社会の危機に直面していました。しかし、最も脆弱な立場にある住民を中心に据えた革新的な対応を通じて、リーダーたちは都市のレジリエンスと公平性を高め、将来のショックによりよく備えられるようにしました。

これらの事例は、不確実性や混乱、危機に都市がどう対応できるかを力強く示しています。

緑地を通じたコロンビア・バランキージャの再活性化

バランキージャでは、世帯の93%が徒歩8分未満で緑豊かな公共空間にアクセスできます。Image: バランキージャ市

10年前、バランキージャは経済停滞に直面していました。住民の約43%が貧困状態にあり、多くの人々が健康状態の悪化、犯罪、行政への信頼の低さ、環境の劣化に苦しんでいました。既存の公園や公共空間は十分に活用されず、荒廃していることも多く、市民にほとんど恩恵をもたらしていませんでした。

2011年以降、バランキージャ市長室はトドス・アル・パルケ、という都市公園プログラムを立ち上げ、住民参加のもとで202の公園を再生し、新たに48カ所を整備しました。現在、バランキージャでは世帯の93%が徒歩8分未満で緑豊かな公共空間にアクセスできます。

公園は地域社会にとって重要な拠点となり、近隣住民が遊び、交流し、運動できる新たな場所を提供しています。とりわけ、こうした施設が不足していた低所得・中所得地域で大きな役割を果たしています。新型コロナウイルス感染症のパンデミック中には、検査やワクチン接種の会場など、感染症対策に関するサービスも提供し、ソーシャルディスタンスの指針を守りながら人々が集える機会を設けました。

バランキージャは、コロンビアで初めての「生物多様性都市」となり、自然を活用した解決策と生物多様性を都市計画に取り入れようとする南米8都市のネットワークを主導しています。

地域社会が築くフィリピン・イロイロ市のレジリエンス

計画、住宅設計、調達、建設管理から全体的なプロジェクトの策定まで、あらゆる段階で地域社会が主導しました。Image: イロイロ市のフィリピン・ホームレス人民連盟

過去20年間、イロイロ市は急速な都市化と自然災害に起因する住宅危機に直面してきました。

2008年、台風フランが市の80%を浸水させました。これにより、市内に多数いるインフォーマル居住者への住宅提供という課題がさらに深刻化しました。政府の治水事業では、こうした地域の住民が以前の住まいから遠く離れた場所に移転させられ、安全な住宅も得られないことが少なくありませんでした。

これを受け、市民社会団体の連合が、フィリピン・ホームレス人民連盟(HPFP)の主導のもと、市政府と協力してイロイロ市の参加型住宅・都市開発を実施し、先進的で革新的な地域主導の住宅戦略を組み合わせました。その結果、市内の都市貧困世帯27,000世帯のほぼ3分の2に対し、立ち退きや遠隔地への移転を伴わない住宅ソリューションを実現しました。

市は、市域内にある未開発の土地を提供しました。地域団体はその後、さまざまな方法でインフォーマル居住世帯を組織し、安全な住宅を確保しました。住民の自主的な組織化には、住宅の建設や改修の資金をまかなう共同貯蓄グループの設立や、新たな開発用地の共同購入が含まれます。

この取り組みを通じて、都市貧困層は市の正式な計画策定プロセスに恒久的な代表枠を得ました。市は、将来の自然災害を誰も取り残さない形で予測し、備える場所へと変わりつつあります。洪水や嵐に対する市の防御力を高めても、人々を移転させるのではなく、より安全な未来につながる新たな機会を提供しています。

インド・オディシャ州の迅速な対応がもたらした長期的な効果

この取り組みは、オディシャ州の114都市すべてで、都市貧困層やインフォーマル労働者、移住労働者70万人に収入を得る機会を創出しました。Image: オディシャ州政府住宅・都市開発局

新型コロナウイルス感染症のパンデミックが始まった頃、インド全土で実施された21日間のロックダウンにより、経済活動がほぼ一夜にして停止し、都市貧困層の間で深刻な失業危機が生じました。

わずか数週間で、オディシャ州政府の住宅・都市開発局は、都市賃金雇用イニシアチブ(UWEI)を開始し、オディシャ州の114都市すべてで、都市貧困層やインフォーマル労働者、移住労働者70万人に収入を得る機会を創出しました。既存の地域団体、スラム居住者協会、女性グループが求職者を組織し、排水路の浚渫、雨水貯留、コミュニティセンター、衛生関連活動、公共空間の整備など、低炭素型の公共事業22,500件を実施しました。

低炭素型の公共事業には、雨水排水設備の改善、雨水貯留、コミュニティセンターの整備が含まれます。Image: オディシャ州政府住宅・都市開発局

このプログラムはその後、恒久的な都市雇用プログラムとなり、インドの他の3州でも実施されました。インド政府はこのプロジェクトを全国の模範事例として掲げました。

世界経済フォーラムは、都市の未来をより良くするために何をしているのでしょうか。

都市変革センターは、都市の未来を形作る課題や機会を理解するため、都市のリーダー、企業、政府をつないでいます。

都市変革センターは、同業者同士の学びと協働を通じて、都市が知見を共有し、共通理解を実践的でレジリエンスの高い都市ソリューションへと結びつけられるよう支援します。

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フランス・パリを「15分都市」へ

15分都市の構想は、必要な施設やサービスを住民の自宅から近い距離に集め、徒歩や自転車での移動を優先します。Image: パリ市

世界の多くの大都市と同じく、パリは住民の生活の質を高めながら排出量を削減する必要に迫られていました。新型コロナウイルス感染症の危機によって、都市の未来を導く説得力あるビジョンが必要だという認識がいっそう強まりました。

2020年、アンヌ・イダルゴ市長は、パリを「15分都市」にする計画をさらに推し進めました。カルロス・モレノ教授が2016年に考案したこの構想は、低炭素で地域に根差した都市生活のビジョンです。炭素集約型の移動を大幅に減らし、住民が自宅から近い距離で必要なものをすべて得られるようにします。

イダルゴ市長が掲げる15分都市政策には、自転車インフラの大幅な拡充、都市公園の整備、学校周辺道路の車両通行止め、参加型予算編成、意思決定の分権化が含まれます。2020年以降、市はパンデミック中に設けた一時的な自転車レーン1,000km超を恒久化しました。

世界各地の都市ネットワークや市長に支持され、15分都市は世界的な運動となり、フランスや各国の都市で同様の改革を促しています。

パキスタン・ペシャワールで交通を通じて暮らしを変える

パキスタンの「ズー・ペシャワール」(ペシャワールに行こう)は、女性やトランスジェンダーの人々など、脆弱な立場にある人々に安全な移動手段を提供し、人生を変える機会につなげています。Image: トランスペシャワール

長年、ペシャワールの住民は、主にディーゼルバスと自家用車で構成される、混乱し、汚染をもたらし、利用しにくい交通手段に苦しんできました。障害のある人や移動に困難を抱える人は、市内を移動できませんでした。安全性に欠ける駅や優先席の不足により、女性、子ども、トランスジェンダーの人々にとって、この交通システムは利用しづらいものでした。

2017年から2020年にかけて、トランスペシャワールは地域のバス業界を再編し、古い車両を廃止して、最先端のバス高速輸送システム(BRT)を建設しました。駅やバスは障害のある人も利用できるようになり、脆弱な立場にある人々のための優先席や優先乗車を設けています。女性の利用者が全乗車の2%から20%に増え、女性に新たな教育や職業の機会が開かれました。トランスペシャワールは、汚染をもたらす古い車両をディーゼル・ハイブリッド電気バス220台に置き換え、59kmの路線で運行しています。また、自転車レーンや駐輪場、自転車シェアリングシステムも整備し、BRTの決済システムと連携させました。

ペシャワールの経験は、世界水準の移動手段が、これまで疎外されてきた人々の人生を変える機会を切り開き、誰にとってもより安全で健康的な都市をつくれることを示しています。

激動の時代に共に繁栄する

過去2年間、都市の専門家や実務家は、記憶に残るかぎり最大の公衆衛生危機の最前線に立たされました。ロックダウンで都市の暮らしは止まり、都市に存在していた格差が劇的に拡大し、交通、住宅、物流、自治体財政、雇用など、都市システムの脆弱性が明らかになりました。

しかし、上記の都市は、公衆衛生上の危機やその他の危機を乗り越える道があり、適切な取り組みを通じて都市はより良い姿で立ち直れることを示しています。革新的な介入により、都市は都市貧困層、女性、子ども、トランスジェンダーの人々、移住者、インフォーマル労働者など、多様な人々に良い影響をもたらし、より強く、レジリエンスが高く、包摂的な都市になれます。

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