ポストコロナの都市における、より良い建築環境のための4つの優先事項

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• 都市は世界の繁栄を生み出す原動力ですが、適切に運営されなければなりません。

• ESG投資の潮流は、都市インフラに影響を及ぼすでしょう。

• 責任ある都市開発には、強固な規制環境が必要です。

過去150年の間に、人間社会のあり方に非常に大きな変化が起きました。かつては主に農村で暮らしていた人類ですが、今では世界人口の半数以上が都市部で生活し、働いています。予測によれば、2050年までにその割合はおよそ3分の2に達します。

都市化とは、人々が町や都市に集まり、物質的・知的資源を共有するようになる過程です。都市化は規模の経済とネットワークの大きな恩恵をもたらし、共通の課題への取り組みを後押ししてきました。しかし、その影響はすべてが有益というわけではありません。都市は世界の天然資源の75%を消費し、世界の温室効果ガス排出量の80%を占めています。

都市化と因果関係にある気候変動に加え、新型コロナウイルス感染症のパンデミックも、自然界との関係を当然視できないことを改めて示しています。ウイルスが広がったあらゆる場所で、既存の格差が顕在化し、多くの場合にはさらに深刻化しました。

経済の回復と感染拡大の抑制という目先の緊張関係を解消しながら、人々と地球により良い成果をもたらす都市化された世界を築くには、どうすればよいでしょうか。よりクリーンで、環境に優しく、包摂性の高い建築環境の青写真となる4つの原則を紹介します。

1. 社会的利益のために価値を再定義する

近年、ESGへの関心(環境・社会・ガバナンスの基準)が急速に高まっています。大きな混乱が続いたこの1年を通じて、ESG関連株が市場を上回る好成績を収めたことは、数少ない一貫した動きの一つです。その背景には、少なくとも一部に、市民や消費者による社会・環境問題への積極的な働きかけがあります。経済全体の持続可能な成長を目指す、倫理的に健全な投資への関心の高まりを後押しする必要があります。

インフラ分野では、純粋な商業的実績ではなく、社会的価値を評価基準とする手法が、広がりを見せています。英国のA303道路改良計画を例に挙げましょう。当初の最安案では、ストーンヘンジ世界遺産の歴史的遺構を道路が貫く計画でした。道路当局である英国道路庁が実施した調査では、納税者は遺産の完全性を保全する措置に対し、事業費の追加支出を最大14億ポンドまで認める意向を示しました。同様に香港では、最終的に費用が住民に転嫁されるとしても、建物の「緑化」への追加投資を支持する人が多いことが調査で分かりました。騒音公害、エネルギー消費、水の浪費を減らし、大気の質を改善する対策は、低所得層にも高所得層にも費用をかける価値があると評価されました。

ESGがこの先、かつての従来どおりの事業運営に戻る前の頂点とならないようにしなければなりません。新たに生まれつつある社会的合意を受け入れ、日々の事業運営に反映させることで、恒久的で前向きな変化を実現できます。

欧州が完全に持続可能な都市という構想を実現するには、規制が不可欠ですImage: 欧州委員会

2. 責任ある成長を促す手段としての基準

ESG基準への取り組みを約束した以上、それを実践に移すための実用的な枠組みが必要です。ここでは、規制上の指標が重要になります。信頼される国際基準は、建築環境全体にわたり、意義があり測定可能な社会的影響を実現するうえで、重要な役割を果たします。

たとえば、国際建設計測基準(ICMS)連合の取り組みにより、複数の法域にまたがるプロジェクトで、ライフサイクルコストをより透明かつ一貫性のある形で報告できるようになりました。実績への理解が深まれば、投資判断の質が高まり、最も必要とされる場所に質の高い住宅やインフラを、より確実に供給できるようになります。

協働して策定した基準が、より良い社会的・環境的成果をもたらすもう一つの例が、持続可能な投資に関するEUタクソノミーです。国際不動産計測基準(IPMS)を取り入れたこの取り組みは、企業と投資家の間に共通言語を築き、グリーンプロジェクトに資金をより的確に振り向けられるようにします。

欧州連合は、2050年までのカーボンニュートラル達成を目指しています。その時点でも、欧州の既存建築ストックの95%が使われ続けると推計されています。現在、欧州大陸の建物の4分の3はエネルギー効率が低いと評価されていますが、エネルギー効率を高める改修が行われるのは毎年わずか1%です。この問題への対処と16万人の新規雇用創出を目的とするEUの「リノベーション・ウェーブ」構想を成功させるには、巨額の民間資本を投入する必要があります。EUタクソノミーに建築分野の技術的スクリーニング基準が盛り込まれなければ、これほどの投資は現実離れしたものとなるでしょう。実務者、国際機関、政府の協働という精神が、建築環境の「グリーン化」に向けた今後すべての取り組みを支えるべきです。

3. 多様な利用者と地域社会のニーズをプロジェクトの中心に据える

現在直面する課題がどのようなものであれ、解決策の持続性は専門知識だけでなく、社会の信頼にも左右されます。これは、建物のライフサイクルにおける設計・着工前の段階にも、使用中の性能にも等しく当てはまります。パンデミックへの対応で、施設管理の専門家が不可欠な役割を果たしたことは、その好例です。

この1年、彼らは商業用不動産における利用者の福利、資産の安全、そして中核業務の維持に大きく貢献してきました。前例のない状況下であっても、これが彼らの日常業務だと言えるかもしれません。しかし、ロックダウンをきっかけに在宅勤務が広く普及したことで、同僚の家庭内にまで踏み込んだ対応が求められました。職場と家庭の境界が曖昧になるなかで、機転、配慮、慎重さの重要性が強く認識されました。この職種の人々は見事に応えてきました。

商業用・住宅用を問わず、建物との関わり方は変化しています。こうした変化の動きや影響を記録する能力が、建築環境の将来のレジリエンスを築く基盤となります。リーダーは、戦略的な協議の場に施設管理の視点をより広く取り入れることで、最終利用者の重要な視点を意思決定プロセスに組み込めます。

4. テクノロジーとデータの変革力を生かす

ロックダウン中にテクノロジーが生産性の維持をどう支えたか、誰もがそれぞれの経験を持っているでしょう。最新のRICSの調査は、パンデミックによって当分野でテクノロジー主導の新たな働き方の導入がどれほど加速したかを裏付けています。しかし、実績の改善や利用者体験の向上に向けて、テクノロジーとデータの価値を最大限に引き出すには、まだ長い道のりがあります。

共通データ環境は、この点で欠かせません。進行中のプロジェクトや資産の実績をより透明化し、よりタイムリーで効果的な運用上の介入を可能にするとともに、評価の基礎となるデータセットを充実させます。しかし、テクノロジーだけでは十分ではなく、新しい技術は新たなリスクももたらします。技能と自信を備え、資格を持つ専門家、そして広く活用される厳格な一連の基準がなければ、この新たなデジタル環境を切り開くことはできません。

テクノロジーは、商業上の信頼と社会全体の信頼を築くうえで重要な資産となり得ます。適切な人材と政策がなければ、逆の効果を招きます。

不動産の未来を支えるため、世界経済フォーラムは何をしているのでしょうか?

新型コロナウイルス感染症によって、都市化の長期的な傾向が変わったわけではありません。都市は今も世界の繁栄を生み出す原動力であり、共有と個人の経験が繰り広げられる場であり、実験とイノベーションの研究室です。したがって、拡大する都市圏の管理に失敗すれば、ますます多くの人々に影響が及ぶことは確かです。成功を保証する処方箋を書こうとは思いませんし、上記が必要な行動のすべてを網羅しているわけでもありません。それでも、建築環境に意義のある持続可能な変化をもたらそうとする人は、これら4つの原則を優先事項の上位に据える必要があります。

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