AIがリーダーの「信頼される力のギャップ」を広げている――その解消法

A laptop computer with an AI prompt.
As more leaders turn to AI for efficiency, audiences are trusting them less.Image: Aerps.com/Unsplash
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  • AIによってリーダーはより速く意思疎通できるが、従業員の信頼と組織の信頼性が損なわれ、AIによる「信頼される力のギャップ」が生じている。

  • その結果、従業員の意欲低下や時間の浪費など、組織の問題が連鎖的に深刻化する。

  • このギャップを埋めるには、リーダーは自らの行動をコミュニケーションのスタイルと一致させなければならない。

いまや言葉はかつてないほど簡単に生み出せる一方、信じることは難しくなっている。リーダーたちはAIの導入を急ぐなかで、効率を高める一方、信頼を失いつつある。

私はこれを「信頼される力のギャップ」と呼ぶ。リーダーの話しぶりがどれほどプロらしく聞こえるかと、人々がどれほどその人を信じるかの隔たりが広がっているのだ。

地政学的な同盟関係が変化し、経済の先行きが急速に不透明になるなか、AIはわずか数秒で説得力のあるメッセージを生み出す。私たちは指針を求めてリーダーに目を向ける。信じたいと思いながらも、何かが私たちをためらわせる。

ある歯科助手が、こんな話をしてくれた。「私の患者の一人である億万長者がこう言ったんです。『歯科医に治療が必要だと言われて、診察室を出ていくと、あなたに理由を尋ねる。なぜ私があなたに聞くか、わかる?あなたは信頼できるからだよ。そんな人はめったにいない。話し方や、私の健康を気遣う熱意、声に表れる自信が違うんだ』」

AIと信頼について、職場の調査が示すこと

私たちは耳にするあらゆることに、ますます疑問を抱くようになっている。こんな状況を考えてほしい。上級リーダーから、明らかにAIで書かれたようなメールが届く。あなたはその人を信じるだろうか。

新たな研究によれば、信じない人が多いようだ。ある研究が『International Journal of Business Communication』に掲載され、職場で文章を書く際のAI利用が少ない、中程度、多い場合について、人々の受け止め方を調べた。上司が定型的な連絡業務にAIを多用すると、回答者は発信者の自信、誠実さ、能力に疑問を抱き始めた。

この研究は、自分自身のAI利用に対する偏った見方も示した。部下は、自分自身の利用を評価するよりも、上司のAI利用を厳しく評価した。つまり、「自分は使ってもいいが、あなたはだめ」ということだ。

信頼される力を築くための教訓

信頼される力を築くものは何だろうか。最近、世界の大手組織の幹部を招いた非公開の円卓会議を開いた。私はハーバード・ケネディ・スクールで12年間教え、大学院生から国家元首までと仕事をしてきた。この問いには誰もが答えを見つける必要があると考えている。

円卓会議でリーダーたちは、同じ点を指摘した。一貫性が必要だということだ。何を言うかと、どう言うかが一致すれば、人々はあなたを信じる。言葉と伝え方、メッセージと行動の隔たりによって、信頼性は失われる。

リーダーが信頼されなくなった後に何が起こるかも語られた。不信感は後味の悪さを残し、組織の問題を連鎖的に深刻化させる。従業員は意欲を失うか、辞めてしまう。ある参加者はこう語った。「時間を失います。自分の言っていることが真実だと、人々を改めて説得しなければならなくなるからです」

参加者たちは、調査が示す事実も認めた。私たちはそれぞれのフィルターを通して、信頼できるかどうかを判断している。偏見や思い込み、直感的な反応がすべて、相手が誠実かどうかにかかわらず、その人を信頼するかどうかを左右する。

リーダーが自分らしく伝えるための中核要素

これを理解しても容易になるわけではないが、リーダー、とりわけ不信感を抱く聴衆に向き合う新任リーダーにとって、欠かせない背景知識だ。これまでの文献レビューから、信頼される力は、行動、コミュニケーション、そして相手に与える印象という、重なり合う三つの要素から生まれることが見えてきた。

1. どう行動するか

一言も発する前に、あなたの評判はすでに先行している。明確な知識と専門性があるだろうか。行動は言葉と一致しているだろうか。部屋に入る前から信頼される力は築かれる。そして、その場で取る行動が最も重要なこともある。

私の知るあるリーダーが、何千人もの従業員が集まるタウンホールで取った行動を考えてみよう。誰もが気にしているのは、AIが雇用に及ぼす影響だと彼はわかっていた。議題にはなかったが、開始から10分後、彼は進行を止めて言った。「このことについて話しましょう」と。。彼はこの問題を取り上げたくなかったが、そうした。その決断は、ほかの何よりも彼の信頼性を高めた。AIが生成したメッセージや、準備しすぎた話の要点があふれる時代に、リーダーが信頼されるためにできる最善のことは、人々が考えていることを率直に認めることだ。

2. どう伝えるか

自分が本当に信じている言葉を使っているだろうか。原稿を淡々と読むのではなく、確信を込めて伝えているだろうか。私たちは数秒のうちに、あなたを信じるかどうかを判断している。

MITで開かれたAI会議で、ある上級幹部の講演を聞いた。発言は洗練され、技術的にも正確に聞こえたが、まったく説得力がなかった。言葉はありきたりで、用意された話の要点を使っているのがわかった。私は「これは彼女が書いたものではない」と思った。昼食のとき、別の人も彼女を信じられなかったと言ったが、その理由はまったく違った。「彼女はずっと髪をかき上げていた」と彼は言った。人々はあなたを信じなくなると、それを正当化する理由を自分で見つける。これが、信頼される力の三つ目の要素につながる。

3. 相手にどう受け止められるか

これは三つの要素のうち最も主観的で、制御が最も難しい。話し始めた瞬間、聴衆はすでに、あなたやあなたの組織に対する偏見や思い込み、過去の経験に基づいて印象を形づくっている。研究によれば、こうした脅威の評価は数ミリ秒で行われる。

かつてハーバード・ケネディ・スクールで、ある政治家の講演を聞いたことがある。率直な感想は「あなたが好きではない」だった。それでも、彼の話していることは信じた。これは重要だ。リーダーはメッセージに全力を注ぐ一方で、それを受け取る聴衆を理解することにはほとんど力を割かないことが多いからだ。その場にいるのは誰か。彼らはあなたの組織とどのような歴史を共有しているのか。相手にどう受け止められるかを考えるうえでは、話し方の技術よりも、聴衆があなたをどう見ているかを理解することのほうが大切だ。

AIの効率性と自分らしいリーダーシップの両立

AIは、私たちが理解し始めたばかりの形で、三つすべての要素に圧力をかけている。リーダーがAIにメッセージを書かせ、確信も責任感もなく原稿を読み上げれば、信頼と信頼性を失う。AIと自分らしいリーダーシップについての本を調べるなかで、私はこれが実際に起きているのを見てきた。だからこそ、あなたはできると考えている。リーダーシップをAIに委ねるのではなく、自分らしさを引き出す形でAIを活用することが。

信頼される力のギャップは広がっており、リーダーだけでなく組織全体を損なうことになる。この人類の発展における重要な局面をリーダーが組織とともに乗り越えるには、信頼と信頼性を得るだけでなく、コミュニケーションのたびにそれを体現するため、できる限りのことをすべきだ。

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