人工知能(AI)の利用にあたっては、自信のなさが多くの人の足かせとなっている。
しかし、対面型ワークショップは、グループでAIスキルを学ぶ価値を示している。
有望なアイデアを拡大してインパクトにつなげることは、世界経済フォーラムのニュー・チャンピオンズ年次総会(「サマー・ダボス」とも呼ばれる)の重要なテーマであり、2026年6月23~25日に中国で開催される。
人々が一堂に会して人工知能(AI)のスキルを共に学ぶと、思いがけないことが起こる。参加者はコンテンツを受け取るだけの受け身の姿勢を脱し、現実の課題を解決し始める。
この傾向は、業界、地域、職位を問わず一貫して見られる。世界的なAIスキルをめぐる議論に何かが欠けていることを示していると、私は考える。
多くの業界がAIプラットフォーム、認定資格、自主学習ツールに多額の投資をしてきた。こうしたツールにも役割はあるが、AIスキルの格差を埋めるには至っていない。
多くの人がAIの利用をためらう理由は、使い始める自信がないことに尽きる。
AIスキルと自信を育む
これは、ASEAN地域でCognizantの「AI for Impact Community Labs」プログラムを実施してきたなかで得た教訓の一つにすぎない。
このプログラムでは、非営利団体の職員、中堅の専門職、上級幹部チームを集め、体系的な対面型AIスキル・ワークショップを行う。研修を受けたファシリテーターが段階的なプロンプトエンジニアリングの枠組みに沿って参加者を導き、ボランティアのメンターが各テーブルにつき、新たに学んだスキルを参加者自身の実務課題に活用できるよう支援する。特定のツールに依存しない形式を意図的に採用しており、参加者はすでに利用できるAI製品を使う。
各セッションの最後には、グループごとに組織内の具体的な課題、機会、または業務フローを特定し、人間とAIが協働することで双方の力を最大限に引き出す解決策を設計する、体系的な活動を行う。
2026年初頭に開始したCommunity Labsシリーズを含め、AI for Impactを2年半にわたって実施してきた結果、明確な結論を導けるほど一貫した成果が得られている。
1. AI活用の障壁はスキルと応用する自信
これまでに取り組んだすべての参加者グループで、一貫した傾向が見られる。職位、業界、経歴を問わず、参加者の大半は、自分にはうまくプロンプトを書けないと思いながらやって来る。
人々はツールを利用できる。欠けているのは、AIの力を最大限に引き出すために思考を整理する能力だ。これには、部門長、機能部門の責任者、変革推進リーダー、そして数十年の専門知識を持つ上級幹部も含まれる。
AIへの課題は、自信の問題から始まる。プラットフォームはコンテンツを提示し、学習の完了状況を追跡し、修了証を発行できる。しかし、人間だからこそできること、つまり人々に「自分にはすでに考える力がある」と気づかせ、その力をAIにどう応用するかを説明することはできない。
2. 1回のセッションでAIスキルを測定可能なほど伸ばせる
測定対象となったすべての参加者グループで、AIスキルのセッションを1回受けるだけで、平均プロンプト作成能力は5段階評価で1ポイントを超えて上昇する。
あるグローバル製薬会社の上級幹部グループでは、1回のセッションでプロンプト作成能力が2.67から4.07に上昇した。さらに、参加者の100%が、終了後に自分のAIプロンプト作成スキルを4以上と評価した。
非営利団体のより大規模な参加者グループ(103人)では、研修後に生成AIを使って1日あたり30分以上の時間を節約できると、95%が回答した。
3. グループなら、個人では見つけられないAIの活用法を引き出せる
AIワークショップで私が最も好きな瞬間は、テーブルを囲む人々が話し始めるときだ。資金調達担当者が、同僚がAIで報告書を作成していると聞き、助成金申請書の作成にも使えるとすぐに気づく。あるいは、臨床教育担当者が、同僚からAIを活用したシナリオ計画について聞き、シミュレーション研修にも適していると気づく。
非営利団体37組織が参加したあるセッションでは、数時間のうちに各グループから、寄付者獲得戦略、高齢者向け多言語チャットボット、理事会資料の作成、ボランティア行事の運営、臨床研修教材など、幅広い活用事例が生まれた。
ほぼすべての参加者が、グループワークを通じて、アイデア創出、協働、批判的思考といった人間のスキルの重要性を認識できたと答えた。こうしたつながりは、一人で取り組んでいては生まれない。
4. AIスキルへの需要が示す重要なこと
人が主導するAIワークショップは、開催できるペースを上回る速さで定員に達する。参加者73人を想定したあるセッションでは、募集を締め切るまでに40以上の組織から200件を超える申し込みがあった。
申し込んでいる人々の顔ぶれも、同じくらい注目に値する。市場の主要なAIプラットフォームすべての法人ライセンスをすでに保有するグローバル組織の上級幹部チームが、ボランティアが進行するこうしたワークショップへの参加を選んでいる。理由を尋ねると、決まって次のような答えが返ってくる。「プラットフォームはAIに何ができるかを教えてくれますが、今この時点で、自分の具体的な役割や組織において何をすべきかを考える助けにはなりません。」
上級幹部からの申し込み40件を調べたところ、AI導入の障壁としてスキルや人材の不足が28回挙げられ、明確でない活用事例、データセキュリティへの懸念、コンプライアンス、コストを上回った。
5. 学ぶ人が教える人になる
参加者は、ワークショップ後に最初にすることとして、新たに身につけたAIスキルをチームに伝えるとよく話す。上級幹部の多くは、会場を後にする時点で、自部門向けの社内セッションをすでに計画している。現場の従業員もほぼ例外なく、参加できなかった同僚に学んだことを共有すると答える。
ボランティアのメンター自身も、この動きをよく表している。ボランティア43人からの回答では、ボランティア活動だけを通じて、AIへの平均的な自信が5点満点中3.45から4.40に上昇した。また、91%が、メンタリングによって生成AIへの理解が深まったと答えた。
教えることは学びを加速させる。AIスキルのメンターを置く組織は、これを能力構築への投資と捉えるべきだ。
AIコンテンツを実践能力につなげる
世界にAI関連のコンテンツはあふれている。本当の課題は、そのコンテンツを実践能力に変える人間の基盤を築くことだ。
そのためには自信が必要であり、自信は人を通じて広がる。現実の問題に一緒に取り組んでくれる同僚、ためらいに気づいて言葉にしてくれるメンター、あるいは、みんなも同じように模索しているのだと思い出させてくれる人々がいる場が、その役割を果たす。
AIスキルを最も速く伸ばす組織は、AIの仕組みを理解し、活用し、最終的にはそれぞれの状況に合わせて形づくれるよう、他者を支える人材に投資している。つまり、仲間同士の学び合いを促す環境をつくり、メンターを能力構築の担い手として評価し、人間とAIがうまく協働すれば、どちらか一方だけでは到達できない成果が生まれると信頼することだ。
AIスキルを身につける道のりで最も重要な瞬間は、自分もこの未来の一員なのだと信じさせてくれる対話である。
フォーラムは、中国で2026年6月23~25日に開催される「サマー・ダボス」を前に、イノベーションがブレークスルーから規模拡大、そしてインパクトへと進む過程に光を当てている。最新情報をチェック。


