データセンターとAIが新たな成長エンジンとなる理由

An aerial view of a data centre: An increase in the construction of data centres is driving economic growth.
An increase in the construction of data centres is driving economic growth.Image: Unsplash/Geoffrey Moffett
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  • データセンター建設とAI関連支出の急増は、特に米国で、企業投資とGDP成長の重要な推進力となっている。

  • マイクロソフト、アルファベット、メタなどのハイパースケーラーがこの投資拡大の中心にあり、米国は世界のデータセンター容量の40%超を占めている。

  • 力強いGDP成長と雇用の伸びの鈍化が併存していることは、AI導入による生産性向上の初期の兆候を示唆している。

データセンター建設と人工知能(AI)関連投資は、近年急増している。これは世界的な動きであり、ChatGPTのような技術の登場によって加速した、世界規模のAI競争の一部だ。この競争には、経済、地政学、エネルギー、テクノロジーにまたがる複数の側面がある。

マクロ経済の観点では、データセンターの急拡大は企業投資を中心に進み、足元の成長を押し上げ、労働需要を形づくり、最終的には生産性と中期的な成長にも影響を及ぼす。

データセンターがマクロ経済に及ぼす影響は、物理的な建物の建設をはるかに超える。この意味で、「データセンター」という言葉では、AI構築のマクロ経済への影響を十分に表せない。国民経済計算でAIブームに伴う投資を捉えるには、いくつかの構成要素がある。

第一は、データセンターの建設と、それに関連する電力への投資で、非住宅建築物に計上される。第二は、施設の稼働に必要なラック、サーバー、メインフレーム、冷却システムなどのハイテク機器への投資だ。第三は、データセンター機器の稼働に必要なソフトウェアを含む無形資産への投資である。

世界のデータセンター建設を主導する米国

データセンター建設を担う主な経済主体は、大規模なクラウドコンピューティングサービスを提供するマイクロソフト、アルファベット、メタなどのハイパースケーラーだ。AIとデータセンターの競争における中心的な役割は、これらの企業のマクロ経済上の位置づけに興味深い変化をもたらしている。

歴史的に、テクノロジー業界は人的資本の比重が大きく、設備投資の存在感は小さいと見られてきた。しかし、大規模なデータセンターの建設とAIの覇権をめぐる競争を背景に、テクノロジー企業のマクロ経済上の存在感は製造業に似始めている。共有スペース型のサービスを提供するデータセンターのコロケーション事業者も、データセンター建設の相当な割合を担っている。

「AI競争は世界規模である一方、米国が先行している。これは、投資規模と大規模言語モデルの稼働に必要な計算能力を反映している。S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスの451リサーチによると、米国のデータセンター容量は世界全体の40%超を占め、その割合は今後も拡大すると予測される。次いでアジア太平洋地域が続き、欧州は大きく離れた3位だ。

経済の弱さを補う

米国のマクロ経済データは、AI関連投資がここ数年で急増したことを示している。借入コストの上昇や政策の不確実性が他の民間投資を圧迫するなかでも、この急増は続いている。実際、AIへの企業投資は、不確実性に起因する他の投資分野や経済全体の弱さを補っている。

ハイテク関連の鉱工業生産は他のセクターを大きく上回るImage: Flourish/S&P Global

これがマクロ経済にどう結びつくのか。データセンターと関連するハイテク投資は、近年、米国の成長をけん引する重要な要因となっている。米国の経済分析局の公式データに基づく当社の推計では、2025年上半期における民間国内最終需要の増加分の80%は、データセンターおよび関連するハイテク支出によるものだ。

世界のデータセンターとハイテク支出が国内総生産(GDP)の成長に与える重要性は、単純には捉えられない。例えば、米国のデータセンターで使われるハイテク機器の大半は輸入品であり、その急増は2023年後半に始まった。

これが、米国のデータセンター急増が他地域の輸出と成長を押し上げる主要な経路だ。米国の輸入内訳を見ると、主な恩恵を受けているのは台湾とメキシコだ。

しかし、米国国際貿易委員会のデータによると、マレーシアと韓国でも最近、輸入が増加している。(標準的な貿易統計が示すのは原産国であり、最終的な所有者の国ではない点に留意されたい。)

米国の資本財輸入(自動車を除く)Image: Flourish/S&P Global

長期的な影響

ここ数四半期、米国のGDP成長は予想を上回っている一方、雇用の伸びは鈍化している。興味深いことに、欧州ではテクノロジー関連の雇用が増えており、アイルランドから米国へのハイテクソフトウェア輸出の急増が関係している可能性がある。

GDPがプラス成長を続ける一方で雇用が横ばいであることは、データセンターに支えられたAIによる生産性向上の初期の兆候を示している。企業がすでに生産性向上の恩恵を実感しているという逸話的な証拠もある。

低スキルのサービスに対する需要の減少は、より大きな潮流の先触れかもしれない。こうしたミクロレベルの現象がマクロ経済データに表れるまでには時間がかかる可能性がある。それでも、AIによる生産性向上の恩恵は、1980年代のコンピューター革命よりも早く実現するかもしれない。

当時、ノーベル賞受賞者のロバート・ソローは、「コンピューターはどこにでもある。ただし、生産性のデータの中を除いて」と有名な皮肉を述べた。

労働力の変化、資本の深化、生産性がGDP成長を左右する。そこで重要な問いは、データセンターへの投資戦略が持続的な生産性向上につながるかどうかだ。また、生産性向上は労働力の拡大を伴うのか、それとも縮小を伴うのか。前述のとおり、生産性向上の兆しはすでに見られるが、全体像が明らかになるには何年もかかるだろう。

AIがもたらす生産性向上による成長効果について、経済学者の推計には大きな幅がある。これらの推計は労働生産性の 伸びを予測する一方、労働力の伸びについては予測していない点に留意したい。したがって、GDP成長率が高まるかどうかも予測していない。労働生産性の上昇は、雇用や労働参加にプラスにもマイナスにも作用しうる。

生産性向上による成長効果を相殺するような労働者の置き換えにつながる場合もあれば、労働者の生産量を増やし、成長効果を高める場合もある。

今後を見据えて

AI革命は、今後何年にもわたり経済活動の主要な推進力となる見込みだ。成長による思いがけない恩恵を、私たちはどう活用するのだろうか。この力学を示す最近の例として、1990年代の冷戦終結後に生じた「平和の配当」がある。

少なくとも全体としては、企業と家計の状況は改善するだろう。公的部門に生じる恩恵の使い道には、減税、債務返済、公共インフラの整備や修繕、エネルギー転換への資金拠出、高齢化する社会における医療への投資などがある。

AI革命は、グローバル化の影響に見られるように、政治経済に大きな影響を及ぼす分配上の課題も生み出す可能性が高い。したがって、AIを活用する経済において、労働の役割と賃金の伸びは注視すべき重要な動向だ。分配面の悪影響が無視されれば、AI導入に対する社会の支持は弱まる可能性が高い。

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