AIエージェントをビジネスの戦略的パートナーとし、AIの価値を最大限に引き出す方法

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  • 人工知能(AI)エージェントは、導入時に信頼を組み込み、従業員の力を効果的に活用すれば、意思決定の戦略的パートナーになり得る。

  • エージェント型AIを全面的に導入すれば、世界全体の生産性向上によって約3兆ドルの価値を生み出せる可能性があり、これは収益性の5%改善に相当する。

  • 世界経済フォーラムの「Future of Jobs Initiative(仕事の未来イニシアチブ)」は、政府や企業がAIで拡張される仕事に投資し、労働力の移行を支援し、質の高い雇用を生み出す経済を築くことを支援している。

ビジネスの次なるフロンティアは、単にテクノロジーの高速化ではない。意思決定の戦略的パートナーとして機能する人工知能(AI)エージェントによって、価値創出のあり方が根本的に変わりつつある。

最先端のエージェントはオーケストレーターとして、システム間のインテリジェンスを調整し、ペルソナ中心のスーパーエージェントへの道を切り開く。これらが一体となって、新たなビジネスモデルを生み、業界横断的なエコシステムを可能にし、大規模な変革を推進する。

CEOたちも注目している。最新の「Global CEO Outlook(グローバルCEO調査)」によると、57%が生成AIと並んでAIエージェントも自社に大きな影響を及ぼすと見込んでいる。自社内でも顧客企業との取り組みでも、顧客へのサービス提供から社内業務に至るまで、さまざまな領域にエージェントを導入してきた。

こうした経験を通じて、導入を加速させる要因や遅らせる要因、そして人とエージェントが責任ある形で効果的に協働するために必要なことを学んだ。

エージェントがチームメイトや協働相手となる場面が増えるなか、過去3年間の教訓は、組織が仕事のあり方を変え、提供するサービスや製品を見直し、信頼と責任をめぐる新たな問いに向き合う際の指針となる。

AIを安全かつ持続可能な形で拡大するには、初日から信頼を組み込む必要がある。

エージェント型AIの長期的な可能性とは?

2024年、KPMGは企業の労働生産性に対するAIの潜在的な影響を定量化する調査を開始した。

特許出願中のAI Value Assessmentを活用し、1,700万社を超える企業を詳細に分析した報告書は、エージェント型AIを全面的に導入すれば、約3兆ドルの世界全体の生産性向上を実現できる可能性があり、これは平均的なフォーチュン1000企業の収益性の5%改善に相当することを示している(利払い前・税引き前・減価償却前利益、EBITDA)。

マクロ経済の観点では、AIエージェントの広範な活用が、今後3〜5年間に新たな価値の流れを生み出す最大級の原動力の一つとなる可能性がある。さまざまな業界の労働力にAIエージェントが加わりつつあるが、長期的な価値は、人々が責任あるパートナーとして活用して初めて生まれる。

議論の焦点は、エージェントに何ができるかから、役割、能力、文化を再構想しながら、どのように協働するかへと移っている。

しかし、企業全体で導入を進め、その経済的な可能性を最大限に引き出すことは、人々にAIツールへのアクセスを提供するだけでは実現しない。職務全体を自動化することでもない。

真の価値は、エージェントを個別業務の補完に使う段階から、プロセス全体を再設計する段階へ組織が進化したときに生まれる。これは1990年代のリエンジニアリング革命を想起させる変化だ。

そのためには、バックオフィス全体を見直し、機能別の縦割りという考え方に疑問を投げかける必要がある。先行する企業にとっては、創造性を新たな次元へ引き上げ、後発企業が追いつくのに苦労するような形でビジネスモデルを再構築する機会にもなる。

「AIエージェント」は職場を大きく変革する可能性を秘めている。しかし、AIエージェントとは一体何なのだろうか?
「AIエージェント」は職場を大きく変革する可能性を秘めている。しかし、AIエージェントとは一体何なのだろうか?
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AIエージェントへの信頼を築く方法

AIを安全かつ持続可能な形で拡大するには、初日から信頼を組み込む必要がある。信頼される組織は、レジリエンスを高めながら、顧客、協働相手、人材を引きつける。問われているのは、もはやAIを使っているかどうかではなく、どのように使い、個々のエージェントを信頼できるかどうかだ。

エージェント型AIの第一波は、試験導入やプロトタイプに重点を置いていた。次の段階では、エージェントの無秩序な増殖や方針との不整合といった、より根本的なシステム上の課題に取り組まなければならない。また、エージェントが社内外のデータフローを行き来するなかで、新たに生じるセキュリティの脆弱性やデータ保護のリスクにも対処する必要がある。

責任ある形で拡大するには、「エージェント制御システム」が必要だ。これは、エージェントの導入、監視、進化のあり方を統括するガバナンス層である。

大規模に信頼を築くには、次の3つの側面がある。

  • 運用面での信頼には、リアルタイムの制御、集中管理型AIレジストリ、可観測性ダッシュボード、協働するエージェントに対する人間参加型の監督が必要となる。

  • 技術面での信頼には、強固なデータ基盤と包括的なセキュリティが必要であり、エージェント固有のアイデンティティおよびアクセス管理、セキュリティ態勢の管理、脅威の検知も含まれる。

  • 従業員の信頼を築くには、AIリテラシーを高め、従業員がエージェントの能力と限界を理解できるようにする必要がある。そのために、従業員を訓練して人間による監督を行い、自動化バイアスや幻覚に対処できるようにするとともに、自律性とデータアクセスが拡大するAIシステムを安全かつ効果的に使えるようにする。

欧州連合(EU)のAI法やISO 42001といった国際基準は、保証を通じてAIエージェントの開発と導入に信頼を組み込むための実践的な枠組みとして急速に定着しつつある。

早期導入企業はリスクを低減するだけでなく、より早く価値を獲得し、確信を持って規模を拡大できる立場を築ける。

目指すのは、技術力の高い労働力を築くことだけではない。思慮深く、適応力があり、責任ある意思決定を基盤とする人材を育てることだ。

エージェント型AIの可能性を最大限に引き出すうえで、労働力が不可欠な理由

AIは驚くべき速さで洞察を生み出せるが、判断と説明責任を担うのは、AIを使い監督する人々だ。AIを理解し、問いを投げかけ、責任を持って協働する労働力の能力が、AIが価値を高めるか損なうかを左右する。

エージェントの思考や実行の仕方を設計する「オーケストレーションエンジニア」から、安全策を構築する「責任あるAI/信頼エンジニア」まで、新たな職種が生まれている。成功には、経営リーダーがこうした変化する役割を明確に定義し、組織のAI導入の歩みについて透明性を持って伝え、労働力の準備に計画的に投資することが必要だ。

自信と能力を養う継続的な研修、日々の業務でエージェントを活用するという明確なトップダウンの期待、そして従業員が探求し、試行し、学ぶための意図的な時間が必要となる。

価値創出の競争で優位に立つのは、倫理的で責任ある大胆な「人間とエージェントの協働モデル」を受け入れ、その可能性を最大限に実現するための環境、スキル、リーダーシップの支援を人々に提供する企業だ。リーダーに傍観者の立場はない。信頼を得て率先するには、自らAIに関わらなければならない。

従業員自身も当事者として関わる必要がある。労働力がAIを受け入れる動機は、スキルを将来に備えさせることだけではない。KPMGでは、AIを積極的に活用する従業員が同僚を大幅に上回る成果を上げていることが示されている。AIの活用と個人の成功との直接的で測定可能なつながりを従業員が実感すれば、導入は卓越性への道筋となり得る。

私たちは、こうした取り組みの実践を顧客企業に支援している。ある企業は最近KPMGと提携し、従業員15,000人向けにAIを活用した「Career Companion」を開発した。会社の目標に沿った、個別のキャリアパスとスキル開発計画を提供している。

その結果、65万件を超えるスキルが先を見越して構築され、スキル体系と職務体系の作成に要する時間が99.75%短縮された。AIを活用した労働力の変革が、個人の成長と企業の俊敏性の双方をいかに加速させるかを示している。

AIエージェントとの協働が競争優位につながる

次の10年を形づくるのは、エージェントを通じて協働し、革新し、問題を解決する力を得た人々だろう。初期の証拠は、明確にこの方向を示している。

KPMGは学術研究者と協力し、キャリア初期の専門職がエージェントをどのように活用しているか、どのスキルが最も重要かについて、リアルタイムの知見を生み出している。初期の調査結果は明らかだ。デジタルに精通しているだけでは、もはや十分ではない。倫理的な判断力とAIシステムと効果的に協働する能力が、次世代人材を真に差別化する。

目指すのは、技術力の高い労働力を築くことだけではない。思慮深く、適応力があり、責任ある意思決定を基盤とする人材を育てることだ。

この未来を切り開くには、組織は信頼を前提に設計し、人を中心に構築し、勇気を持って投資しなければならない。価値創出の競争で優位に立つのは、倫理的で責任ある大胆な「人間とエージェントの協働モデル」を受け入れる企業だ。

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