主な調査結果
世界の協力は安定を保っていますが、その形は変わりつつあります。
2026年グローバル協力バロメーターにおける全体的な協力の水準は、過年度からおおむね変わりませんでしたが、協力の構成は変化しつつあるようです。多国間主義に関する指標の低下が最も大きくなりました。データフロー、サービス貿易、一部の資本フローなど、より柔軟で小規模な協力の枠組みが機能しやすい指標は、2025年を含めて成長を続けています。こうした動向は、バロメーターの5つの柱のそれぞれに見られます。
– 貿易と資本に関する協力は横ばいに。協力は2019年の水準を上回っていますが、その構成は変化しつつあります。物量は世界経済の伸びを下回るものの増加しており、フローはより協調的なパートナーへとシフトしています。サービスおよび一部の資本フローは、特に協調的な経済圏において勢いを見せており、国内能力の強化に寄与できる分野では特にその傾向が顕著です。世界の多国間貿易体制が障壁の高まりに直面する一方で、より小規模な国家連合が、投資・貿易の未来(FIT)パートナーシップなどの取り組みを通じて協力しています。
– イノベーションと技術に関する協力は拡大は、規制の強化の中でも新たな能力の開拓につながっています。ITサービスと人材の流動は増加しており、国際的な通信帯域幅は、新型コロナウイルス感染症のパンデミック前と比べて現在4倍に拡大しています。重要な資源、技術、知識の流通に対する制限は拡大しており、特に米国と中国の間で顕著ですが、それだけに限られません。一方で、新たな協力の形態も広がっており、協調的な国々の間で、人工知能(AI)、5Gインフラ、その他の最先端技術に関する協力事例が見られます。
– 気候と自然資本に関する協力は拡大しましたが、依然として世界の目標には届いていません。資金の増加と世界のサプライチェーンにより、クリーン技術の導入が進み、2025年半ばには過去最高の水準に達しました。太陽光、風力、電気自動車の追加導入量の3分の2は中国が占めた一方、他の開発途上経済も取り組みを強化しました。多国間交渉の難度が高まる中、例えば欧州連合(EU)や東南アジア諸国連合(ASEAN)といった国家グループは、脱炭素化とエネルギー安全保障の目標を組み合わせています。
– 保健と健康に関する協力は横ばいに。成果は当面は堅調ですが、援助は深刻な圧力にさらされています。この柱全体の協力水準は低下しておらず、その一因は、新型コロナウイルス感染症のパンデミック終息後も健康上の成果が改善し続けたことにあります。健康上の成果は堅調を保っていますが、その安定の裏で脆弱性が高まっています。多国間機関への圧力により支援の流れが弱まっており、保健分野の開発援助(DAH)は急激に縮小し、2025年にはさらに引き締められ、低所得国および中所得国に最も深刻な影響を及ぼしています。
– 平和と安全保障に関する協力は引き続き低下しており、追跡対象のすべての指標が新型コロナウイルス感染症のパンデミック前の水準を下回りました。紛争が激化し、軍事費が増加し、世界の多国間紛争解決の仕組みは危機の緩和に苦戦しています。2024年末時点で、強制移住を余儀なくされた人々の数は、世界で過去最多の1億2,300万人に達しました。1 それでも、圧力の高まりにより、地域の平和維持の仕組みを含め、協力を強化する機運が生まれています。
主要な課題と重要な機会は個々の国だけでは対処できないため、指導者は変化を予測し、国際的な関与を「再マッピング」し、新たな能力を構築することで回復力を強化し、新たな協力の場を見出すために、先んじて行動すべきです。すなわち、適切な形式を適切な課題に合わせることが求められます。
図2:時系列で見たグローバル協力バロメーター

