まず、AIについて尋ねました。専門家は「AI技術による望ましくない結果」を、今後2年間で深刻度が最も低いリスク3項目の一つに挙げました。しかし今後10年間では、深刻度が6番目に高いリスクとしました。ここから、近い将来のAIリスクを軽視しているのではないかという疑問が生じます。
AIの短期的なリスクは過小評価されている可能性『グローバルリスク報告書2025』は、AIリスクに対する認識が大きく変化していることを示しています。「AI技術による望ましくない結果」は今後2年間のリスク一覧で31位と低い順位ですが、今後10年間では6位に急上昇します。
これは、AIの短期的な影響を楽観視しすぎているのではないかという懸念を招きます。特に、現在、今後2年間で最も順位の高いリスクである誤情報や偽情報などの課題をAIが増幅させていることが問題です。AI搭載ツールは誤解を招くコンテンツの拡散を促し続け、社会の課題を深刻化させています。
経済見通しには慎重な楽観が見られる
今年の報告書で顕著な変化の一つは、経済に対する見方が改善したことです。昨年トップ10に入っていた「インフレ」や「景気後退」といったリスクは大きく順位を下げ、それぞれ29位、19位となりました。
これは経済に対する慎重な楽観を反映しています。しかし脆弱性は残っており、特に地政学的な不安定さが世界経済の成長に及ぼす影響が懸念されます。注目すべきことに、「犯罪と違法な経済活動」は11位に上昇し、課題が続いていることを示しています。
国内暴力は依然として見過ごされている脅威
「国家間の武力紛争」が短期的な最大のリスクであり、今後2年間では3位にランクされる一方、「国内暴力」は24位に下がり、昨年から7つ順位を落としました。
暴動、銃乱射事件、ギャングによる暴力を含むこのカテゴリーは、社会の分断(4位)や、不平等(報告書で最も他のリスクと結びつきが強い項目)など、より広範な問題と密接に関係しています。これらの調査結果は、社会的緊張の中で激化しかねない国内紛争に、より注意を向ける必要性を示しています。
900人を超える専門家の知見に基づく『グローバルリスク報告書2025』は、これらのリスクへの対処が急務であることを強調しています。短期的なリスクの状況では誤情報と国家間の武力紛争が支配的である一方、異常気象、生物多様性の損失、生態系の崩壊といった環境リスクは、長期的に最も大きな脅威であり続けています。

