若者は今日の決定がもたらす結果と最も長く向き合うことになる一方、世界的な課題解決における代表性は依然として低いままです。
世界経済フォーラムは、年次総会に若者枠を設け、若者のみで構成される共同議長を任命し、若者のためのグローバル・アライアンスの立ち上げを支援した初の国際機関です。
若きリーダーたちは、協力、責任あるイノベーション、気候レジリエンスを推進し、複雑な状況を乗り越える力を高めています。
若者は今日の世界的な決定がもたらす結果と最も長く向き合うことになるにもかかわらず、その決定を形づくる機関において最も代表性の低い層の一つです。地政学的緊張の高まり、急速な技術変化、社会の分断の深まりが進む今、この隔たりはもはや包摂だけの問題ではありません。世界ガバナンスにとっての戦略的な必須課題です。
世界経済フォーラムは、複雑な地球規模の課題はマルチステークホルダーの協力によってのみ解決できるという原則のもとに設立されました。そうした協力には世代を超えた連携も必要であることが、ますます明らかになっています。
若きリーダーたちは、気候の不安定化から労働市場の変革まで、世界的なリスクに長期にわたってさらされるだけでなく、新興技術や潮流を早期に捉える力、分野や国境を越えて意思疎通する力、分断された状況でも開かれた対話を重視する姿勢など、独自の能力を備えています。
フォーラムにとって、若者の参加は時間軸を広げることでもあります。若きリーダーたちは、次の四半期ではなく数十年先を見据えて意思決定を行うため、先見性を高め、長く機能する解決策の設計を後押しします。
この信念は、フォーラムの組織的な取り組みを形づくってきました。年次総会に正式な若者枠を設けた初の国際機関となり、若者だけで構成される共同議長団を任命した初の大規模会合となり、また、若者のためのグローバル・アライアンスの主要な推進役として、次世代のスキル、雇用、経済的な移動機会をめぐる民間セクターの連携を支援してきました。
今年、世界経済フォーラムの第56回年次総会は、特に重大な局面で開催されます。「対話の精神」をテーマに掲げるこの会合は、世界ガバナンスの基盤がますます揺らいでいると感じられる時に、信頼と協力を再構築する緊急の必要性を反映しています。年次総会に参加する若きリーダーたちは、各地域・分野でこの課題に取り組み、すでに対話の精神を行動に移しています。
ダボス2026に参加する若きリーダーたちが変化をもたらしている5つの方法を紹介します。
対立が深まる世界で協力を再構築する
#WEF26の中心的な問いの一つは、地政学的緊張が高まり、社会の信頼が低下するなかで、いかに協力を維持するかです。多くの若者にとって、協力は抽象的な価値観にとどまりません。気候変動、デジタルリスク、経済の脆弱性に対処するための実践的な必須事項です。
ウクライナでは、オクサナ・ハヴリリウ経済副大臣顧問が、政府、民間セクター、国際パートナー間の調整を要する経済復興の取り組みに貢献しています。米国では、エデン・トレサ氏が、カーター・センターの民主主義コンサルタントとして、無党派の選挙監視や市民参加の取り組みを支援し、地域社会のレベルで民主的プロセスへの信頼を高めています。政治環境の分極化が進むなか、これはますます重要な課題となっています。
各国政府が対立の深まる世界で協力する方法を模索するなか、建設的な対話を重んじるこの姿勢は欠かせない資産となります。
新たな成長の源泉を切り開く
分野を越えた対話を通じて、人工知能、バイオテクノロジー、クリーンエネルギーの画期的な進歩が成長の新たな領域を切り開いています。しかし、こうした機会を生かすには、より包摂的で適応力があり、長期的な価値創出を重視するイノベーション・エコシステムが必要です。
ラテンアメリカ各地では、カミラ・コルメナレス・ペレス氏が、Cressênciaの共同創業者として、開発金融と社会課題に取り組むイノベーターを結びつけています。経済学者であり教育者でもある同氏は、5万人を対象に起業家育成プログラムを実施してきました。特に、新興市場や創業初期の資金へのアクセスを求める女性を支援しています。
中国では、ワン・ニン・チョン氏が、IntelliPort AI Analyticsの創業者として、アジア各地でリモートセンシングと気候レジリエンスに関する分析を開発する一方、農村部の教育事業も運営しています。これは、新技術が十分な支援を受けていない地域で機会を広げ、新興市場のレジリエンスを高められることを示しています。
ベナンシオ・メンデス・レヴィ氏は、ウッドのシニアコンサルタントとして、南北アメリカ各地で再生可能エネルギーのインフラを開発しています。大規模な太陽光、風力、蓄電プロジェクトの実現を支援し、低炭素型の成長とレジリエンスを促進しています。
新技術や新たな経済モデルをいち早く取り入れる若きリーダーたちは、より分散型で持続可能であり、長期的な変革に沿った成長の源泉を切り開いています。
変化する世界に向けて人々に投資する
ダボス2026の議題では、社会が技術変革に適応するなか、スキル、ウェルビーイング、機会を通じて人々に投資することの重要性が強調されています。
南アジアでは、ドリシュティ・メディ氏が、QuickGhyの共同創業者として、ブルーカラー労働者の職業訓練への道筋を築くとともに、世界で最も急成長する地域の一つで国境を越えた経済協力を推進しています。
中東では、ヒラル・アル・リヤミ氏、オマーン王立経営アカデミーの国家イニシアチブ部門長が、国際機関と連携して全国規模のスキル育成プログラムを設計し、急速に変化する労働市場に備えて学習者を支援しています。
ダニエル・カン氏、はBrickのディレクターとして、デジタル分野に注力しています。注意力やデジタル習慣を自分で管理できるよう人々を支援するツールを設計し、学習、生産性、長期的な経済成果と参加を後押ししています。
若者は、目的意識、柔軟性、生涯学習、公平性をますます重視しています。こうした優先事項は、雇用主、教育者、政策立案者が人間開発の次の時代を設計する方法に影響を与えています。
イノベーションを責任ある形で展開する
#WEF26の第4の柱では、新興技術、とりわけAIを社会が責任ある形で活用するにはどうすればよいかを探ります。そのためには技術的な安全策だけでなく、多様な人々の実体験を踏まえた倫理的枠組みも必要です。
ジュン・ベク氏は、Googleのソフトウェアエンジニアであり、Youth for Privacyの創設者として、有害コンテンツを大規模に検出するために設計されたDeepMindのモデル、ShieldGemma2の開発に貢献しています。AIの安全性、プライバシー、社会の信頼が交差する領域で取り組んでいます。
ラテンアメリカでは、バレリア・タフォヤ氏が、スタンフォード大学のAI倫理フェローであり、フォーラムのGovTechとデジタル公共インフラに関するグローバル・フューチャー・カウンシルのメンバーとして、AIが雇用やガバナンスに及ぼす影響を研究し、イノベーションが国家と社会の発展に役立つよう取り組んでいます。
ステファニー・ベイカー氏は、人道対話センターのAI・新興技術責任者として、AIや宇宙システム開発を含む最先端技術のリスクを軽減するため、国際対話を主催しています。
彼女たちの視点は、社会全体に利益をもたらす形でイノベーションを展開する機関の能力を高めます。
地球の限界の範囲内で繁栄を築く
対話の精神には、共有された繁栄を支える環境基盤への取り組みも必要です。気候変動への脆弱性と若年層の人口構成が重なる地域では、とりわけ急を要します。
モンゴルでは、エンフーン・ビャンバドルジ氏が、Breathe Mongoliaの共同創業者であり、COP28およびCOP29の気候交渉担当者として、地域社会での提言活動と証拠に基づく政策提言を通じて、国の大気浄化政策の策定を支援しています。
中央アジアでは、ダナ・シュキルバエワ氏が、FOREST HEROの創業者兼CEOとして、植林や森林モニタリングの取り組みを主導するとともに、スマートシティとESG設計に焦点を当てた気候テック事業を立ち上げています。
西アフリカ各地では、ニファム・マンゾ氏が、Farmatrixの創業者であり、土壌に関するグローバル・フューチャー・カウンシルのメンバーとして、2,000人を超える小規模農家が気候変動に配慮した農業慣行を導入できるよう支援し、生計と生態系のレジリエンスの双方を強化しています。
「対話の精神」には、リーダーシップを分かち合う精神が必要
#WEF26の中心課題である、対立下での協力、技術による破壊的変化、気候リスク、経済変革は、世代をまたぐ性質を強く持っています。これらに取り組むには、世界の18億人の若者を含め、さまざまな人々の実体験を幅広く反映した対話が必要です。
国や分野を越えて、若きリーダーたちはすでに信頼を再構築し、新興技術の形成に関わり、機会を広げ、気候レジリエンスを加速させています。彼らの活動は、対話が世界の舞台で行われるだけでなく、世界中の地域社会で日々実践されていることを示しています。
世界が協力を再び活性化し、高まる複雑さを乗り越えるには、対話の精神もまた、国境、分野、世代を越え、今日の意思決定者と、その決定の結果と最も長く向き合う人々との間で、リーダーシップを分かち合う精神とならなければなりません。




