マレーシアの首都で行われている「生きた図書館」プロジェクトでは、高齢者の知識を若者に伝え、年金生活者の暮らしを向上させるとともに、クアラルンプールの世代間の隔たりを埋めようとしている。
このプロジェクトは、学生グループと高齢者施設を結び付け、高齢者が都市で暮らすうえで直面する課題について話し合えるようにしている。
このプロジェクトは、世界経済フォーラムのグローバル・シェイパーズ・コミュニティが運営している。これは、地域社会に良い変化をもたらすことを目指す、ビジネス、学術界、市民社会の若手専門家による国際ネットワークだ。
「学生たちは高齢者の間を順番に回ります」と、世界各地に375を超えるハブを持つグローバル・シェイパーズの「キュレーター」、レナード・シュー氏は話す。「生きた図書館のセッションには約1時間半を割き、その後はみんなで一緒に食事をします」
「高齢者の中には、身内にこの老人ホームに置き去りにされたと感じ、孤独で孤立していた人もいました」と、32歳のシュー氏はトムソン・ロイター財団に語った。
高齢者の参加者は人生の物語を共有するだけでなく、歩行者が道路を渡るために与えられる時間や、でこぼこした歩道など、クアラルンプールの安全上の問題についても話し合う。
若者たちは、こうした対話を踏まえたワークショップで、高齢者を悩ませている問題の解決策を検討する。
国際通貨基金(IMF)は昨年、アジアの経済圏で高齢者の数が急速に増えており、成長に人口動態上の「負担」をもたらすと警告した。
IMFによると、アジアの人口増加率は2050年までにゼロに落ち込むと予測されている。また、現在ピークにある生産年齢人口の割合は、今後数十年にわたって低下する。
また、65歳以上の人口の割合は、2050年までに現在の約2.5倍に急増するとした。
マレーシア複合企業シメ・ダービー・ベルハドのサステナビリティ顧問を務めるシュー氏によると、マレーシアの人口の平均年齢は2030年までに60歳以上になる。
「マレーシアはこの事態に備えられていません」と同氏は述べ、この問題に取り組む非営利団体はほとんどないと付け加えた。「多くのアジア諸国では、加齢は今もかなりタブー視されています」
学生たちは、手工芸やプログラミングの講座、高齢者のパートタイムの仕事探しを支援する機関などのプロジェクトを立ち上げ、資金提供パートナーを探している。
2016年に始まった生きた図書館プロジェクトは、高齢者施設で年に最大3回のセッションを開催しているが、需要に応えるため、毎月開催したいと考えている。
参加する高齢者施設は、高齢者の参加者への取材依頼を断った。
クアラルンプールにいる23人の「グローバル・シェイパーズ」の一人、マーカス・リム氏(39)は、生きた図書館での対話は年金生活者の人生の物語から始まり、現在直面する課題へと移っていくと話す。
「若者の多くは高齢者に感銘を受けています。高齢者がより良く暮らせるよう、自分たちに何ができるだろうか、と考えるのです」と、サラワク州にあるスウィンバーン工科大学のビジネススクール学部長を務めるリム氏は語った。






